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基礎

基礎が大事だと人はみんな言う。物事の基本が大事で、それは建物の基礎を指して言うこともできる。一番下の土台がしっかりしているから上に丈夫な構造物が載せることができるのだと。

果たしてそうだろうか。昔から残っている建物は基礎に載っかってない。地盤面に束石があり、そこに束を乗せて、土台、大引き、根太組をして床、土台の上に柱が乗り、梁をかけて、小屋組が乗る。2階や3階ともなれば、バランスをみて、その繰り返しになっていく。

法律的に、構造体は基礎に緊結しなければならないとされている。検査もあるし、金物でがっちり固定されている。つまりそうしなければ建築物にならない。もう決まっている。それで地盤が弱ければ杭を打つ。わずか、50坪くらいの敷地だけに杭を打って自分の敷地内だけはきちんとしてますよと言うことなんだけど、地盤面ってやつは人が勝手に区切った範囲のみを指すわけではない。隣地だけでなく、その周辺は昔から、しっかりとした地盤面、沼地、畑、砂地、色々だ。値段だけ見て買ってしまいがちだけど、その土地の歴史を調べて見ることをお勧めします。そして、現行で行政がどのような開発予定を立てているかも。大体、その地方行政のHPに載っていたりします。

先日昭和53年の物件を見にいってきた。畳を開けると、土が見えた。冬は寒そうですが、上物の状態は悪くない。軟弱地盤、自重の重たい建築はベタ基礎を採用するのがいいとされています。シロアリにも強いと。ですが、基礎天に土台をパッキンかまして金物で緊結するのはやはり、良い方法と言えない気がしています。逆効果とまでは言いませんが、外部からの力に踏ん張っている方がいいのか、ひらりひらりと力を受け流しているのがいいのか。人もコンクリートも同じだと学生の時に構造の教授が言っていた。強い人とコンクリートは外圧をかけても平気な顔してるけど、いざ破断すると一気に壊れてしまう、脆いと。外圧にすぐに根をあげるものは、粘り強く、しなやかだと。

新築のお話を頂けるのは、とても嬉しいです。この何かつっかえているものがどうにも気がかりで、作ることはもちろん好きなのですが・・・。

木造の建物のあり方は今一度、考えるところに来ているのだと感じています、それこそ大地に建っているところから。家にいて家族と過ごすことが増えている昨今でそれはとても大事なことなのではないでしょうか。だから、マイホームとてもいいと思うのですが、なんとか、土に触れてみるところから考えてもいい時代なのではないか。所詮借り物で、お金と同じで言えも墓場の中に入るものではない。ましてや、次の世代に受け継いでいかないといけないものが、現状受け継ぐことが難しい物になっている。

基礎だけでなく、構造体としての木材のこともあります。KD材についても、色々思うところもありますが、気にしだしたら何もできない。何もなかった時代がいいと言うわけではないし。この便利さを損なわずに、快適に暮らす方法はあるはずです。焦りすぎだし、ローンや、マイホームという概念が追い立てる要素になっていないだろうか。家を建てる時期や、期間を見直したり、家族のあり方も変わってしまった中でどうやって生きていくのか。変わったはずなのに、考え方は昭和を捨て切れずにいる。基礎が大事だとするならば、基礎で僅かなずれが、屋根に到達するまでに、数十センチのずれになってしまう。下から、きっちり積み上げることは、歪みの始まりだ。初めから、隙間を作っておいて、全体の荷重で建物自体を締める作り方にしたほうがいいのではないか。それは図面や、真っ直ぐな材料ではできないこと。私自身の役割はほとんど無い気が最近しているのです。



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