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内浦穂高
2024年4月12日 20:32
酒に深淵が暴かれる時両目は奥行きを見つめ続けて、意識は天と融和する。もう僕に泥酔の感覚はなく、ただ麻酔のようにタナトスを流し込みながら死神を肺に招待しているに過ぎない。ガタガタと自分が崩れ落ちていく音を感じるが、不思議と不快感や不安はなかった。土砂まみれの瓦礫の真ん中から光が溢れ神々しい解放の兆しが魂を浄化させるのを感じる。今わかった。崩れ落ちてゆく自分は死体になってい
2024年3月20日 20:50
忘れ去られた深海の中 少女がそっと手を伸ばす。翼のようにしなやかな白皙の腕が蒼を纏う。優しい波にさらわれて、僕は海底と同化する。潜り込んだゆりかごの世界 僕は大地に背を向けた。重力が刻を飲み込んで水圧の中に消失した。海中に響くアルペジオが螺旋階段を形作る。音の粒子は光を放ち 歩みの世界を彼女に示唆する。少女は陽射しに導かれ大地を目指して海を舞いいかなる白より嫋やか