異世界おしゃぶり転生 〜あれ? 聞いていた転生とは違うよね?! なーんて思ったけど、案外楽しめんじゃない?! ということで、私はおしゃぶり生を楽しむことにしました!(第十七話)



第十七話 初めての戦闘?


 
   そんな感じで探検してまして、森の中。

 周囲には苔などが生えており、空気もどこか湿っているあの有名作品、◯◯◯◯姫に出てきそうな場所。

 私はここにいるよー!

 万能触手を出しっぱなしにするのにも、ほぼ抵抗がなくなってきました。

 可愛いし、有能だからね。

 け・ど・も! 非常に困った。

 なんで困っているかって?!

 それはフラグを見事に回収しちゃったからですよね!

 私の目の前には、あの転生したら○◯◯◯だったで有名な魔物がいるんですから。

 ど、どどどどうする!?
 万能触手《パーフェクトパラサイト》ちゃんで挑む?

 ※万能触手に”ちゃん”を付けたのは、ただの癖です。ほら、可愛くなっちゃうとついつい、名前の後に「~ちゃん」って付けてしまうあれです! あれ! ま、ともかくスルーでいきましょう。

 もし、挑んだとして……いやいや、無理だよね!

 いくらレベルアップしたからって、当たりそうにないし、それに当たったとしても……なんかグロそうだよね……。

 干からびたスライムとか、見たくないし。

 というか、どんな魔物も干からびた姿を目にしたくはないけど。

 いや、でもこの世界に来て初めて目にする魔物がスライムかー。

 あ……スライムって言ってしまった……。

 コホン、コホン。

 気を取り直して。

 何にしてもなんだろう、ちょっと嬉しいよねー。

 昔っから、有名な魔物なんだから。

 って、あれ?

 スライムがプリンみたいなぷるるんと揺れる体を跳ねさせながら、近づいてきた。

 ――ポニョンポニョン。

「プキュプキュ」

 真っ直ぐ迷いなく向かってくるんですけど。

 えっ、対話ですか?! 対話ならおなしゃすです!

 というか、なんですか? その可愛い鳴き声は!

 これじゃ、やっぱり攻撃できないやー。

 って、どうやって鳴いているんですか!?

 私と同じように声帯ないですよね?

 ――ぺちょん。

 あ、のしかかられた。

《冷たっ》

 ――むにょん。

 ん? 少し視界が歪んで見えるし、青みがかっている。

 うん……どうやら私はスライムの中にいるようだ。

 でも、なんだろう。

 この現代社会では味わえない、ひんやりモチっとした独特な肉感に、○○○○君みたいなソーダっぽい匂い。

《ここに癒やしがあったってことかぁ……》

 でも、待てよ……。
 これってスライムお得意の捕食ってやつじゃないか!?

『《体力が10減りました、残りの体力は190です》』

 えっ!? めかりんさんやい!
 私、やっぱり食われているの?!

 うそうそ! ちょっと待ってよー!

 ――パキパキパキ……。

 ん? なんの音?

 あれ……つめ……たい?

 いや……なんか痛い。

 自分の体《おしゃぶり》に目を向ける。

《あ、溶けているし……なんか凍っている……?》

 まさかの! 柔らかいデリケートゾーンである、天然素材100%のゴムの部分が溶けてきており、子グマが描かれている持ち手部分は凍り始めていた。

 いやいや、冷静に解説している場合じゃないよね!

 ちょ、ちょちょっとぉぉぉー!
 どうします?!
 どうしたらいいんでしょうかぁぁぁー!?
 誰か助けてぇぇぇぇー!

『《状態異常となりました。継続的に体力が減少し続けます。外敵からの攻撃により、体力10減りました。総体力10%のダメージを受けた為、発動条件達成しました。【対生物用スキル、寄生レベル4】発動します》』

 はひ?! 異常状態?! 
 そうですね! 溶けてますし、凍ってますから!

 って、な……なんですか!? 対生物用スキルって!

 知らないんですけど! 聞いてないんですけど!

 急に私の体がひかり出す。

 でえぇぇぇぇぇー!
 配信者もびっくりの高輝度LED照明もすら凌ぐ輝きぃぃぃー!

 しかも、体が熱い。なにこれ?

 あ……やったぁぁぁぁー!

 氷融けてるぅぅぅぅー!

 助かったぁぁぁー!

 こ、これってもしかして、あの有名な存在進化《ランクアップ》みたいなもの?!

 えっ!? でも、レベルアップすらしてないよ?

 なーんて考えていたのも束の間。

 私の体は更に輝きを増して、太陽もびっくりな感じとなっていた。

 もう眩しくて直視できない。

 けど、どうやら万能触手ちゃんが攻撃をして、スライムにもダメージを与えているようだ。

 ――ジュウゥゥ。

 熱したフライパンに水を垂らしたような音が鳴る。

「プキュゥゥー!」

 ――ぷにょん、ぺちょん、ぺちょん!

 万能触手ちゃんが動く度にスライムが暴れているよぉぉー!

 なんかごめんね! でも、私がしたくてしたわけじゃないんだよぉぉー!

 にしても、ほぅぅぅぅぅぃぃぃぃぃー!

 あつぃぃぃぃぃぃぃぃぃー!

 す、姿が変わるのかな?

 ど、ど、どどうしよう! 苦しんでるスライムには悪いけど、期待しちゃうよね!

 イケメン、いや、美女!

 ……いや、もう何でもいいです! 姿を変えて下さい!

 すみません、嘘です!

 どうせなら、いい姿になりたいです。

 イケメンorイケビジョ+二足歩行出来るような存在とか。

 ついでに、背中に翼が生えて飛べるようになるとか。

 なんかそう凄い存在に。

 お願いしまぁぁぁーすぅぅぅ!

 私は乞い願い奉った。


#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門

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