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行動自体を変える その2:調子にのって失敗する経験をしよう

第二幕 2-6 レディネス② 行動:行動自体を変える その2

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人の失敗経験をきくのは楽しい

日経新聞に「私の履歴書」という、1か月間でその人の人生をふりかえる連載があり、大体はじめの10日間が一番おもしろい。そのころは誰もが失敗の連続で、大抵とんでもないことをやっている。その後、多くの人が成功していくのだが、成功が見えてきてからの話は、よく耳にする、あまり驚きのない内容になっていく。

ビジネスに目を向ける。私が過去戦略コンサルタントの採用面接官をやっていたとき、一番楽しみにしていた質問は、「あなたの過去最大の失敗経験はなんですか?」である。

これを質問するときのポイントは、最後の最後、もう質問こないだろうとリラックスしはじめたタイミングで、ぼそっときくことである。そうすると、ほとんどの人が素に戻り、心の奥底にひっかかっていた失敗経験を語り出す。

受験で挫折したこと、大事な人とのコミュニケーションで悔やまれること、親との話など、いろいろと出てくる。その中で過去最大にヤバイと思った失敗経験は、「銀行のシステムを新入社員の自分が止めた」である。ビックリして鼻から牛乳が出た。このスケールの大きさは半端ない。

一方、失敗経験をきくことにはデメリットもある。失敗の話をきくと深く共感してしまって、こんな失敗をした経験があるなら何があっても大丈夫だなと思ってしまい、全員採用にしてしまうことである。それほど失敗経験には人を引き付ける魅力がある。

経済的自立の実現は失敗なくしてはあり得ない

そして経済的自立の実現は、失敗なくしてはあり得ない。わかりやすいのは投資である。

「不確実な世界において、自分で試してみて自分の身体で学ばないといけない。勉強ではなく、スポーツ。勝ちもあれば負けもある」
ただこう考えると、仕事も同じである。とくに仕事を取り巻く環境の不確実性は、確実に増している。そして今後も確実に、不確実性は確実に増していく(あえて「確実」と重ねています)。

投資でも仕事でも、フロイド・メイフェザー氏のように、50戦50勝とは絶対にいかない。那須川天心氏のように、47戦47勝ともいかない。ユニクロの柳井正氏が言う1勝9敗とまではいわないが、相当の失敗をいまから覚悟しておいたほうがよい

調子に乗って失敗しよう

今後見込まれる失敗に対する耐性をつけるといった意味も含め、ここであなたに言いたいのは、「調子に乗って失敗しよう」ということである。

ビジネス界では「アジャイル」がブームになっていることもあり、失敗することが大事なんだ、ということを認めさせようとするムーブメントがある。「チャレンジなき成功より、チャレンジした失敗を評価しよう」というのが主たる主張である。

ただこれは、いろいろな思惑が絡んで複雑な感じになっている。そもそも一番上にいる経営層は、基本的に成功を義務付けられている。「新規事業で200億円の損失出したけど、チャレンジしたからいいよ」とは言われない。その失敗経験から学ぶことはたくさんあるだろうが、その損失を出した本人は間違いなく左遷だろう。「今年の利益は昨年の+20%になりました。トップの私は何もやらなかったけど」と言っても、あなたはチャレンジしなかったら評価しない、とはならないだろう。

一番上がこのような構造になっているので、この失敗を評価する取り組みを進めるのに、なかなか苦戦しているように感じる。

私が思うのは、「失敗はそれを評価するものではなく、みんなで共有して(いい意味で)楽しむものである」ということである。失敗が自分のために役に立つことはいうまでもないが、他の人を楽しませることにもなると思うと、気がラクではないか。

ここでさらなるポイントは「調子に乗ること」である。調子に乗っているとガードが緩くなって、思わぬところで足をすくわれることがよくある。

とくに多いのは、1回目に成功し、そのパターンを2回目に当てはめようとしたケースである。1回目は慎重に物事を考え、細心の注意で事にあたる。その結果、そこそこうまくいくケースが多いと思う。

さらに、1回目はビギナーズラックもある。怖いもの知らずもある。ここで成功のパターンが確立すると、次も同じパターンでいけると考える。そこにまず慢心がある。かつ1回目はラッキーで起こらなかったマズイことが、2回目になぜか起こったりする。そこでガツンとやられてしまう。

スポーツでいうと、「優勝するより、連覇が難しい」と言われることと、ほぼ同じロジックである。「2年目のジンクス」とも言う。

失敗談をみんなで楽しもう

まずは調子に乗れるくらい、頑張ることである。そして調子に乗れる状態になったら、ここで慎重になってはいけない。そのまま調子に乗っていこう。そこで何が起こるかをみてみよう。そこで起こった失敗が、あなたにとって大事なことである可能性が高い。そしてその経験をみんなと共有しよう。きっと、みんなその失敗の話を楽しんでくれるはずだ。

アクション:あなたが調子に乗って失敗した経験を教えてください。

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