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組織のトップがボトルネック化する罠について

ボトルネックは常にボトル(組織)のトップにある


私はこれまでコンサルタント、コーチとしてベンチャー、スタートアップから大企業まで沢山の組織、チームに携わらせていただいてきました。
自己紹介はこちら↓↓

多くの組織、チームに関わらせていただく中で自身の中で思うようになったのが、「組織のトップがボトルネックに気づくことができない構造となり、結果としてトップがボトルネックになっているんじゃないか!?」という仮説を持つようになったからです。
僕が大好きなダイレクト出版から出ている「スケーリングアップ」という書籍にも「ボトルネックは常にボトル(組織)のトップにある」と記載があり、まさにそのとおりだなと思っているわけです。(スケーリング・アップによれば、これはドラッカーの言葉だそうです。正確なものが見つかったので下記に記載。)

企業経営においては「ボトルネックは常に社長にあるよ!」ってことだと思います。(自戒も込めまくって!!!)

本記事を読んでほしい方

  • 大小関係なくチームをマネジメントする立場にある方

  • 将来的にマネジメントやリーダーを志している方

  • マネージャーとうまくいっていないメンバーの方

  • 会社を経営する方々

  • そして、自分自身

そもそもボトルネックって何のことを言っている?

ボトルネックがタイトルにもなっていますし、定義が曖昧だと読みにくいので定義を明確化しておきます。WEBで調べてみて一番しっくり来た定義を載せておきます。

全体の工程の中で、最も良くない影響を与えてしまっている箇所
全体の能力や成果に影響する問題となる要因のこと

↓↓要はこんなイメージですね

ボトルネックのイメージ図

なぜ組織のトップがボトルネックになるのか?


組織のトップがもともとボトルネックということではなく、”トップがボトルネックに気づけない構造になってしまう”ことで”トップ = ボトルネック”という状況に陥ってしまうのではないかと考えました。

① 一次情報が手に入らなくなる

どのようなリーダーもマネージャーも現場でプレーヤーとして活躍していたケースがほとんどだと思います。特にマネジメントに携わるような方はプレーヤーとして成果を出していた方がほとんどでしょうから、「私は現場を一番わかっている」と思っているもんだと予想しています。(なぜなら僕がそうだったから)

しかし、現場を離れてマネジメントの業務割合が増えてくると、当然のことながら一次情報に触れる機会は減ってきます。営業マネージャーであれば、お客様と直接接する機会は減ってきます。接するとしてもメンバーを介してだったり、メンバーに同席する形が多くなります。
また、”マネジメント”と”プレーヤー”とは考えることが違うので、そもそも思考の次元が変わってしまいます。

体験談)市況の変化に気づけなかった

私の体験の紹介です。現在ourlyというWEB社内報SaaSの営業の執行役員をしております。
2022年4月〜9月まで連続達成のチームでしたが、10~12月の第3Qは未達に終わりました。商談数も減ってない、現場の提案力も確実に上がっている(はず)、なのにご契約が積み上がらないのは何故なのか?と頭を悩ましていました。

2022年末に結果とプロセスを振り返って判明した要因の一つに”競合コンペ案件の激増”がありました。1~2Qは私自身商談に出ており、その期間はコンペ案件はほとんどなく、ourly単独で検討いただいている会社がほとんどでした。しかし、3Qの現場は全然違っていました。”競合コンペ”が激増したものの営業プロセスはお客様が単独検討の際のプロセスに最適化されているままだったので、コンペ対策などは現場任せになっていたことが課題として浮き彫りになりました。

これはまさしく、自分自身が営業から離れて一次情報に触れられなくなり、気づけない構造になっている状態でした。

② 誰もトップにはフィードバックできない

2つ目は多くの組織のトップにフィードバックできることはなかなか無いということについて。トップは意思決定するという役割上、権限が集中します。
それによりメンバーとパワーギャップ(力の格差)が生じることになります。
また、プレーヤーとしても一番成果を出していたリーダーがほとんどですから、「私は現場を一番知っている」と思っていることも多く、メンバーも「あんなに現場で成果だしてたマネージャーにフィードバックすることなんてそんなのできない」と思っている可能性が高いです。

体験談)トップが現場の生産性向上を妨げる存在に

これは複数のクライアントであったことなのですが、メールやLINEなどのツールからビジネスチャットツールを導入して情報やコミュニケーションの流れを円滑化するということに取り組んでいる会社は多々あると思います。
例)slack、ChatWork、Microsoft Teamsなど

ビジネスチャットツールを導入して、現場はどんどんを使いこなし、業務も情報共有もホウレンソウも一本化して適合していきます。なぜならそれが会社のルールだし、それが一番効果的だからです。
ところが、会社のトップが実はメールやLINEに慣れすぎており、新しいツールを使いこなせない、そもそも使いこなそうとしない、慣れているツールについ戻ってしまうというようなことで、社長だけ聖域化してツール移行が行われないということが起きます。(IT系スタートアップにいる方はそんなこと無いだろうと思うかも知れませんが、DX化しようという企業やチームで多々起きますw)

しかもたちの悪いことに、社長が慣れたLINEでコミュニケーションすると”メンバーは対応してしまう”ということなんです。(当然フィードバックなんてできません)そうすると、社長の周辺だけはLINEで仕事が回ってしまう状態になります。その後もフィードバックがメンバーからされるはずも無く、資料も情報もメンバーが気を遣ってメール(or LINE)で送信してくれます。

でも考えてみてください。資料送付も連絡もホウレンソウも”すべてがメンバーにとっては二度手間”になっています。そもそも移行したツールを使ってくれたら良いのに、メンバーは聖域化した社長に連絡をするたびに「なんでこんな二度手間なことしなきゃいけないんだろう…」って思っていますが、それが社長に伝わることはありません。
社長に別途連絡をしなければならないたびに、メンバーの時間と社長へのロイヤルティは削られています。笑(←現場からしたら笑い事じゃない)

これは一つの例でですが、チャットツールに限らず、トップが社内の新しいプロセスやツールに移行できないケースは多々見受けられます。
・誰もそれをフィードバックできない
・社長の周囲だけは仕事が回る
ということで社長自身が全体の生産性向上のボトルネックに陥ってしまいます。

③ トップの内省機会が減り、成長が止まる

フィードバックを受ける機会が無くなることについては先程述べました。
”インプットが変わらなくなる”というのは①と正反対のことのように思えますが解説していきたいと思います。
組織で役職や年次が上がってくると、

  • 普段付き合う人が社内のメンバー(部下)

  • 社外だったとしても同年代か後輩しかいない

という状況が増えるのかなと想定しています。そうすると似たような境遇の人、これまでと同じ人としか接点が無いことになり、インプットに変化がありません。インプットに変化が無いということは、結果として自己を客観視する視点も養われなくなるので、自分自身でボトルネックに気づきにくい構造になります。
以前どなたかが話していたのですが、「一定の年齢を超えて”話が面白くない人”はそのことをフィードバックされることが無いので、一生話が面白くなることは無い」ということを聞いたことがあります。

それに似たようなことで、自分を客観視するために、ボトルネックに気づくためにインプットを変え続けられるか?というのは大事な観点だと思います。

結果、組織のトップがボトルネックになる


ここまで書いてきたように、ボトルネックに気づけないトップ自身が事業成長やビジネスの前進のボトルネックになり得るということです。

会社経営で言えば、経営者がボトルネックになれば当然のことながら事業は発展成長しにくくなります。”成長”を志していなかったとしても、

  • 本来創業した目的や意図に近づいているのか?

  • 自分たちが掲げているビジョンに近づいているのか?

2022年読んだ書籍の中でのベストだったのが「会社という迷宮」でこんな一節がありました。

改めて原点に立ち返れば、「会社」とは競争をするために生まれてきたものではない。せいぜい言うとしても、込められた夢や志を体現するために、競争しなければならなくなった、というだけの話なのである。その逆はない。
(中略)
「経営者」は新しい時代に向けて、もちろん変わらなければならないが、その方向は「競争世界観」に適合した技術者・技能者になることではない。
そうではなくて、「経営者」でなければできない仕事、それはひと言で言えば、「会社」の目指す「価値」、夢や志を体現する担い手となることである。

会社という迷宮

私自身、会社を設立して1期目が終わったばかりですし、ourlyでは執行役員をさせてもらっている以上、自分がボトルネックになっている可能性はあります。自分がボトルネックにならないように、なったとしても自己認識して改善できるようにメンターやコーチの手を借りて自身とビジネスを前進させたいと思います。

トップがボトルネックにならないためには?


ここまでトップがボトルネックになってしまう話をしてきましたが、最後にトップがボトルネックにならないようにするための方法を考えたいと思います。

① 一次情報と二次情報の両方をバランス良く手に入れる

一次情報が良い、二次情報が良いという二元論ではなく、両方をバランス良く集める。もしくはマネージャーのあなたのところに”集まる構造をつくる”ということが大事だと思います。
私は”競合コンペが激増してる”ということに気づけませんでした。しかしメンバーとのコミュニケーション構造などでもっと早くに察知することはできたと思います。
自分から気づいた時に情報を取りに行くのではなく、構造化してできる限り自動化することができたならourlyの3Qの結果も違っていただろうと思います。


② 外部のメンターやコーチをつける

内部にフィードバックしてくれる人がいればベストです。しかしパワーギャップが存在することがほとんどです。そもそも社内にいる時点で利害関係者であることがほとんどです。
なので、外部のメンターやコーチを付けることで自分自身の内省や気づきが継続的に起き続けるようにすることが必要です。


③ インプットを変え続ける

いつもと同じメンバー、いつも同じ環境は居心地が良いものですが、時には自分にとって過酷なことを言ってくれるような人。自分に厳しいことを言ってくれる人と定期的に会うことでインプットを変えることも大事です。
特に年次が上がってきたり、仕事ができるようになったり、経営者は事業が円滑にまわるようになったりするとフィードバックしてくれる人、新しい視座を提供してくれるは極端に減ります。

なので、定期的に新しい人に会い続けて自分を客観視できるように、自分を省みれるような構造を持つことが大切だと思います。


最後に


様々な企業に携わる中で感じていたことを言語化、文章化させていただきましたが、これは”自分のために書いているんだ!”と強く感じました。
こうして残しておくことで定期的に自身で振り返り「もしかして俺ボトルネックになってない?」と自身に問いかけられます。
また、これを見てくださった方やメンバーが「もしかして新平さんボトルネックになってません?例えば〜〜」みたいにフィードバックをもらえることを期待したいと思います。笑


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