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工数管理からボトルネックを発見する方法

こんにちは!
ourly株式会社で執行役員CSOをやっております髙橋新平です。
今回はourlyセールスチームで取り組んでいる工数
管理からボトルネックを見つけ出して問題解決した事例をご紹介したいと思います。
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ourly株式会社はWEB社内報のWEBサービス、社員のプロフィールサービスを提供している企業です⬇⬇

直近のourlyの状況はこんな感じです⬇⬇

工数管理を大切にしている背景


前職で私はコンサルタントをしておりまして、新しい顧客を開拓するための新規セールスをしながらコンサルティング案件を実行しなければならないという立場でした。
最後の1年間はマネージャーとしてメンバーマネジメントにもあたりながら活動をしていましたが、自身もまだまだプレーヤーとして現場から離れられない状況だったため工数が常に逼迫しまくっている状況でした。
特に15社22プロジェクトを同時進行で行っているときは気が狂いそうになったことを覚えています笑

スケジューリング、工数管理の大切さについて

前職でよく社長から「成果出るかどうかスケジュール見りゃ分かるよ」と良く言われていたこともあり、社長によくスケジュールを見られておりました。そうすると「アポ少ねえな」とか「会食入ってないじゃん」とフィードバックが飛んでくることも多々ありまして、場合によっては「お前どうせ来月成果出ないよ?」みたいに言われて、「なんでそんなことが分かるんだ!!!」と憤慨していたとしても、見事に翌月に成果が出なかったりとかで、効果的なスケジュールを組むということに関してとても意識付けをしていただきました。

また、前職の社内研修で1ヶ月間の自分のスケジュールを棚卸しして、成果が出るスケジュールになっているか?という研修も実施いただき、その研修後も定期的に自分のスケジュールを振り返るということをしていました。


ピーター・ドラッカーも「経営者の条件」で言及

ビジネスパーソンなら誰もが知っているピーター・ドラッカーも書籍の中で

私の観察では、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。

ピーター・ドラッカー 「経営者の条件」

ということを「経営者の条件」の序盤で述べており、工数管理の大切さを説いています。
私自身はスケジュールの組み方、振り返り方をすごく大切にしているのですが、この考え方は普遍的ですし、自分がマネジメントする立場になり現場に出る機会も少なくなったことから、現場を把握する上でも、メンバーが生産的に仕事ができているかを確認する上でもメンバーのスケジュールをよく見るようにしておりました。

ファクト情報と現場情報の両方を把握する

メンバーのカレンダーを見ながら何に時間を使っているかを自分自身の頭の中に叩き込みながら、実際にメンバーにも

  • 「今、何に一番時間取られてる?」

  • 「なんか毎日やりまくってる業務とかない?」

  • 「何が終わらなくて夜残ることが多い?」

というような質問もすることで、ファクトだけでは得られない情報をメンバーからも吸い上げて実態を把握するように努めました。
ファクト情報ももちろん大事なのですが、メンバーからすると「これが無駄だなぁ」とか「これ無くなれば楽なのになぁ」と普段考えていたりするので、そういった声にマネージャーは気づけなかったりすると思います。

スケジュール管理からボトルネックを発見する


営業プロセスの改善から予測して工数破綻を回避する

2022年の4月〜6月にかけて営業プロセスの型化をどんどん進めていきまして、(詳細は下記のnoteにまとまっています)営業プロセスがどんどん良くなり、肌感的にも”提案数が激増するだろうな”という所感を6月ごろには得ていました。

提案数が激増すると、メンバーは7~9月にかけて提案書作成で忙殺されることになり、夜な夜な提案書を創るゾンビメンバーが量産されてしまうのではないか?という考えに至りました。
実際にメンバーに1社の提案書をつくる上でどのくらい時間かかるかを聞いてみると、1提案書あたり3~4時間の時間がかかっているということでした。
もちろんスタートアップなので、ハードワークしないといけない時もありますし、ハードワークによって能力が拡張される部分もあるのですが、クリエイティブな時間に割けるならその方が良いですし、「気合い」でどうにかするというのはサステナブルな働き方では無いので、早めに手を打っておこうと考えました。

提案書作成をフォーマット化することで作成時間を1/4以下に

それまでの経過で提案書は50社以上作成をしていたので、そこでなんとか効率化できないかな?と目を通し始めました。
そうすると見えてきたのは、顧客が抱えているイシューと我々が提案しているストーリーにはいくつかのパターンがあるということです。

そこで考えたのは提案書をいくつかのパーツに分けて作成を行うことで提案書の80%までの完成スピードを上げて、残りの20%でオーダーメイドの部分を磨き込むというプロセスに変更しました。

提案書パーツ集

この成功体験があり、”フォーマット化できるものは極力フォーマット化して省力化、効率化することでクリエイティブな仕事やクライアントに価値貢献できる時間を増やす!!!”という価値観がチームに醸成されたかなと思います。

工数管理、実績管理のツール導入

「更にボトルネックを見つけて効率化したいな」と考えていた時にourlyのクライントでもあるGMO NIKKO社が新規事業で工数管理のSaaSをスタートするということで、話を聞いてみると思想も考え方もourlyの大事にしている考え方に非情にマッチすると感じたので、すぐに導入を意思決定しました!

時間管理・実績工数管理のツール「ワークレビューDX」

このサービスのとても良いところはGoogleカレンダーと連携して、メンバーが何にどれくらいの工数を使ったか?ということをカテゴリ分けして分析しやすく加工してくれるので、人員のパフォーマンスを上げると会社の業績にヒットするような会社にはとってもオススメです。

実際にこのツールを使いこなそうと思うと業務プロセスを見直すキッカケにもなるのでめちゃくちゃオススメです。
ourly社では全営業メンバーで「どうカテゴリ分けすると効果的か?」という観点で情報整理をしてcsvでシステムに一括登録するという形でスムーズに移行できました。
メンバーがしないといけないのはGoogleカレンダーにスケジュールを入れる時に[ カレンダー入力規則 ]通りに入れるだけです。
あとは実際の実績で修正があれば修正して入力が必要ですが、基本的には自動で分析して工数を抽出してくれます。

ワークレビューに登録した業務データ

実際にワークレビューの画面でメンバーの工数を見てみるととても面白いデータを見ることができました。
下記のサマリーは11月ごろのある社員の稼働データなのですが、フィールドセールスに従事しているメンバーは商談に全体の20.2%しか使えていません
一番何に時間を消費しているか?を見てみると[資料作成/タスク]に30%近くの時間を取られていることが分かります。
ourly社はリードはオウンドメディアからのリードがあるので、一定は商談があるので、商談割合がもっと多いと思っていたのですが、こんなにも商談時間の割合が少ないのは意外でした。

ワークレビューDXのサマリー画面キャプチャ

更に実際にメンバーにヒアリングを実施してみると、

  • 初回商談設計に1商談あたり30分

  • 初回商談振り返りで30分(提案書作成のために振り返りが必須)

  • お客様とのメール送受信で1日30分

  • 提案書作成に1提案書あたり45~60分

などなど商談や営業に付帯する工数がとっても多く、それに忙殺されていることがよく分かりました。また、展示会などで商談数が爆発的に増えた際には1日5商談とか入っていると、初回商談設計だけで前日が潰れる休日まるまる使ってしまうなども問題が見えてきました。

営業サポートの採用の意思決定

ourlyの事業計画ではインサイドセールスとフィールドセールスでそれぞれ1名ずつの採用計画になっていましたが、現場の状況も鑑みて営業サポートの方を1名採用することを11月に決めました。
色々な理由があるのですが

  • フィールドセールスの付帯工数を削減しないと商談数は増やせない

  • フィールドセールスがもう一人増えるとマネジメントコストはもっと増えそう

  • スモールで筋肉質なチームで小回りのきくチームでいるためには営業サポートの方が効果的

などなど考えが至り、フィールドセールスの正社員採用から営業サポートのメンバーの採用に方針転換しました。

営業サポートのプロセス型化と型の進化


営業サポートの方の採用は素早く動いたこともあり、またご縁もあり早々に内定承諾をいただくことができました。
入社までにメンバーと合宿をして、営業プロセスのどこを任せていくか?をディスカッションした結果、多くのプロセスを型化して営業サポートに任せられることが判明しました。
(赤枠の部分が営業サポートに任せられる範囲)

インサイドセールスからフィールドセールスにかけての業務プロセスの棚卸し

更に嬉しい誤算は、思ったより早く営業サポートの方が採用できてしまったので、お任せする業務を教えている暇がないという問題に直面しました。
いつもならまた、「自分で作るか…」と息巻いてやるところなんですが、それをしているといつまで経っても僕しか型を創れない組織になってしまうので、思い切ってメンバーに割り振ってマニュアルを作成してもらうことにしました。

営業サポートに依頼する業務のマニュアル

上記を見ると分かる通り、私はサポート業務の依頼方法だけを整備して90%以上はメンバーに作成してもらうことにしました。
(まだ完成していないところもありますが…)

そんなこんなで実際にマニュアルをメンバーに作ってもらうと、それはそれはクオリティが高い!レビューしようにも突っ込みどころが無い!という感じで着実にメンバーが成長していることを実感しました。

結果と今後の活動


結果として営業メンバーの商談準備や提案書作成などの工数は激減しました。まだ実際の定量数字としては出ていませんが、そのうち加筆したいと思います。
できた空き時間の活用については

  • 商談を更に入れて成果に繋げる

  • 将来的に勝ち続けられる営業組織になるために顧客事例をストック

  • 新しい業界へのウェビナーの設計

  • などなど

中長期の思考や施策立案を経営やマネージャーだけでなく、現場レベルでできるようになってきました。

営業というのはつい目の前の短期的な成果に目が向いがちで、中長期勝ち続けられるようにプロセスを作っていくことを蔑ろにしがちです。しかし、それができないと中長期で苦しくなって短期の問題解決をし続けないと行けない組織になってしまいます。

今後は更に効果的なプロセス、効率的なプロセスを発見するためにツールを活用しながら、中長期で勝ち続けられる、顧客に価値貢献し続けられる組織にしていきたいと思っています。
また、僕自身もハードワークによって成長したタイプではありますが、ハードワークをずっと続けるのは無理であることは間違いないので、効率的な働き方を経営者やマネジメント層がデザインして、メンバーが活躍できる場、組織を創っていくことが何より大事だと思いました。


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