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食(か)ねのかよ 都会の葱は青いとこ

 note運営さんからのメールで紹介されていた記事で、ふと思ったんです。

 曲がり葱で育ったので、都会のまっすぐ葱は青いところを食べないのだと知ったのは、ほんの数年前。
 田舎では、曲がり葱は青いところも柔らかいので普通に食べていた。そばや納豆の薬味とか味噌汁の具とかお鍋の材料とか……。だから、真っ直ぐ葱も「固ったいなぁ」と思いながらも普通に食べていた。食べない物だとは思い尾寄らなかったんだよ。
 上京して間もない頃、真っ直ぐ葱を八百屋さんで見て「?」となった。
 葱のようであるが、葱にしては直立不動だし、タマネギの葉の部分かとも思ったが、そうでもない。思わず八百屋のおじさんに「これ何ですか?」と尋ねて怪訝な顔をされた。葱を知らない日本人がいるとは思っていなかったであろうおじさんと、葱は茎が曲がっているもんしかそれまで見たことがなかった田舎っ子は、互いの常識がズレていることに気付かなかった。「葱だ」とおじさんに言われても、おちょくられてるのかと半信半疑だった。きっとおじさんも(このガキァ、おちょくっとるんかい)と思っていたことだろう。
 同じ北の田舎から上京してきた同級生が「東京の葱って、まっすぐで格好良いけど、固くてマズい」と言ったので、ようやくあれは葱なのだと納得した。
 見た目は、腰曲がった爺婆のような曲がり葱より、都会の真っ直ぐ葱の方がシュッとしていて確かに見栄えは良い。でも、味と食感は逆……。そして、曲がり葱は余さず食べるのが普通だけれど、真っ直ぐ葱は青い部分は固マズで残すのが普通(くどいようだが、あたしゃ、そこも食うもんだと思っていたので全部食っていた)で、コスパ面でも曲がりの方に軍配があがる。
 最近、都会のスーパーでも曲がり系を見かけることがたまにあるが、これを買った都会人は、やっぱり青いところは残して食べないんだろうか? 聴いてみたいところではある。


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