見出し画像

教養を取るか専門を取るか?中2娘、高専オープンスクールに行ってきた

中2の娘トラが高専のオープンスクールに参加してきた。

上の記事の通りメリットだらけの高専だが、それを差し引いても母としては寮生活がどうも引っかかる。
もしトラが本気で高専を目指すと言い出したら、果たして全力で応援できるだろうか…?
そんな不安があった。

だが百聞は一見にしかず。
今回のオープンスクールでは、トラが見聞きしてきた情報や資料からクリアになった点が多々あったので、その後の心境の変化も交え高専情報を共有してみたい。


①就職がピカイチは本当だった

就職状況の資料には県内外の有名企業がズラリと並び、就職に強いという噂が本当であることを実感。
高専設立のルーツにも関連しているのか?どうやら各企業の新卒求人枠には高専枠というものがあるようで、さすが国立という感じ。

独立行政法人国立高等専門学校機構HPより抜粋

また民間企業の他に、地方公務員や国家公務員になる人も二桁台と多い。
ただこの数字には注意が必要。
職種によっては専門職公務員に直結する専攻もあるだろうが、基本的には「高専に行けば公務員になれる」わけではなく、「公務員試験に多数合格するほどハイレベルな学生が集まる」と考えた方がいいだろう。

②大学編入実績がピカイチも本当だった

国立大学には高専からの編入枠があるため、成績優秀者は旧帝大をはじめ名だたる大学(稀に東大や京大も)に編入できるらしい。
進学状況の資料によると、専攻科に進む人と大学に編入する人で卒業生の半数を占めることから、入学当初から大学編入を見据えている層が一定数いるものと思われる。

ここで注意すべきは、あくまで大学3年次への編入、つまり人間関係が出来上がっている場所に行くという点。
これは個人的見解だが、編入経験者のnoteを読みまわる限り、明るい大学生活を求めるならそれなりのコミュ力、そうでないなら「研究を深めるための大学編入」という割り切りと覚悟が必要と感じた。
高専進学に限らず、子供が大学編入を希望した際には(特に女子は)、そういったことも親からアドバイスしたほうがいい。
ちなみに高専生が進学するための単科大学(技科大)もある。

③良くも悪くも自由

高専は中学生からいきなり大学生になるようなもの。
校則は緩く、公立高校にありがちな部活全入ルールやスマホ・バイト禁止等のルールもない。
高校のように大学受験が控えているわけではないので、塾や予備校通いもなく放課後の自由度は高め。

その自由度に惹かれる中学生は多いが、裏を返せば高校のように面倒見が良いわけではないということ。
大学受験という大命題がないため勉強は自主性に委ねられ、落ちこぼれの学生を救うための補習も無い。(赤点の追試はあるらしい)

よって留年は珍しいことではなく、入学後授業に興味が持てず退学する人や3年修了時に他大学に進む人(仮面浪人ならぬ仮面受験生。高卒認定試験が必要)もいる。
ネット情報によると、卒業時には学生が1~2割減っている高専もあるようで、そういったミスマッチを減らすためのオープンスクールなのだろう。

④自宅通学ができる

これが私にとって一番の収穫だった。
わが県の高専は最近バス路線が改善されたそうで、以前は寮に入っていた地域の学生が自宅から通えるように。
電車に乗る時間はやや長いものの、ターミナル駅からは路線バスが高専前まで乗り入れており、駅から20分も歩くような他の公立高校と比べるとトータル通学時間はそう変わらない。
また高専は授業開始時間が遅いので、さほど早い電車でなくとも間に合う。

これまで高専=寮とばかり思っていた私は、自宅通学も可能と知り、高専進学への心理的ハードルが随分下がった(学力面は置いといて)。
入寮の可否は寮の空き状況にもよるらしいが、通学圏でも寮生が多いのは寮費が安いためだろう。

⑤寮費が激安

④で触れたとおり、三食・風呂・光熱費込の寮費が3〜4万円と非常に安い!
おそらく自宅通学のコストより安上がりではないか。
自宅通学だと通学途中につい買い物をしてしまうが、寮の場合は近くに繁華街もなく、寮が学校の敷地内にあるので無駄遣いをせずに済む。
もしかするとコスパを考え寮を勧める親が多いのかも?

ちなみに同高専で寮生だった娘さんを持つ同僚の話では、「うちは反抗期が酷かったから、寮生活のおかげで(親のありがたみを知り)むしろ母娘関係が改善した」のだそうで。
そんな話を聞くと、これまた寮も有りかと悩みそう。(捕らぬ狸の皮算用)

⑥教授陣は全て博士号ホルダー

一部教養科目を除き、専門科目を担当する教授陣は皆博士号を持っていると知り驚いた。
ただし全ての高専に当てはまるのかは不明。

⑦教養科目が少ない

これは寮問題にとって変わる新たな悩みどころ。
よく考えると当たり前だが、高専では1年から専門科目を学ぶので、専門とかけ離れた科目、つまり文系科目や副教科の授業が少ない。
理数大好き、国語は酷語といった男子には嬉しいカリキュラムだろうが、高校時代、古文や漢文が好きだった私としては「一般教養を身に着けずに社会に出てしまうのか…」と残念な気も。
それらが実務で役立つわけではないし、そもそも高専はスペシャリストを養成する機関だから仕方がないとはいえ、何だか感受性を磨く機会が奪われてしまうようで悩ましい。

これに関連して「ごく普通の高校生活を送ってみたかった」という後悔が残りはしないか?という不安もある。
というか、そういった不安があるなら高専は無しなのかもしれない。

⑧進路変更が難しい

これはオープンスクールに行く前にネットで得ていた情報。
高専は早期に専門分野を学ぶ所なので、専門外への進路変更はかなり難しい。
当然ながら高専内に進路変更の手助けをしてくれる人もいない。
ブレる可能性があるなら高校を選んでおくべきかも。

【結論】

高専は「ブレない人が行くところ」である

娘トラの感想

いっぽうトラの感想はというと…

①途中のターミナル駅で友達と撮ったプリクラがめちゃ楽しかった(開口一番に出るところが何とも😓)

②下校途中にターミナル駅(駅ビル有)に寄って遊べるのがいい!(親としてはよくない!)

③制服(3年までは制服着用)が大人っぽくて気に入った!

④男子ばかりかと思ったら、科によっては半分くらい女子がいる科もあった。(でもメカ系の科はオタク風メガネ男子ばかり)

⑤学園祭が楽しそう(そりゃそうだ)

⑥食堂と売店が気に入った!

⑦自宅通学なら、同じ方向に通学する友達と電車内でおしゃべりができる(いや同じ電車になるとは限らないし)

⑧現在入っている部活と同じ部の活動があまり活発ではないらしい(少し悩むレベル?)

⑨もし寮に入ると、ピアノを続けられない(これはかなり悩みどころ?)

⑩同じ中学の先輩が3人いて心強かった!

・・・と、出てくるのは勉強以外のことばかり。
肝心な授業はどうだった?と聞くと、

「実験が楽しかった!
でもロボットは無理!!」

だそうで。
まだまだ子供 ガキなわが子である。

トラの中学では、中3生は1人3校以上のオープンスクール参加が義務づけられているそうで、もし高専を志望校にするようなら夏のオープンスクールに同伴してみようかなと思う母なのだった。

この記事が参加している募集

イベントレポ

古典がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?