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【ハイプレスをどう剥がすか大会】プレミアリーグ第12節 マンチェスター・シティ×ブライトン|マッチレビュー

前節アンフィールドで今季初黒星となったマンチェスター ・シティ。そんなショックを抱えながらも今節ホームで迎えるのは新生ブライトン。ポッター監督の後を引き継いでやってきたイタリアのペップ・グアルディオラの異名を持つデゼルビ監督。彼が就任してから勝ち点を積み重ねているとは言えないが、彼の思考するスタイル,哲学が少しづつブライトンに浸透してきているのは確か。この試合真っ向からペップシティに挑み、非常に戦術的にも見ごたえのある試合となった。それでは試合を振り返っていきましょう!

▪️ハイプレスの泣き所

マンチェスター・シティそしてブライトンはボールを保持する事を志向するチームだ。裏を返せばボールを保持するチームだからこそ、ボールを保持した時に何をされたら嫌なのか知っているとも言えるはずだ。

そんな両チームがボール保持した相手に対して見せた嫌がらせは、『ハイライン・ハイプレス』だった。

マンチェスター・シティはいつものように、ラインを高く設定し、明確に人を掴まえにいき敵陣でボールを刈り取りに行く。

プレミア王者のホームに乗り込んだブライトンも負けじと、果敢にラインを高く設定しハイプレスを仕掛けた。

ハーフコートマンツーマンでシティのビルドアップを妨害し、敵陣でボールを奪う試みを見せたブライトン。試合序盤このプレスは功を奏しシティのビルドアップにストレスを与えていった。しかし相手はペップシティ。ブライトンの出方を観察してハイプレスの泣き所を利用していった。

ハイプレスの泣き所はGKがフリーになる事と、後方が手薄になる事だ

ペップシティは毎度お馴染みGKエデルソンも関わりながらビルドアップをする。GKエデルソンがビルドアップに関わる事でシティのビルドアップには1人の数的優位が出来る(11vs10)。これによりブライトンのハイプレスがズレる(誰かが1人で2人見る状況に)。GKエデルソンへブライトンの前線がプレスに出るとどこかでシティのフィールドプレイヤーがフリーになる。このズレを利用してシティが前進するシーンも。

反対にこのズレを作られない為にブライトンはGKエデルソンへプレスに出ないことも。そうなるとGKエデルソンには時間の猶予が与えられるが彼のその先のパスコースは無くなることに。この駆け引きが前半非常に面白かった。

しかし忘れてはいけないのがGKがエデルソンという男という事だ。世界で1番ビルドアップが上手いGKであり、誰よりも遠くへボールが蹴れるGKだと言うことを。

彼に時間の猶予を与えると、高精度のキックが前線へ蹴り込まれる。そしてここにハイプレスの2つ目の泣き所も重なり、シティがゴールを奪って見せた。

GKがフリーとなるのがハイプレスの1つ目の泣き所ならば、2つ目はDFラインの背後が手薄になる事だ。

高い位置でハイプレスをかける上で、ラインを高く設定しなければ中盤にスペースが生まれ、そこを利用されて前進されたり、跳ね返したボールを拾われるスペースを相手に与えてしまう。

よって陣形をコンパクトにする意味でもラインを高く設定する。しかしそうなれば当然背後は手薄になる。またブライトンはマンマークで明確に人を掴まえるので数的同数の状況に。カバーの選手も用意できない状態。

そしてシティの最前線にはハーランドが待つ。この条件が整った時どんなプレーが飛び出すか容易ではないだろうか?

ご想像通り、GKエデルソンから1発のロングボールで背後をとり、FWハーランドがゴールを沈めてシティが先制点をもたらした。

ブライトンのハイプレスの泣き所をついて、シティの選手の質を利用した先制ゴールが生まれた。

▪️下がらず、より前に出たブライトン

掴まえられないグリーリッシュ

シティはブライトンのハイプレスを長いボールだけでなく、配置移動でプレスのズレを作り出しショートパスで前進するシーンも。

試合序盤シティは左SBに入ったカンセロが内側に入り、陣形を中盤ダイヤモンドの3-4-3に可変しビルドアップを試みた。しかしこの可変システムはハイプレスで明確に人を掴まえに来たブライトンにはあまり効果を発揮しなかった。

そこで出方を変えたペップシティ。左SBのカンセロはサイドの高い位置に上がり、左WGに入ったグリーリッシュが中盤内側に入り、列を降りてボールをピックアップする変更を加えた。

ブライトンはグリーリッシュのこの動きを中々掴まえることが前半出来なかった。明確に人を掴まえるプレスを準備したブライトンはなぜ、グリーリッシュを離してしまったのか。

グリーリッシュを掴まえていたのは3CBのフェルトマン。最終ラインワイドに立った時のグリーリッシュは掴まえられた。しかし中盤に落ちる彼は掴まえられない。

なぜなら自分の持ち場である最終ラインを捨てて前に出るのは非常にリスクがあるからだ。自分が前に出れば背後のスペースが開く。そこに走り込むのはハーランドであり、そこへ蹴り込みのがGKエデルソン。そんな事も踏まえると、グリーリッシュは捨てて最終ラインに立ちたくなる心情もあったはず。そんなジレンマを抱えたフェルトマンを横目に中盤に落ちたグリーリッシュがフリーでボールを受けて前進していった。

より前に出たブライトン

エデルソン砲から先制ゴールを奪ったハーランドは、ベルナルドが獲得したPKも沈めた。前半のリードを2に広げられたブライトンは後半どんな修正をしたのか?

デゼルビ監督が示したプランはより前に出る事だった。

前半の戦い方でも十分前への姿勢を示していたがそれ以上に前に出ていった後半。前述したフェルトマンも自分の持ち場を離れて中盤までグリーリッシュを掴まえて潰しにかかる。他の選手たちも中盤に落ちてボールをピックアップするシティの選手を、前半よりも圧力をかけて潰しにかかった。

長いボールでの前進

ボール保持局面でもより前への姿勢を見せた。前半はシティ同様にGKを加えたビルドアップで、ショートパスで前進を試みたが自陣でボールロストが目立ちピンチを招いた。後半に入ると長いボールを多用して前進した。

ランプティを後半頭から投入した狙いも伺えた。

ハイラインのシティの背後を一気に狙う。また長いボールから密集を作りスクランブルからボールを拾って前進することも。この前進はデゼルビブライトンの特徴の一つ

後半返した1ゴールも長いボールがきっかけだった。

おわり

より前に出たブライトンが後半有利に試合を進めた。後半同点になりそうなトロサールの決定機もあったが、この試合デ・ブライネの一振りで試合は決した。


試合の総括としては、この試合はハイプレスをどう剥がすのか大会で非常にスピーディーで、戦術的にも面白いゲームだった。

軍配はシティに上がったものの、ブライトンの戦いぶりは非常に勇敢で、チームのレベルの高さを伺える90分であった。

ペップシティはミッドウィークにCLドルトムント戦が。この一戦でグループリーグ1位を決めて最終節を迎えたいところ。怪我人も徐々に戻り、リヴァプール戦の敗戦を引きずらずにまた!連勝街道を突き進もうではないか!


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