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海の水面を見つめていると

海の水面を見つめていると
浮かんでくるものは
癒やしではなく
胸の中に巣食ったままの
過去という恐怖
自由という願いを
踏み躙られてきた
捻じ曲げられてきた
抗えば
白いベッドの上で
網を掛けられ 
安定剤を投与され
右腕は赤黒い痕であふれた
欲しいものなど何もなく
ただ、翼を求めていただけなのに
世界は
まっすぐに引かれた境界線から
はみ出る者を
箱の中に閉じ込めた
四半世紀近い時を経た今でも 
社会はそれほど変わらない
秩序にそぐわぬ者は切られ
残った者は一握の砂
切られた者たちの中でも
理不尽な者は罪を犯し箱の中  
純真な心を持つ者も
過酷すぎる現実に
押し潰されて箱の中
私もかつては、その一人だった

海の水面を見つめていると
水面から声が聴こえてくる
こんな世界を
おまえはどう生きるつもりかと
問いかける声が

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