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「権利を守られてこなかった経験があるからこそ、伝えたいこと」 【北海道・旭川市】小林ゆうきさんに政治に挑戦する思いを聞いてみた!

こんにちは!FIFTYS PROJECTです。
『推しを見つけて応援しよう!』FIFTYS PROJECTインタビュー企画#25

「なぜ政治に挑戦しようと思ったの?」「どんな政治家を目指しているの?」北海道旭川市の小林ゆうきさんに気になることをインタビューしました。

小林ゆうきさんポートレート

政治に関心をもったきっかけは?

 生い立ちが政治に関心をもったきっかけになっています。生活保護世帯の母子家庭で育ち、中学2年生までネグレクトを受けていました。公的支援につながることもないままネグレクトを受け続けて、子どもの頃から社会に守られていない感覚がありました。
 中学生のときは学校に同じく生活保護世帯の友人がいて「生活保護の制度っておかしくない?」とよく話していました。生活保護世帯では資産を持つことができないため、車の所有や貯金をすることができません。北海道では車がないと生活が不便ですし、「貯金がないままでこの先どう自立していけばいいのか」と疑問でした。生活保護のケースワーカーの方が家に訪問しにくるときも早く働くようにと指導されてきましたが、母には同じくネグレクトやDVを受けた過去があり、精神的に不安定な状態が続いていました。生活保護は私たちの権利を守るものなのに、きちんとケアがされない状態で働くことばかり薦めることに違和感がありました。
 15歳からアルバイトを始めたのですが、月7万円稼いでも生活保護費と相殺されて、ほとんどのお金を家に入れなければならず、働いても意味がないと感じました。「なんで生活保護はこんなに働く意欲を失わせる制度なのか」とも友人と話したことがあります。自立を促すケースワーカーと、自立を阻害する制度運用に矛盾を感じていました。憲法では「健康で文化的な最低限度の生活」を送る権利が保障されているというけれど、実際の運用は生活保護受給者一人ひとりの事情や個性をきちんと見て暮らしや就労をサポートするような、権利保障のための制度にはなっていませんでした。

 政治に不満を抱く一方、あきらめもありました。「政治はお金持ちや賢い人たちのもので、私には関係ない」、「どうせ何も変わらない」と思っていたんです。
 ですが、短大で政治学の講義を受ける中で、そもそもこの社会はみんながつくっているものだと知ったんです。そこで、社会は変えようと思えば変えられるものだと学び、政治に興味をもつようになりました。
 短大の卒業が近づいてきたころ、同じように虐待をうけて育ち風俗店で働きながら学校に通っていた友人が精神的に辛くなって学校を辞めてしまい、なぜ、学びたい気持ちがある人が学べない世の中なのか…と怒りがこみあげました。政治で何か変えられるのではないかと考え始めたとき、ゼミの担任が後押ししてくれて4年制大学への進学を決意しました。大学では政治学を専攻しました。

政治への挑戦を考えるようになったきっかけは?

 大学生の頃から、いつか選挙に出たいと思っていました。議員は市民の代表であるはずなのに、日本の議会には多様性もなく、政治家になるのはスムーズに大学に進学したエリート男性ばかりであることに問題意識がありました。民主主義を達成するための本来の運用がされていないと思うんです。大学では当事者と非当事者の分断も感じていました。困難を抱える当事者だった自分とストレートに大学に入学できる学生には、経済的にも環境的にも意識的にも格差があると思いました。スムーズに大学に入学できる人たちが結局、政治家になって政治というものを動かしていくんだろうなと感じました。
 今の政治には当事者の視点が欠けています。ネグレクトや生活保護など、当事者だった私だからこそできることがあると思い、政治に挑戦したいと考えるようになりました

事務所での会議の様子 参加者はみんな20代

広いビジョンで実現したいこと/具体的にやりたいことは?

 「一人ひとりが自分らしく暮らせる街へ」というキャッチコピーを掲げています。
 私はこれまで、社会保障制度がその人らしさとか、その人の背景をきちんと見てサポートしていく仕組みや制度になっていないことを目の当たりにしてきました。現在の政治には、『人権保障』と『多様性の尊重』という視点が抜けています。現在の状態で仮に良い制度をつくったとしても権利の保障を達成出来るような運用はされないと思います。まずは政治を行う基盤として、本当の意味での人権保障と多様性の尊重の理念を醸成しなければならないと考えています。

 その上で、教育・労働・社会福祉・社会参加を4つの柱にしています。
教育では、ヤングケアラーと被虐待児童の早期発見と支援をしていきたいです。
 今年度、旭川市ではヤングケアラー支援に関して220万円の予算をつけていますが、到底、足りないと思います。そもそもヤングケアラーは、高齢者や疾患を抱える大人への支援が足りないために起こっている問題です。家族の世話をするヤングケアラーの子どもだけでなく、大人にも必要なケアが提供される社会にしていく必要があります。
 教育関連では学校の教材購入による家庭の負担を軽減したいです。
 例えば、今は各家庭が購入している算数セットなどを、市が購入して貸出にできないかと思っています。他にも、旭川市の一部の小学校では、ポケットティッシュとハンカチの持ち物点検があります。持ってきていなかった子がいると、クラス全体にドッチボール禁止のペナルティが課せられたという事例があり、持ち物点検がいじめや不登校につながると懸念しています。
 また、給食用のお箸やナプキンなども持参となっていますが、こういった持ち物を毎日しっかりと用意できるかどうかは、子ども自身の問題というより、家庭が安定しているかにかかっています。家庭の事情で持ち物が準備できず、いじめに発展したり、子どもが学校に行けない状況になってしまったら、子どもの学ぶ権利が侵害されてしまうことになります。ハンカチやお箸、算数セット、給食費なども含めて市として予算をつけて用意したらいいのではないかと考えています。

小林さんの強みは?

 支援を受ける側の当事者目線を持っているところが強みだと思います。現在、議員になられている多くの方は支援を受ける側だったり、権利を守られずに生きてきた側ではなかったと思うんです。困っている当事者と同じ視点で問題を見つけられるところは強みです。また、大学卒業後は旭川市に戻り、若年女性のサポート団体を設立して活動をしていたので、若者とつながって話を聞くことができるのも強みだと思います。世代差からそもそも若者の意見を聞けない状況にある議員の方もいると思うので、困難を抱える若い人の声を聞いて市政に届けたいと思っています。

来所の皆さんと撮ってるチェキ

どんな活動をしていきたいか?

 従来の政治活動、選挙活動とは違う方法で、市民の方と共に考えていきたいと思っています。現在の政治や選挙は全然、民主主義ではないと思っています。偉そうになってしまうのですが、もっと民主主義を育てていける選挙活動をしていきたいです。例えば、街頭に立つときも一方的に自分の政策を話すのではなく、東京都の杉並区長選で岸本聡子さんが実践していたように、市民の方からの話も聞いて対話型にしたいと考えています。また、市民目線も大切にしたいです。これまでは選挙カーでの宣伝が当たり前でしたが、夜勤などの仕事で昼間に寝ている方や、お昼寝をするお子さんがいる家庭などもあると思うので拡声器は使わない予定です。
 他にも、もっと多様な人が政治に挑戦しやすくなるべき、と考えたことも、政治家を目指してみようと決意した理由の一つです。私自身が苦しいと思いながら活動をしていたら周りの人に「挑戦してみなよ」と言えなくなってしまいます。無理して苦しい思いをするのではなく、楽しみながら活動をしたいです。
 市民のみなさんには、自分に無関係だと思わずに、まずは政治に関わってほしい。お会いした方には「事務所にも気軽に遊びに来てくださいね」と声をかけています。まずは事務所に来て、おしゃべりをするところから始めてほしいです。
 今回の挑戦のことを周囲に話すと「まずは選挙で勝たないと」等、結果についてお話いただくことが多いのですが、まずは一人ひとりが政治に関わり、考えていくことが何より大切だと思っています。この春は「みんなで民主主義の一歩を踏み出しませんか?」というメッセージを伝えていきたいです。

「VOTE for CHANGE」の上りの前に立ち、朝のご挨拶

インタビューを終えて
「人権を守りたい」という想いを胸に、政治の現場にチャレンジされる小林ゆうきさん。とても謙虚なお人柄ですが、論理的に考え行動する知性と、ブレない芯の強さを感じました。より多くの人の声が、当事者である小林さんを通じて旭川の市政に届きますように。
取材・執筆:あやの&まい
取材日:2023年3月29日

小林 ゆうき(基本情報)
1993年生まれ(29歳)/2009年 北海道旭川東高等学校 定時制 中途退学/2016年 クラーク記念国際高等学校 卒業/2018年 拓殖大学北海道短期大学 農学ビジネス学科 卒業/2020年 北海学園大学 法学部政治学科 卒業/2020年 若年女性サポート団体『NOLIMIT旭川』 設立

小林さんについてもっと知るには?✨
Lit.link:小林ゆうき

『推しを見つけて応援しよう!』FIFTYS PROJECTインタビュー#25、いかがだったでしょうか?小林さんの想いが伝わっていると嬉しいです♪
ぜひボランティア募集やSNSでの発信も覗いてみてくださいね👀
次回もお楽しみに!✨

FIFTYS PROJECTとは?
私たちは政治分野のジェンダー不平等の解消を目指し、20代・30代の女性(トランス女性を含む)やノンバイナリー、Xジェンダー等の方に対して2023年4月統一地方選をはじめとした地方議会議員選挙への立候補を呼びかけ、一緒に支援するムーブメントをつくろうと活動しています。

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