見出し画像

現代のリーダーなら絶対に押さえておきたいEQ~あなたは自分のEQ値知ってる?

EQという言葉、聞いたことはありますでしょうか。
IQなら!と思ったあなた、いい線いってます!
この概念、チームを率いる方やリーダーシップを組織でとっていく方には、個人的に絶対押さえてほしいと考えている概念なんです。

IQじゃない!EQとは何か

定義

おなじみのIQは、知能指数、つまり知能の高低(地頭の良さ)を示すものとして用いられていますが、
EQ Emotional Intelligence Quotientの略で、日本語で「心の知能指数」と訳されることが多いです。

皆さんの周囲でも以下のような事例を目にすることがあるのではないでしょうか。

大変知的で熟練した人物が部下を統率するポジションに昇進したが、
リーダーとしては機能しなかった。

知的能力も技術的熟練度もそれほどずば抜けているわけではない人物が、
部下を統率するポジションについたら、とんとん拍子に出世した。

IQが高いからといって必ずしもビジネスで成功するわけではありません。イェール大学での研究によると「ビジネスで成功した人は、例外なく対人関係能力に優れている」ということがわかりました。その対人能力、「自分の感情をコントロールしたうえで周囲の人の気持ちに働きかける能力」を、EQと名付けたのだそうです。

EQを構成する5つの因子

EQといえば、ダニエル・ゴールマン氏が有名で、彼がEQの5つの因子を特定しました。

成功している、うまく行っているリーダーは下記の5つの因子を持ち合わせていると言われています。一方、うまく行っていない人はどれかの因子を持ち合わせていないと考えられています。

①自己認識(Self-awareness)
自分をよく知り、他者への影響を認識すること。自分自身のことが見えているリーダーは組織のことも見えている。

②自己規制(Self-regulation)
破壊的な衝動を抑制し、行動する前に考えること。構成で信頼感のある環境を作る。

③動機づけ(Motivation)
動機づけされた人は期待以上の成果をあげようとする。それは金銭や地位ではなく、仕事への情熱である。

④共感(Empathy)
共感力のある人は行間を読み、チーム全体を理解しサポートすることが得意。決断を下すときに他者の感情を考慮する。

⑤社会的技術(Social Skill)
「意図的な人当たりの良さ」のことで、他の4つの因子の頂点とも言える。情と理性のどちらに訴えるべきかがわかる。

マネジャーがEQを意識すべき3つの理由

この概念、チームを率いる方やリーダーシップを組織でとっていく方には、個人的に絶対押さえてほしいと考えている概念なんです。

冒頭に上記書きましたが、決して大げさに書いているつもりはありません。
その理由を今からお伝えします。

理由1)マネジメントスタイルの変化

これまでのリーダー/マネジャーはスキルを持っていて、高いIQをベースにしたロジックがあれば、それを権威としてメンバーを引っ張り、周囲の人々を動かすことができていました。

しかし、現代においてはそのマネジメント手法が通用しなくなってきています

世の中の変化もさることながら、我々人間のマインドも変わってきていることが背景にあるように思います。たとえば、物が溢れ、過剰に繋がってしまう便利になりすぎた世の中において、物質的な幸せでは満足できなくなってきているのです。“何を持つか”のHavingや"何をやるか"のDoingよりも"どうあるか"のBeingがますます重視されて来ており、Well-Beingという言葉が流行っているのもその証左なのだと感じています。

「心理的安全がカギ!」「心理的安全性を高めましょう!」という言葉も飽きるほど聞かされているここ最近。安心している(Being)ことができる、この心理的安全性こそEQがなし得る技であると私は思うのです。そして、EQを率先して体現すべきなのがマネジャーやリーダーであり、その立場の人が高いEQを持っている必要があるのだと思います。

さらに、特にマネジャーやリーダーは周囲やメンバーを率いる存在。本人がどんなに優秀だとしても、マネジャーやリーダーは本人1人でもたらせるアウトプット以上のものが求められているのです。本人の力だけではどうにもならない。だからこそ、周囲の人の信頼を得ていく。そのために大事なのは人格・人徳です。「誠実・謙虚しか勝たん」ということですね。その根底にEQという考え方が繋がっているようにも思います。

理由2)説得の3要素

「あの人の言うこと、たしかに正しいんだけど、なんか受け入れられないんだよね」とか「あの人の指示、頭ではわかるんだけど心で理解することができないよ」と感じた経験はありませんか?

「何を言うか」より「誰が言うか」が大事というシチュエーション。マネジャーとしての信頼は、プレイヤーとして実績を残していたかどうか、頭が切れるかどうかという点で得られるものではありません。

賢人アリストテレスは「エトス・パトス・ロゴス」という考え方を示しました。これは説得の3要素と呼ばれ、エトス→パトス→ロゴスの順番で進めるのが理想的と言われています。

エトス(Ethos)とは信頼・人柄のことです。いくら分かりやすい説明を情熱的に行ったとしても、その人が信頼される人柄でなくては話の内容に納得してもらえません。人を動かす立場にある人はまずこのエトスを重視したいですよね。いざ、動いてもらう必要がある際に、信頼されていれば「〇〇さんのために頑張ろう!」とすぐに動いてくれるはずです。

パトス(Pathos)とは情熱・感情のことです。「何としても目標を達成しよう!」などと自信の気持ちを熱く語ることも重要です。情熱的に話すと、他者にもその情熱が伝染します。皆さんも、情熱的に語る人の話を聞いて、心が熱くなった経験があるのではないでしょうか。

ロゴス(Logos)とは論理・理屈のことで、順序立てて分かりやすく伝えることです。物事を多面的・構造的に捉えて、理路整然と説明することもここに含まれます。「数字を用いて説得力を持たせる」などもロゴスの例ですね。

どれだけロジックとして正しいことを言おうと、信頼している人からの話でなければ受け入れられにくいということです。信頼してもらうためのエトス、これがEQとほぼ近しいのではないかと思います。

理由3)EQとパフォーマンスとの関係性

EQのテストを提供しているシックスセカンズジャパンの調査によると、EQとパフォーマンスの間には強い関係があることが証明されています。ここでいうパフォーマンスとは、達成意欲、影響、対人関係の意識、経済面およびキャリアステータスなどです。

シックスセカンズジャパン「パフォーマンスとEQ」(2019年7月25日)より

他にも、下記のような研究結果もあります。

・どのような仕事においてもEQは、技術的熟練度やIQより約2倍重要である

・EQが高い経営幹部はそうでない幹部と比較すると、10%の生産性向上・87%経営陣の離職率が減少・375百万ドルの経済的価値の向上・1000%以上の投資対利益率となる

・企業の業績とEQが連動している

上記と踏まえると、企業がEQの重要性を無視することはある意味で大変なリスクであるとも言えます。

マネジャーという立場では、自分自身のEQが高いことで、自分自身もしくはチームのパフォーマンスが高まる可能性が高いといえます。また、チームメンバーのEQに注目することも、チームのパフォーマンスを考える上では重要だと言えます。

あなたのEQ、測ってみませんか?

EQの重要性,、ご理解いただけたでしょうか。
ここまで読んでくださった皆さんは、じゃあ自分のEQはどのくらいなんだ!?と気になっているのではないでしょうか。
ぜひテスト受検してみて下さい!※私は68でした。

ただ、ここで残念なお知らせがあります。
日本を含むアジア北東部の人々は世界の中でも比較的IQが高いと言われているそうです。しかし、残念なことに、2018年時点では160の国や地域の中で日本人のEQレベルは世界最低レベルとのことです。(画像の一番左の〇が日本です😱)

シックスセカンズジャパン「EQスコア世界最下位の日本 感情知能EQは心のインフラになる」(2019年1月23日)より

日本人はIQは高いし、環境としてモノや生活のインフラ、サービスも溢れているけれど、心のインフラが整っていないのかも知れません。

EQは後天的に開発できる!

EQテスト受けてみましたでしょうか。
EQテストを今は受ける時間がない皆さんは、最初に紹介した5つの要素を見ながら、あなたは自分はどうだろうかと振り返ってみて下さい。備わってそうですか?
もしかすると、点数低い!ってなった方や、不足しているかもしれない!と感じている人もいるかもしれません。

でも、大丈夫です!
研究によると、EQは遺伝的要素が大きいが、後天的にEQは開発できる、つまり、学習できると言われています。ただし、漫然と経験を積んでいくだけでは開発されません。行動を変える努力が必要なのです。加えて、勇気も必要ですね。

さて、それでは、EQを開発するためにはどうしたらいいのでしょうか。

マネジャーやリーダーこそ、「人は感情の生き物」であることを一番理解すべし

私は、「人は感情の生き物」であるということを常に意識して行動をとることではないかと思います。

研修を受けたり、覚えたりすることでEQが高まるということではないはずです。「人は感情の生き物」であることをしっかり理解した上で、日ごろの積み重ねでコツコツと自分自身も周囲のメンバーにも関わっていく必要があるように思います。
メンバーから見たら、「日頃から気にかけてくれている」「自分達のことをいつも見てくれている」という点、これが信頼につながる重要なポイントになるはずです。

そのためにもまず、自分の思考や行動のクセに気がつく必要があります
ただ、それに関しても自分の無意識を意識するという大変困難なプロセスが必要となりますので、適切な方法を用いる必要があるように思います。

私は、自己認識を高めるための方法として、コーチをつけることをおすすめします。
コーチはエグゼクティブやマネジメント層の方だけがつけるものではなく、誰しもつけるべきものであると私は考えています。コーチングがもつ可能性や私自身の体験談(コーチをする側/される側どちらも)はまた別の機会に記してみようと思います。

私がマネジャーとしてこれから意識し続けたいこと

私は普段から自分の組織のメンバーと関わる際、一人ひとりに合わせて関わり方を変えています。どのように関わって欲しいかも事前に聞いた上でコミュニケーションを取っています。

そうしなければ、自分だけが心地良いコミュニケーションを取ってしまうことになりかねないからです。人はよほど意識していない限り「自分の見たいようにしか見ない」「自分の聞きたいようにしか聞かない」と言われています。

独りよがりのコミュニケーションにならないよう、これからも聴く力」と「質問する力」を徹底的に鍛えていきたいと思います。

その取組みが私自身のEQを向上させることにつながると信じて、日々学び、実践し、成功と失敗を繰り返し、コーチやメンバーから素直な気持ちでフィードバックを受け取り、成長できるように精進していきます。メンバーから率直なフィードバックをしてもらえるような雰囲気・環境づくりも並行して取り組んでいきます。


さて、今回は「マネジャー/リーダーとEQ」について考えてみましたが、改めてEQはこれからのリーダーにますます必要となるように思います。むしろ、リーダーになる為に必須の要素となるでしょう。

つまり、EQはNice to haveではなく、Need to haveになっていくということです。

EQが高くないもしくは高めようとする努力ができない人材をリーダーの地位に据える場合、企業はそれによるリスクを理解した上でアサインしたほうが良いと言えるでしょう。

幕引き図書紹介:「EQリーダーシップ」

今回からスタート、幕引き図書紹介
毎回ではありませんが、テーマに沿ったおすすめの書籍をご紹介いたします。

今回は、かなり前に読了した、本noteの冒頭でも紹介したダニエル・ゴールマン氏のEQ×リーダーシップの本。
本noteでは私の考えをお伝えいたしましたが、どのようにEQを開発していくべきかも書かれています。ぜひご参考にして下さい!


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?