行動自体を変える その1:愉快に働く体験をしよう
第二幕 2-6 レディネス② 行動:行動自体を変える その1
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やりたいことがあったときに、もうひとつの論点として、やりたいこと(What) を充足感を得てやれるか(How)、ということがある。
やりたいことをやっていても、自分のスキルが足りなくてストレスや不安を感じたり、逆にチャレンジのレベルが低すぎて退屈を感じていたらおもしろくない。そして、そういったことが続くと、せっかくあなたが自分の中から導き出してきた、やりたいことが嫌いになってしまう。
これは逆の場合もあり得る。とくにやること自体には好きも嫌いもないのだが、やってみたら結構自分が得意なことに気づき、しかもちょっと背伸びすれば届くくらいのチャレンジで心地よく、なんかすごく楽しい。結果、スキルもつき、そのこと自体も好きになった、というケースである。
ここで、やりたいことを充足感を得てやっているケースを具体的にみていこう。主役は過去「他責の評論家」だったS氏である。
このような感じで愉快に生きられると、人生楽しいだろう。この充足感については、アメリカの心理学者のミハイ・チクセントミハイ氏がフロー理論として理論化している。チクセントミハイ氏の言うフローとは以下である。
正に先ほどのS氏の状態である。上記太字の3つのポイント、ぜひアタマに入れていただきたい。
次に、ビジネスの現場に目を向けてみる。
私はかつて戦略コンサルタントのチームリーダーをやっていたときに、ある年のチーム方針として、「仕事を、愉快に。」と掲げた。
戦略コンサルタントは半端ない激務である。非常に高いフィーをお客さまに請求し、そのフィーに見合う働きをしなければならない。業種はバラバラで、大抵のケースで初めての業種で働くことになる。
相手のお客さまは、その業種で20年以上働いていて、かつその会社のエース級の人財であるケースが多い。そのような人に、何も知らない状態で価値を出さないといけない。価値がないと判断されれば、すぐクビである。
何日徹夜しても読み終わらない資料が山のようにあり、資料を読んでも現場のことはわからないから、現場もまわらないといけない。
お客さまの中にはコンサルタント嫌いの人が必ずいて、何を言っても、「でもあんた、経験ないんでしょ」と反論される。仮にこちらが正しいことを言っても、「何言ってるか、よくわからない」のひと言で、すべてを否定される。
そのような激務を日々生き延びている戦略コンサルタント約50名に、「愉快に働くとは、あなたにとってどういうことか?」との質問を一人ずつきいてみた。
若いコンサルタントA「自分のキャパシティーを超えるか、超えないかくらいのピリピリする感じで働くのが愉快」
さすがコンサルタントである。ピリピリする感じで働くといったようなことは、普通言えることではない。
若いコンサルタントB「難しいことに背伸びをしてチャレンジすること。自分ができることをやるのはつまらない」
Bさん、お前もか。普通は背伸びの逆で、身長をわざと小さく見せて目立たないようにするのではないか。君たち大丈夫か。
中堅コンサルタントC「自分の強みとチャレンジすることがバランスされ、背伸びせずに日々行動できること」
中堅になると、背伸びはしたくなくなるのね。安心しました。コンサルタントも人の子だ。
中堅コンサルタントD「自分に決定権があり、全部の絵をつくれ、それを手触り感があって実行できる」
またすごいことを言っている。やっぱり自分でやるのが愉快なんだね。
若手コンサルタントE「刺激がある中で裁量があるのが最高」
もう君たちのことは、なんとなくわかったよ。
若手のコンサルタントF「好奇心のままに働ける」
いいね。結局そういうことなのかもしれないね。
これは戦略コンサルタントが愉快に働く場合の例である。業種や職種によって、何が愉快かというのは変わってくると思う。それをあなたにも、いま一度考えてみてほしい。
アクション:あなたにとって愉快に働くとは、どういうことでしょうか?
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