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FFJE Article. 13 サステナブルとファッション

近年、世界的に環境問題への関心は高まっており、フランスも例外ではありません。ファッション産業は「世界第2位の環境汚染産業」と言われ、二酸化炭素の排出量や水の使用量、廃棄物の多さなどが問題視されています。今回はファッションと紐付けて、フランスでの取り組みをご紹介します!

廃棄処分禁止の法案!?

フランスでは、環境保全に関する政策が矢継ぎ早に制定されています。20年までにプラスチック製の食器類の製造や使用を禁止するほか、24年までにディーゼル車、30年までにガソリン車のパリ市内への乗り入れを禁止し、40年までにガソリン車とディーゼル車のフランス国内での販売を禁止すると発表しています。同時にフランスの主要な電力源である原子力発電の比率を大幅に減らし、石炭火力発電を廃止することも決めています。

そして、この動きはファッション業界においても見られます。持続可能なファッションの推進のため、2020年1月に洋服や非飲食品の廃棄処分を禁止する法案が成立しました。2023年までに完全禁止する意向も示しています。

現在、フランスでは年間10億ユーロ(約1180億円、墨田区の歳入よりも多いです)相当の商品が廃棄されています。これらは新品で、まだ使える物です。5000万ユーロ(約590億円)相当の衣料がただ廃棄されていて、多くの場合は埋め立て地に捨てられています。

また、昨年にはフランス政府がリーダーシップを取り、「ファッション協定」が設けられました。気候変動・生物多様性・海洋の3分野における実践的な目標の達成を目的としており、35~40社ほどの企業、150以上のブランドが署名しています。

ファッション業界の試み

廃棄処分される衣服のうち、およそ7億9000万円に相当する売れ残り製品が、ラグジュアリーブランドによるものです。フランス国内のハイブランドは廃棄物を利用した製品生産、再販売、もしくはチャリティに寄付するなどの方法で、リサイクルとリユースを法律的に推奨されています。

フランスの一大企業であるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)は10年以上前から環境に対する取り組みを続けています。今年に入り環境保護目標値を上方修正したほか、新たに環境部門を設けるなど、さらなる尽力を見せています。

また、ヨーロッパ最大の百貨店ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)は今年9月から、より環境コンシャスに生まれ変わる予定です。リサイクル品をもとに作られたアクセサリーやウエア、オーガニックコスメ、食品など、地球に優しい取り組みを行うメーカーの商品を“GO FOR GOOD”のラベルをつけて販売します。

注目を集めるアップサイクル

環境に優しい衣服の向き合い方として、“アップサイクル”の動きが勢いを増しています。アップサイクルとは、リサイクルやリユースとは異なり、古布や廃材など不要品に工夫やデザインを施して別の価値あるものに生まれ変わらせることです。アイデア次第で新たな付加価値をつけることができるため、若手クリエイターを中心に広がりを見せています。

フランス発のウィメンズブランド「マリーン セル(MARINE SERRE)」は積極的にアップサイクルに取り組んでいます。デビューシーズンの18年春夏コレクションは30%、18-19年秋冬コレクションは45%が古着を使用した作品でした。19年春夏コレクションで登場した、スカーフを使った優雅なドレス(写真)は100%古着でできています。

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(出処:FAIRCHILD PUBLISHING, LLC)

また、フランスではNPOによるアップサイクル事業も活発です。“片方の靴下”を意味する「レ ショセッツ(LES CHAUSETTES)」は、フランス全土から片方の靴下や履けなくなった靴下を集め、洗浄と製造を経て靴下、パソコンケース、ポーチなどに商品化させデパートなどで販売しています。失業者に縫製技術を教えることで、社会復帰支援や雇用創出も目的に掲げています。その他、ECサイト「レ レキュペラブル(LES RECUPERABLES)」は手頃価格の商品を展開しており、パリ市内には「ジュスティーヌ・ルイーズ(JUSTINE LOUISE)」や「ザイット(ZEIT)」などアップサイクルを行う衣料品店や、雑貨を扱うライフスタイル系の店が続けてオープンしています。

まとめ

日常的に使うものだからこそ、過剰生産・大量廃棄されてしまう衣類。「安価なものを大量に」消費するのではなく、一つ一つの洋服やアクセサリーと長く大事に向き合いたいですね!最後までお読みいただきありがとうございました:)

次回の記事もお楽しみに✨

参考:

WWD Japan:仏政府が“売れ残り品廃棄禁止”法施行 旗振り役の37歳ポワルソン環境連帯移行副大臣とはどんな人?

WWD Japan:廃棄物に第二の人生を フランスで進むアップサイクルの動き