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勝俣範之著(2024)『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』株式会社KADOKAWA

がんと診断されたら最初に読んでも大丈夫な本です

既に私自身が肺腺癌のステージ3Aで、現在は肺の一部を切除手術後、分子標的薬を服用することで、その他の癌の成長を抑制している状況にあります。

自分が癌になると、多くの関連する本や記事を読みますが、お医者さんが書いた本でも、統計的に怪しかったり、癌が治る的なところだけを強調した明らかに怪しい本も多数出回っているのが現状だと気づくかと思います。

わたしは、自分がそのような経験をしたので、できるだけ癌になった後に直ぐに読める、間違いのない本を探して、不幸にも癌になった人がすんなりと適切な情報にありつけるように、この手の本を今でも時折読んでいます。

本書は、その中でもとても良心的に色々と記載されているおすすめ出来る本だと実感しました。

多くの人は、ドラマの癌患者のイメージが強かったりしますし、癌の標準治療についてネガティブなイメージを持つ人も多いように思いますが、本書ではその辺も含めしっかりと書かれていますので安心して読むことが出来ると思います。まあ自分の癌治療に関して、高額宝くじに当たるかのような特殊ながん治療に賭けるのか、統計的な過去の実績に基づいて治療を受けるのかの選択は、その人の考え方次第なので強制は出来ませんが…

本書は、癌のステージや告知、癌診療連携拠点病院、治療に関する解説、保険適用の標準治療、標準治療もカスタムメイドなところがあること、新薬などを始め、癌もずっと入院で暮らすのではなく、通院によって日常生活を維持することが出来るなどの情報もきちんと把握出来ます。

また高額医療費に関することや抗がん剤、副作用に関しても書かれていますので、癌になった後に、一通りの必要な情報を自分の知識や考え方の基礎としてインプットするには適した本だと思います。

今のところ、癌になってからまずは読んでみた方が良いとお勧めできるのは、本書と「津川友介、勝俣範之、大須賀覚共著(2020)『世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療』ダイヤモンド社」の2冊です。

お勧めの理由は、癌や癌治療に対してニュートラルな考えを持っていた方が良いと思うことと、本書でも触れている「3た論法」つまり「使った」「治った」「効いた」につられて、それを信じてしまうと、結果的に自分の命が軽んじられることになってしまうので、そのようなものに最初に飛びつく前に、きちんとした現状を把握しておくことが重要だと思うからです。

本書は会話形式だったり、イラストや要点で理解しやすく書かれていますので、良心的だと思います。癌になると直ぐに自分の死に関して向き合うことになりますが、まずは気の動転を落ち着かせるためにも、じっくりと本書を一読してみてはいかがでしょうか?

また、身内や友人などで癌になった人がいたら、ネットなどで変な情報を癌患者に伝えるのではなく、まずは本書を一読してから自分なりに癌に対処するにはどうするのかを理解した上で、会話されると良いかと思います。本書のような内容が癌になったときにそばにあると良いですね。

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