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クレーマーを撃退する方法

今回は珍しく真っ当なハウツー文である。

先日、友人から「仕事でクレーマーに相対する方法を教えてくれ」と聞かれたので何点か僕の心当たりを教えたところ、無事撃退できたそうなのでせっかくなのでその中身をご紹介する。
ちなみにこれはクレーマー以外、例えばビジネスの場面でも通用する技術だが、対面で、なおかつ双方の手が上げられない状況でのみ通用する。
手が出る状況なら素直に逃げよう最強の護身術は逃げる事だ。
悪用はいけません。

僕の伝えた方法は4つ。
目を見る事姿勢を正す事声を張る事ゆっくり喋る事だ。
これらは僕の武道的経験と社会的経験の両方から考案したものだ。とどのつまりどこであっても相対するなら戦いの場である事には変わりがない。
一つずつ詳しく話していこう。

目を見る

単純にして恐らく一番効果がある方法。
教えた友達もこれはガチだと言っていた。
目を正面から見る、視線を合わせるというのは多くの動物で威嚇と取られる行為だ。犬を飼っている方はわかるかもしれないが、犬と目を合わせると逸らされる事が多い。彼らにとって目を合わせるというのは戦いに移行する行動だからだ。
また、事実かどうかは知らないが山などで野生動物と会った時にも「目を合わせないように」と言われる事は多い。これもまた、それらが威嚇行動に直結するからだと思われる。
人間も動物の一員であるので、本能的に不快な事柄からは避けようとする。
視線も当然その一種であるので、基本、社会的に視線を合わせるという行為は多く行われない。例えば信頼できる人とは合う回数も多いかもしれないが、それらはアイコンタクトのように何かしらのコミュニケーションを伴う場合が多い。
要は関係性の薄い人間とばっちり目が合う事は居心地が悪いものなのである。
クレーマーは得てして攻撃的になっているので初めは視線を向けてくるだろう。下を向いて怒ってるクレーマーはあまりいない。
そんな人々に対して、こちらから視線を逸らすというのは悪手でしかない。避ける、という行為はそのまま敵意の喪失を意味する。
結果的に主導権をクレーマー側が握る事となり、こちらはどんどん居心地が悪くなる。
これを避けるには状況を逆転させてやればよいのだ。
つまり、こちらから視線を合わせに行き、一切逸らさない。これだけで大半の人間の勢いは削ぐ事が出来る。
攻撃的な人というのは得てして逆転の事象に慣れていない事が多い。こちらから攻める事には慣れていても反撃される事には慣れていないのだ。
そんな人達に対してはその視線を正面から受け止め、余裕があれば押し返してやるくらいの気概で見返してやろう。
とはいっても睨みつけてやる必要はない。落ち着いて相手の眼球に焦点を合わせてただ静かに話を聞いてやればよいのである。
少しでも相手が目を逸らせばもう勝ったようなものである。
先ほども言ったがこれらは本能的な出来事であるため、予め視線に対して警戒しているような人間でなければ殆どは無意識のうちに瞬間的に目を逸らしてしまう
そうなれば、こちらは一切気を抜かずにその逸らした目を見続けるのだ。一転して見られる側になった事を意識した彼らは非常に居心地の悪い状況になるだろう。

姿勢を正す

これもまた、基本的な威嚇行動の一つだ。
身体の大小に関わらず、姿勢の良い人間というものは一定の威圧感がある。これに関しては平均的な人間の姿勢が悪いのがある意味つけこむ隙となっていると言えるだろう。
姿勢というのは実に奥が深く、ただ身体が大きく見えるだけでなく、あらゆるものに対して安定感と力強さを齎す。
身体の芯が安定する事によってそういった細かく目に見えないところの力が大きくなるのだ。
中国拳法の修行では最初の数年間は站椿と呼ばれる姿勢矯正の鍛錬のみを行うと言う。それ程までに姿勢というものは実用的な力なのだ。
武道において姿勢が出来ている人間はそれだけで強い。あらゆる武道の基本に通ずる技術を姿勢だけで得られると言っても過言ではない。
そして、姿勢を正すと一口に言っても、ただ背筋を伸ばして胸を張ればいいという訳ではない
勿論それでもやらないよりは遥かに効果があるのだが、より詳しく言うのであれば「上空から脳天についた一本の糸で吊り下げられているような」姿勢が正しい。これは立っていても座っていてもである。
こうすると肩甲骨が開き顎が引かれ上半身がきちんと下半身に乗る。自然と視線には力が付き、声には力強さが生まれる。
人は無意識のうちに相対する存在の力量を動物的直感で測っている。目は口程に物を言う、というのもそういった野性的な能力の残滓によるものだ。
姿勢はそれらの力を増幅するものだ。毅然とした態度と一緒に、毅然とした身体を作って相対しよう。

声を張る

本能シリーズ第三弾。
声を大きくするのではなく、張る。これが次のステップだ。
ただ声を荒げるだけでは相手の更なるヒートアップを呼んでしまうため、これは悪手になってしまう。怒りに飲まれて大きな声を出す程に理性は失われていくため、より沈静化が遠のいてしまう事態になる。
だからボリュームを上げるのではなく、はっきりと一音一音を発音してしっかりと喋ろう
小声で同じことを繰り返したり、沈黙を埋めるように不要な言葉を差し挟むのは自信の無さから来る行動であり、それは当然目の前の人物にも伝播する。
そうなると相手を付け上がらせる結果にしかならないため、ますます状況は悪くなる。
別に相手を黙らせるという意味ではなく、相手の言う事に対して丁寧にはっきりと答えてやるというだけだ。
視線や姿勢と違ってこれはやり過ぎると挑発として相手の攻撃性を高める結果にもなり兼ねないので、「しっかりと受け答えをして言い聞かせる」くらいのスタンスでいるといいかもしれない。
ただ声を張ってはっきり喋るというのは難しいかもしれないが、姿勢を良くして相手を真正面から見据えて相対する形が出来ていればいつもよりはやり易いはずである。
大きな声よりも、聴きとりやすい声を意識して落ち着いて喋ってみれば恐らく上手くいくはずである。

ゆっくりと喋る

これは本能的なものではなく、どちらかと言うと心理的なものである。
普段よりもワンテンポ遅めの受け答えを意識してみよう。
相手の言葉が終わるまでは姿勢を正して目を見ながら待ち、言い終えたのを見計らって心の中で「1,2」と数えてから返事をする。こちらが話している時も普段よりも勢いをセーブし、その分一つ一つの言葉に意識を込めて話す。
某戦場カメラマン程ではないにしても、普段の速さとそれを足して2で割るくらいの速さでいいと思われる。
これがどんな効果を生むかと言えば、「テンポを外す」事が出来るのである。
売り言葉に買い言葉、という言葉があるように、動物はお互いにヒートアップすると相乗効果的に盛り上がっていくものである。
こうなると収拾がつかなくなるため、敢えて相手のテンポに乗らずに梯子を外してやるのだ。勢いが付いている相手に対してわざとゆったりとした態度をとる事で、相手は自身の勢いを持て余してどんどんと逸っていく。冷静さが欠いていく中で居心地も良くないものだから、必然勢いは弱まっていく。
また、これは自分がより余裕を持てるという効果もある。声を張るという事もやり易くなるし、やっていく内に自分だけは落ち着きを得ることが出来る。
人間は焦っている時にそれを自覚するのが非常に遅い生き物と言える。
普段から生命の危機に瀕する状況がないため、それらのセンサーの働きが鈍っているのだ。
焦りに飲まれると口数は多くなり、無駄な動きが増えるが、それらは更に自分の落ち着きをなくす結果にしかならない。言い換えれば、これはそのまま頭に血が上ったクレーマーの状態だ。
それに対して腹に力を入れてテンポを守る事で、相対的な余裕はかなり増す事になる。焦る相手を目の前にして落ち着くことが出来ればその相手の焦りがそのまま自分の余裕の糧になるからだ。
余裕はあらゆる状況に通じる武器になる

概ねクレーマーとそれに相対する人の構図は一方的な攻撃に終始する事が殆どだ。
当然誰しも攻撃的な人とは相対したくないので逃げの姿勢を取ってしまう事が多いかもしれないが、攻撃をする側からすると逃げる相手というのは一番攻めるのが楽な状態と言える。反撃の可能性がないからだ。
しかしわざわざこちらからそんな状況にしてやる義理はないので、その構図をひっくり返して、相手の余裕をなくしながら自分の余裕を蓄積するためのコツがこれらの方法と言える。

何度も書いているが、結局は人間も動物なのだ。
本能には逆らえないし、人間は自らが思っているよりも理性的ではなく遥かに多くの情報を本能に頼っている。
それを把握して、自分の能力内で少しだけコントロールしてやれば殆どの事に対してやり易さは増していく。何せ周りはその存在すらも知らないからだ。
これらの方法は多くの状況に置いて全く無理なく行えるものだ。視線を合わせたり、姿勢を正したり、はっきりと落ち着いて喋る事が非難される場というものはあまりないだろう。
対外的には非常に真摯な対応としても映るので、仮に上手くいかなかったとしてもそういう意味ではプラスになり得る方法とも言える。

もし身の回りでそういった事に悩んでいる人がいたら是非使ってみてほしい。

以上、リコでした。

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