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建設業における財務構造の特徴【勉強用】


P/Lに関すること

完成工事原価の構成比の高さ【特に外注費が多】

 ➡ 下請け企業に依存することが多いので、外注依存度を明確化することが財務改善のカギ。

販売費・一般管理費の相対的な少なさ【特に減価償却費が少】

 ➡ 販売自体は業でないので(本質は請負)、いわゆる販売手数料とか、運搬費といった費目が、他業種との比較的にだが、少ない。

支払利息などが少ない【財務構造と関係強い】

 ➡ 後述の貸借対照表の話とリンクするが、固定負債の構成比が低いとされるので、一般的な認識と比して、金融費用(利子払いなど)もかからない。

B/Sに関すること

流動資産の構成比の高さ

➡ 下記の建設業独特の勘定科目、

  • 未成工事支出金(工業簿記などでいう仕掛品。作りかけの構造物など)、

 が巨額であることが多いので、財務構造でも、ここが肥大化しやすい。
 流動負債の対応語と併せて、流動部分の関係比率が合理的範囲にあるか否かという分析が重要になる。

固定資産の構成比の相対的な低さ

 ➡ 効率性が良好であることと、表裏一体で、労働装備率が低いことが表れてしまう。

流動負債の構成比の高さ

 ➡ 流動資産の記載を承けて

  • 未成工事受入金(商業・工業簿記にいわゆる前受金、慣行的には着手金など)

が巨額になりがちであるため、流動の債権債務関係が合理的範囲にあるのか否かが重要な分析事項になる。

固定負債の構成比の相対的な低さ

 ➡ 短期負債(1年以内に返さねばならないという本来的な意味が付与されているか微妙だが、弁済期が近い負債)を用いて固定資産に投資している傾向が表れており、財政上は実は弱いとされる。

資本金の構成比の低さ

 ➡ 動かすお金の巨額さに比して低い。とされます。

 建設業特有の事情としては、設立当初の元手の金額を、すぐに受注した金額等、業務で動かす巨額が追い抜いてしまうので、構成比的に低いままになってしまうのかも(?)。
 いや、増資すれば増えるのか…😅

※ 蛇足:

 会社法上は、資本概念と資本金概念が若干違うと言われるので、法学部時代は苦悩したものです。
 でも会計系の本だと、会社法はよそに、単にサクッと資本は元手だと書いてあります。それに、自己資本と他人資本という整理もされて、区分は明確です。その整理によれば、資本金は株主から調達した元手で自己資本だが、資本の全部ではない。翻って法律学において会社法がプールしておけというのは(後述【※】印のように資本維持は昔の知識です)ひょっとしたら他人資本でかき集めたお金も含めて、総資本としてなのかな?などとも思えます(違)。😅
 
 会計系の本は、「倒産時の引き当てのためにプールしておけ(資本充実原則や維持原則など)」というような会社法テキストの議論にはあんまし触れてないんですよね…😅 どっちかというと、割とあっさり、勘定科目間の振り替えの方法とか書いてある感じ。
 
 【※この点👆、書きながら調べましたら、僕が法制史の記載を失念していただけで😅、旧商法から会社法がパージされて独立した当時、資本充実原則や資本維持原則は会社法が放棄した、という説明がされているみたいです。🥶】
 
 もちろん、経営上重大な判断を要するものは株主総会決議や取締役会決議の拘束もあるでしょうけれども。
 そういうのは経営陣として済んだものとして会計の本が書いてあるからあっさりなんですかね。😅
 いや、会計に関して、僕が学術書でなく、入門書界隈しか読み進めてないからかもしれませんが…。
  

ご参考

使いまわしの図👇で、すいません😅

資本金は株主に出資してもらうので負債と違い返済義務がない、
ということで赤い箱に入っています



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