異世界おしゃぶり転生 〜あれ? 聞いていた転生とは違うよね?! なーんて思ったけど、案外楽しめんじゃない?! ということで、私はおしゃぶり生を楽しむことにしました!(第二十五話)
第二十五話 時と場所は考えましょうね!
……はい、私は無事です。
まぁ、無事というか、結論から言うとですね……ゴブミさんとお別れしました。
そして、現在。
私はおしゃぶりに戻りまして、新しい住処&人間の住む町を見つける為に、森の中を徘徊中です。
ステータス上昇していることもあって、なかなかに素早く動けていますよー。
一体どれくらいかっていうと、万能触手ちゃんで走るのが、たぶん生前の私の全速力くらいだ。
高校の時も100メートル走が17秒だったから、たぶんそれくらいで合っている。
なんでわかるかって?
まぁ、そこは移動している時の流れる景色の速さかなー。
つまりは、感覚なのであてにはならないかも……あはは……。
でも、おかげでわかったことがある。
この万能触手ちゃん、ステータス上昇の影響をもろに受けているんだよ!
不思議だよねー、スキル【寄生】による副産物的な物なはずなのに、今や手足同然となっているし。
あ、でもね。
速く移動するなら、走るより、万能触手ちゃんを伸ばして木の枝を掴んでは引っ張り、掴んでは引っ張りを繰り返す方が断トツで速く動ける。
今も、それで移動しているけど、爽快だよー!
風切り音とかなるし、近くを横切ったりしているのにさ、スライムや何故か集団で移動しているモフィットたちは、私の存在にすら気付けていないしねー!
我ながら、凄いと感心している次第です!
って、相変わらず万能触手ちゃん様々ですけど。
えっ? それより、あの後どうなったのかを知りたいですか?
ふふっ、仕方ないですねー。
んじゃ、端的に説明させて頂きます。
あの後、ゴブリン♂どもにより、揉みくちゃ&あーれー状態となった私に間一髪のところで、めかりんの声が響いたのです。
『《外敵からの攻撃により、総体力10%のダメージを受けた為、第一発動条件達成しました。周囲に複数個体の外敵を確認。第二発動条件達成しました。残り魔力量50%確認。よって第三発動条件達成しました。【緊急離脱用スキル、寄生レベル5】と【スキル 継承レベル10】発動可能です。発動しますか?》』
突然、色んなこと言われて、正直なところ意味はわからなかったんだけど、貞操がかかっている!
そのことだけで、反射的に言葉を発して。
「ハヅドウズル!」
私《ゴブミ》が声を発してからは、スキル【寄生】を発動された時と同じように私《おしゃぶり》が太陽のように光り輝いたんだよね。
ただ、違ったこともあって。
万能触手ちゃんが出ることはなかったし、たぶんゴブミさんにもダメージが無かったっぽい。
苦しむ様子は見られなかったからね。
あと、半分の魔力を消費したんだった!
って、いうのにさー。
私《おしゃぶり》が、ゴブミさんの口からきゅぽんっていう音を立てて飛ばされただけだったんだよねー。
【スキル 継承レベル10】はとにかく、【緊急離脱用スキル、寄生レベル5】なんて言われたから、もしかして、万能触手ちゃんが暴れて周囲のゴブリンたちの養分を吸うとか、見つからないほど遠くに飛ぶとか、そんなことを想像していたのにさー。
意味わかんないよねー!
マジで!
※ゴブミさんに”さん”って付けるのは、離れちゃえばもう私じゃないからである。
一応、礼儀正しいおしゃぶりで生きていくつもりなので、ちゃんとしてみました。
ま、なんていうか……そんなこんなもありながらも、ゴブミさんから飛ばされた私は盛り致してらっしゃるゴブリンの群れから数メートル先の地面に転がり、その中を万能触手ちゃんと使って逃げてきたわけです。
だから、無事ではあるんだけど、色々と失う物が多かったよね。
キッチン兼住居となっていた仮住居とか、なんか純真な気持ちとか……。
というか、人の家で致すなよ!
《って、まぁ、私は人じゃなくて、おしゃぶりですけど!》
ふぅ……またセルフツッコミ復活かー。
はぁぁ……マジで悪態をつきたくなるぅぅぅぅー!
とはいってもさ、不幸中の幸いではあったよね……私の貞操は守られたわけだし、あははー。
いや、本当に。
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
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