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[11]青くて痛くて脆い

[君の膵臓をたべたい]で有名の住野よる先生の作品ですね。キミスイを読んで、気になってそのままの流れで書店で購入に一気読みしました。
住野よる先生の作品を読むのはこれが2作目なんですよね。
印象としては心情描写で作品を覆うという感じなんですよね、住野よる先生の作品って。
それが結構好きだなーと思う部分かなー。
まぁ〜今まで文字をまともに読んでなかったわたくしがきちんと最後まで読めたという事は楽しかったんですよね、きっと。
 とりあえず、感想いきますか。
ここからは内容に触れますので、未読の方はご遠慮ください。











まぁ〜大学生の男の子が不思議な感じの女の子と出会うとこから始まるんですよ。少し暗めな男の子というか、少し人と距離を置きたいって感じの男の子と元気で明るいけど少しズレてる女の子なんですよね、キミスイに似た流れもあるんですけど、内容は全く違うんですよ。恋愛要素あるといえばあるんですけど、物凄く一方通行で勘違いな恋愛って感じに思えたんすよね。

大学のサークルでモアイっていう[なりたい自分になるのを叶えるサークル]みたいのを作るんですよね。特に何をする訳でもなく、平和活動に力を入れるみたいなぼんやりとした活動をしてたんすよね。
それで男の子(楓)は最初はそのサークルに所属してたんですよ、女の子(秋好)に誘われて。
誘われてというよりは、創立メンバーとして何となく活動してんですよね。
でも、どんどんメンバーが増えていったりで、楓は居場所を無くしちゃうんですよ。
んで、楓はサークル抜けちゃうんですよ。
秋好はそのままサークル活動を続けていって、どんどん大きくなっていくんですけど。
秋好は秋吉なりにリーダーとしての責任を背負ってやってたんですよね。
でも、楓から見て当初のモアイっていうサークルの理念からズレてるように見えてくるんですよね。
秋好的には全く変わらない理念の元で活動していってたんですけどね。
楓は理念や理想を捨てた秋好は[死んだ]ものとして見てるんですけど、秋好は秋好なりで信念を持って活動していたんですけど。
物語前半で秋好は死んだような表現で登場するんですよね、後半で物理的な死ではなくて[あくまでも楓の中]で死んだっていう壮大な前フリは見事でした。言葉1つで今までの展開が一変するのって小説ならではの表現だなーって感じましたね。

人が増えれば増えるほど、それぞれのになりたい自分ってのがいて、そのそれぞれを叶えようと秋好なりに動いていたら自分ではどうしようも無いくらい大きな組織になってしまっていてね。
それを見ていた楓は秋好は変わってしまったって思い込んで、自分のいたモアイを取り返そうとネットや友人を使ってモアイの悪い話を詮索したりして、動くんですよね。SNSに書き込んだりとかで、燃えちゃってマスコミまでも動く大事になるんですよね。燃えた事はデジタルタトゥーとして刻まれる事やどれだけの事になるのか楓の想像を超えるレベルになっちゃうんですよね。
この辺りのネットやSNSアプローチは現代的な手法を駆使している所に、この作品は[現代文学]なんだなーって思いましたね。
ぼくが読みたいのは[現代文学]なんですよね、いわゆる現代を写す鏡みたいなのを今は積極的に取り入れたいんすよねぇ。
んで、結局はお互いが言葉を交わさないままでいた結果、楓の身勝手な行動でモアイはなくなってしまうんですよ。秋好の判断でモアイは解散するんですよね。
その解散を告げる式の前に楓と秋吉が言い合うシーンがあるんですけどね。
物凄く子供な楓に対して秋好は子供なにりに大人だったんですよね。
その言い合いの後に楓は気付いたんですよね、秋好に対して好意を抱いていた事に。
でも、自分のやった事で沢山の人が傷付いたし、何よりも秋好にも嫌われてしまった事に対して罪の意識や恥ずかしさを感じるんですよね。






わたくしがこの作品を読んで感じたテーマっていうのは[若さ故の過ち]とか[恥と後悔]なんですよね。
若いから恥ずかしげもなくやった事で取り返しのつかない後悔をするって話なんですよね。

この作品の凄いところは学生さんみたいに若い人が読むと注意喚起的な要素があったり「こうはならないようにしないとな」とか「言葉を交わす事は大切なんだなー」とか[人とちゃんと話す事]の大切さみたいのが残ると思うんですよね。
逆にわたくしみたいに結構な大人が見ると[可愛い]とか[羨ましい]とか思えるんですよね。
自分の気持ちとか信念に真っ直ぐに行動するって大人になると難しいんですよね。
それに年齢的に冷静に見れる部分があったり、経験とかが邪魔をして楓のように振り切った行動は出来ないんですよ。
そういう意味で、若者が読んで得られる感想と大人が読んで思う事のレンジを広さがこの作品の魅力なのかなって思いますね。




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