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松村真宏著(2016)『仕掛学』東洋経済新報社

アイデアの妙に頷かされる本

僕らが生活する上で、社会問題にもなり得る課題を、人間の行動心理が上手く機能するような仕掛けを考え、具現化することで解决に導いていくやりかたが、随所にヒントとともに隠されている、そんな本に出会った。

本書では、仕掛けにも良い仕掛けと悪い仕掛けがあり、良い仕掛けには、公平性、誘引性、目的の二重性があると解く。そう書かれると、何となく学問の一つでもあるかのように感じるものである。

仕掛けによって行動を変えた結果、本人の意図に関わらず問題が解决されるところが事例をもとに語られる。また、当初の思惑通りの行動の変化がおこらなかった、仕掛けになりそこなった「仕掛けもどき」の事例もあり、なかなか考えさせられる奥の深さを感じるところも掲載されている。

仕掛けの原理や構成要素、物理的トリガ、心理的トリガ等分類も興味を注がれる。

本書の内容は、まさにアイデアを掻き立てるような楽しさを、日常の中にビルトインしたような、手軽さと温かさ、そして何よりシンプルさに読んでいて微笑ましくなる。

学問としても面白いし、どこか認知心理学と通じるものを感じた次第である。

追記:本書は、わたしの通勤用のビジネスバッグにしばらく入れたままにしていて、ルイボスティを入れている水筒のキャップが壊れ、バック内がルイボスティでタプタプに水没したときに、この本も犠牲になってしまった。

本の下部3分の1程度がお茶の色に染まり、よれよれになったしまったが、それでも本の内容は、遜色なく興味ある、そして読んでいて微笑ましくなる内容であった。興味をもって最後まで読んでしまうことも、上手くこの著者の仕掛けにはまったからかも知れない…

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