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長和琢也
2024年10月30日 23:41
日曜日の昼下がり日曜日の昼、オオノはグラウンド近くのラーメン屋で昼食をとり、ほっとひと息ついていた。食後に自販機で買った缶コーヒーのプルタブを開ける瞬間、けめたんがそっと現れた。「その黒い水は美味しいんですか?」けめたんは興味津々な顔で尋ねる。オオノは、驚くこともなく「おっ、けめたん来てたのか。アイスコーヒーはな、ラーメンの後の口直しなんよ。この苦さというか酸っぱさが、食後のクセになっ
2024年4月2日 14:22
静かな病室回復期リハビリ病院の病室で、夜の静寂が深まる。53歳の隆也がベッドに横たわり、自分の状態について考え込んでいた。右半身全体にマヒが残る彼の心は、混沌とした感情に揺れていた。隣のベッドでは、右足の膝から下を切断した同い年の男性が静かに横になっている。内省の時間 隆也は、右手右足が動かない自分の状況を静かに受け入れようとしていた。彼は自分ができること、できないことを考え、心
2024年3月28日 23:26
はじめに好子はよく冗談めかして言ったものだ。「死ぬる薬をくださいや」と。介護士はいつも笑いながら答える。「冗談はやめてくださいよ、そういう薬はないんですよ」と。好子は笑って、「薬ないんかね、それなら仕方ないのう」と返す。そんな彼女の心は、静かに過去を思い返していた。今日は土曜日。息子夫婦が訪れ、洗濯物の入れ替えをしている。孫夫婦と曾孫も来て、施設のカフェで談笑している。好子の車椅子で曾孫が遊
2024年3月27日 15:07
はじめに昼ご飯を終えて、リビングの東の窓から、日光が穏やかに部屋を照らしている。8歳のタカシは、お父さんと共にソファに座り込み、お母さんは食卓でお手製の装飾品を作り始めていた。ソファテーブルの上には、タカシのお気に入り、グミの袋が置かれている。お父さんが手でキツネの顔を作り、「僕は、けめたんだよ」と冗談を言っていて、タカシは笑いながら、お父さんの手をじっと見ていました。けめたんの登場突然