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プロを信じる素人の大間違い

今回は、経済評論家である山崎元(やまざきはじめ)さんの著書
「お金で損しないシンプルな真実」という本の内容を紹介します。

お金にまつわることで損をしたくないのであれば、勉強することを怠らずに
運や他人に任せることなく、自分自身で理解する必要があります。
お金を増やすのはプロに託すのが一番良いと思っているかもしれませんが、
投資信託をやりたいと思った場合にプロが勧めてくるのは、
あなたに利益が出る商品ではなく、手数料をたくさん取れる
商品かもしれません。

今回の内容を通して、お金で損しないための知識を勉強していきましょう。






稼ぐ人材になる

よほどの資産家でない限りは、誰もが生きていくだけのお金を
手に入れるために働かなければなりません。
お金は社会貢献に対する感謝のしるしですから、基本的には他人のために
働いて貰うことが出来るものです。

たくさんのお給料をもらうためには、ライバルが少ない(希少価値の高い)
職業を選ばなければなりません。
例えば、ファストフードのアルバイトであれば、働いた経験のない
学生でも雇ってもらいやすいですが、同じ仕事を出来る人が
たくさんいるため、高額の報酬はもらえません。

しかし、もし英語が話せて法律の知識があるとしたらどうでしょうか?
そのような人材を見つけることはなかなか大変ですから、雇う側は
高い報酬額を提示して求人を出していたり、雇われる側も
高い賃金を要求することだって可能でしょう。

賃金の低いアルバイトでも、多くの時間を費やせば
ある程度のお金は貯まるかもしれません。
・・・・しかし、大学生が勉強ではなくアルバイトに時間と体力を
費やすことに対しては、非常に勿体ないと思わざるを得ません。
中には事情があってアルバイトをしている人がいるかもしれませんが、
若い頃の時間は貴重であり、アルバイトや部活に充てている多くの時間を、
社会に出た時に使える専門知識の習得に充てた方が、将来たくさんの
お金をもらうことに繋がるからです。

若いうちの方がスキル(知識)を身につけるのが早く、
人生の早い段階でスキルを身につければ長い期間そのスキルを
使うことが出来ますから、一般的に教育に対する投資は、
出来るだけ早い段階で行う方が合理的なのです。
お金を稼ぐと人生の自由度が広がりますので、社会人になってから効率的に
お金を稼ぐためには、なるべく早い段階から自分に投資して
専門的なスキルを極めることが、価値ある人材になるために重要です。




誤解を受けないように補足しますが、ここでの価値というのは
あくまでも経済的な価値のことです。
たくさん稼いでいて貴重な人材だからと言っても、その人が人間として
尊敬出来るかと言えば、そこはイコールとは限りません。
お金は人間の良し悪しを図るものさしではありませんから、
英語が話せるから偉いとか、医者は尊敬すべきだということでは
ありません。

ひと昔前は、最初に入った会社に定年まで面倒を見てもらう、
「終身雇用」というのが当たり前でしたが、今は若いうちから自分で
自分のキャリアを設計しなければいけない時代です。
スキルの習得には時間が掛かりますが、もはや会社に守ってもらうと
いうことは期待できませんので、自分を価値ある人材に
育てていきましょう。






初めての職場はどこがいい?

学校を出て最初の職場選びは大変重要です。
価値のある人材になるための職場として最適だと思われるのは
次の2つです。

1.優秀な人が周りに多い
2.忙しい

優秀な人は、あなたのお手本になったり、良い競争相手になったり
するので、自分の仕事の能力を向上させるのに繋がります。
そんな人が多く在籍している職場は、あなたをどんどん成長させてくれる
素晴らしい職場となるでしょう。
新しい仕事を覚えて質を上げるためには、経験を重ねていくことが
必要になりますから、適度に忙しい職場で働くことが重要です。
仕事とプライベートのバランスも大事ですが、最初のうちは忙しい職場で
自分を磨いていった方が、後の人生を考えた時に絶対得です。

まずは良い職場に入り、働きながらその仕事が自分に
合っているかどうかを見極めていきましょう。
目安としては、だいたい28歳くらいまでに
自分に合う仕事を見つけるべきでしょう。





お金を動かしてみる

真面目に働き続けて、ある程度の金額が溜まってくると、
次に考えなければいけないのはお金の運用方法です。
使わずに銀行に預けておけば、無駄遣いしたり盗まれたりする不安は
ありませんが、お金を別の形で持つことのメリットも
考えてみましょう。

現金や(銀行)預金の他に、株式、債券、投資信託などの形で
自分のお金(資産)を所有できるので、どのような形で持つのかによって
価値も変動します。
お金を適切な場所に置いておくと、お金自身が新たなお金を稼いで
くれるチャンスが訪れます。

例えば、銀行預金であれば利息がもらえたり、株式を購入すれば
出資した額に応じて配当を受け取ることが出来ます。
このように、自分のお金を経済の生産的な活動に参加させて、
お金にお金を稼がせることが投資です。
投資は不労所得(働かずに得る収入)だから、良い稼ぎ方ではないと
いう人がいますが、それは違うと断言しておきます。



自分が働いて稼ぐことも、自分の持っているお金に働いてもらって
稼ぐことも、どちらも経済活動への参加です。
世の中のためになるビジネスが出来る力があるのに、お金が足りない
会社に資金を提供するのは立派な社会貢献ですから、
すぐに使う予定の無い自分のお金は、社会貢献の活動をする能力が
ある会社に使ってもらいましょう。

資金運用の際に気を付けていただきたいことは、間違った情報に
騙されないように気をつけるということです。
お金の運用について、もっともらしく聞こえるけど間違っている
アドバイスや意見が世の中には溢れています。

例えば、次のような意見がありますが、皆さんには
どのように聞こえるでしょうか?
「使う目的をはっきりさせてから運用の仕方を考えましょう」

・・・・・・・

・・・?

子供の学費には学資保険、老後資金のためには年金保険といった
説明があるわけですが、このような説明を聞いて納得するのは
大きな間違いで、運用方法を何かと関連付ける必要はありません。

お金は使い道が自由であることが一番の長所であり、学資保険や
年金保険といった商品を契約すると、運用したお金の
受け取りが制限されてしまいます。
お金の使い道は必要になった時に考えれば良い話で、万が一の保険が
付帯されているだけで何年もお金を拘束されてしまうのは、
デメリットの方が大きくなってしまいます。



また、手持ちの資金を目的別に分割してしまうと、運用効率や
手数料コストの面でも無駄が生じてしまいますから、
目的別の運用は全く合理的ではありません。
運用で重要なことは、資金全体で適切なリスクを決めて、その範囲で
なるべく運用効率を高めるということだけです。

お金を増やす以外の目的は必要ありませんので、無理のない範囲で
なるべく増えればいいんだと考えましょう。






間違った意見に騙されるな!

金融機関の人は、もっともらしく次のような説明をすることがあります。
「自分の年齢や属性に合った運用を考えましょう」

・・・・・?

このような説明を受けたことがあるかもしれませんが、
これは一体どういうことでしょうか。
年齢の若い人と高齢者とでは、お金の運用を変えなければ
ならないのでしょうか。
運用してお金が増えれば嬉しいし、減ってしまうと悔しいというのは
誰だって同じ筈ですから、年齢によって運用方法を変える必要が
あるとは考えられません。

なるべくたくさん増やしたいという気持ちは、年齢や属性は関係なく
誰でも同じ気持ちです。
となると、投資初心者向けの金融商品というのも変な話です。
ベテランだから複雑でリスクがあっても有利に儲けることが出来るとか、
初心者だから効率の悪い運用から始めるべきという訳がありません。
初心者とベテランで、適切な運用方法の違いなんて無いのですから、
仮に最も適した運用方法が存在するというのなら、
全ての投資家がそれを活用している筈です。



運用金額とか、どこまでのリスクを許せるかという違いが
あるのではないかという意見もあります。
それは正しいですが、そのことによって最適な運用方法が
変わるわけではありません。

金融機関のセールスマンは、投資家のタイプによる違いを
しばしば強調しますが、それは投資する側にとって
役立つ情報ではありません。
お客さんにいろんなタイプの商品を売って、手数料という形で
お金を巻き上げるために、でっち上げられた作り話を
語っているのだと思ってください。

このようなプロの思惑には騙されないようにして、
シンプルな運用を考えましょう。
金融機関の窓口で、「何歳までにいくら必要ですか?」とか、
「定年退職までに1,000万円の貯蓄を目指しましょう」とか、
「目標額を明確にしてから運用しましょう」などという会話を
している人がいると思いますが、全くもって意味のない会話です。
運用できる範囲でなるべくたくさん増やせばいいと思いませんか?
万が一、目標金額以上に増えてしまった場合に、
困ることなんて何一つ無いのです。

ただし、運用したからと言って100%資産が増えるという
保証はありませんから、その点には注意が必要です。
運用は運を用いると書くぐらいですから、残念ながら運に見放されて
しまった場合は、資産が減ることだってあります。

生活費などの必要なお金も運用して増やそうとするのは得策では
ありませんから、自分が取ることのできるリスクの範囲で、
無理なくお金を増やしてください。





銀行も証券会社も信用できない

金融商品を購入する前に、どのようなことを勉強していれば
良いのかというと、それがどのような性質の
商品であるかを理解することです。

リスクやリターンといった基本的な考え方を身につけていないうちは、
準備不足ですから買うべきではありません。
実際に運用する際に、商品を買ったり売ったりする過程で
金融機関のセールスマンやファイナンシャルアドバイザーなど、
お金のアドバイザーとの関わりが出てくるかもしれません。

運用の場面で出てくる金融機関のアドバイスに対して、その言葉を
素直に受け取ってはいけません。
その人たちがどういう利害を持つ立場で発言しているのか
理解しておくべきですから、投資家を儲けさせてくれるために
アドバイスしていると考えるのは大変危険です。
金融機関との付き合い方について、著者は次のように述べています。
「お金のことに限っては、基本的に他人を信用しないことが大切です」

運用には、価値(相場など)の変動による「市場のリスク」と、
他人に騙されるかもしれないという「人間のリスク」があります。
余裕資金を使ってお金を増やしたいけれど、誰に相談したらいいのか
分からないという時に、お金を扱うプロだというイメージから
銀行や証券会社に行ってしまいがちです。
しかしこれは、赤ずきんちゃんがオオカミの家に人生相談に
行くようなものですから、絶対に避けてほしい行動です。



銀行や証券会社は、金融知識の乏しい人をニコニコしながら
喜んで受け入れてくれます。
なぜならば、そのような人たちに金融商品を売って
手数料を得ることが仕事だからです。

金融機関の人は、あなたの相談に乗り、うまく納得させて、
金融商品を成約してもらうことを目的に仕事をします。
成約した時に手数料を負担するのはあなたですから、
利害が絡む人の意見は疑ってかかるようにしてください。
残念ながら、あなたのお金を効率よく増やすことよりも、
少しでも多く(手数料などで)儲けることが彼らの仕事なのです。

投資信託や保険などの商品を買った場合に、そのうちどれだけの
手数料や(仲介業者の)報酬が含まれているのかと考えたら、
他人の意見を疑うことにも納得できるのではないでしょうか。

ですから、知識を得るためには本を読むのが一番良いですが、
どうしても誰かに相談したい場合は、お金の知識がある
利害関係の無い人(金融機関で働いていない人)にしましょう。





今回の内容は以上です。
銀行や証券会社など、一般的にお金のプロと考えてしまいがちな人に
騙されないようにして下さいという注意喚起でこの本を
紹介しましたが、他にも「家を買うかどうか?」
「保険についての考え方」「未来のお金との付き合い方」などの
内容がありますので、気になった人は読んでみてください。



「貧乏暇なし」という言葉があります。
これは、貧しいと生活に追われて働き通しで、他のことをする
時間のゆとりがないという意味のことわざですが、
貧乏人は勉強する暇を作らないから、いつまでも貧乏人だという
解釈もできます。

お金のことを勉強したってお金が稼げるわけではないと
思っていませんか?
そう思っている人は、大概お金のことを勉強したことがない人です。
将来の経済的不安を解消し、豊かな人生を手に入れたいと願うのであれば、
体を動かし続ける(働き続ける)のではなく、学び続けるのが正解です。

お給料から生計を立てることしかしていない人が、加齢に伴い
働けなくなったら「もう駄目だ」となってしまうのは、
雇用される以外ではお金を稼げないと考えているからです。
勉強すれば分かることですが、貧乏人はいくら働いてもお金持ちに
搾取されるようになっているのが、資本主義の構造です。

「夫婦でこんなに頑張って働いているのに、なぜか貯金の残高が
増えていかないなぁ・・・」
と思っていませんか?
「働いてさえいれば、いつか報われるだろう」と考えて、問題の解決を
先延ばしにしている人には、報われる「いつか」は訪れないかもしれないと
覚悟する必要があります。

家や車は資産だと思っているかもしれませんが、家は固定資産税が
掛かったり、建物の修理が必要になったりします。
車にも、自動車重量税が掛かったり、車検やガソリン代が掛かります。

このように考えると、維持管理に余計なお金が必要になるので、
家も車も負債と考えることもできます。
車1台を維持する費用(購入費用以外)は、
生涯で2,000万円以上だと知っていましたか?

物価や税金、水道光熱費などが上がっている今、改めてお金の使い方を
考える必要があるのではないでしょうか・・・・・

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