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スーパーコンシェルジュ

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スーパーマーケットの食品担当者だったのに、なんだか突然食品フロアの専門職に!? スーパーマーケットのお仕事小説、全編無料です
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2014年7月の記事一覧

スーパーコンシェルジュ 5-①

 5)知ってほしいバイヤーの想い
 ①
 バイヤーさんたちは、それぞれの部門に何人かいるわけで、その中でも「この商品」という担当と「この店」という担当を持っている。一般食品の野分店担当のバイヤーは、商品でいえば調味料とギフト。もちろん、担当以外の商品でも元々は一般食品の担当者だった人がバイヤーになるわけだし、お店の担当としては、自分の担当以外の商品は知りませんと言うわけには行かないので、チーフとか

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スーパーコンシェルジュ 5-②

 ②
 「ま、まずは基本、てことかな」
 「基本、ですか」
 「そう、例えばヨーグルトは牛乳から作られている、とか」
 え? いや、基本ってそこですか。
 「えっと」
 「それは知ってる? っていうか、そんな馬鹿にしたような顔しない」
 「いや、そういうわけではないんですが、その」
 「牛乳で出来ているってことくらい知ってるって?」
 「えっと、そんな感じです」
 
 「じゃあ、分かりやすく、……

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スーパーコンシェルジュ 5-③

 ③
 須山バイヤーの言葉を聞いて、なんとなく、この人になら聞いてみようかなと思えた。ずっと誰かに聞きたかったこと。誰に聞いていいか分からなくて、聞いて回るほど深刻でもないけど、ずっと心に引っかかっていたというか、誰かに教えてほしかったこと。
 
 「もう一つ、聞いてみてもいいですか?」
 「ん? なんでしょう」
 
 「品揃え、って割と簡単に言うじゃないですか」
 「簡単にって」
 少し苦笑した

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スーパーコンシェルジュ 5-④

 ④
 森川さんから、打診を受けたのは須山バイヤーの話を聞いて、一週間ほど経ったころだった。
 「佐藤さんって、森川バイヤーとも、話してみない?」
 なんで住生活のバイヤーと、と思ったんだけど。
 「食器とか、調理器具とかって、食生活にも関係あると思うし、日用雑貨とかも教えてくれるかもよ?」
 「いや、確かに関係あるけど……」
 何推し? とか思ったんだけど。
 「ってことで、一緒に話とか聞かせて

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