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【中盤空洞化のワケ】カタールW杯 グループA 第1節 セネガル×オランダ|マッチレビュー

アフリカ王者セネガルと、前評判高いオレンジ軍団オランダのグループA屈指の好カードが激突。

両チーム共にタレントが勢揃い。戦術的にも非常にハイレベルで面白い試合となった。

それでは早速試合を振り返っていきましょう!

グループAもう一つのカードはこちらで↓

◾️セネガルの特徴活かしたプレス

試合開始序盤ペースを掴んだのはセネガルだった。セネガルはオランダのビルドアップに対して、4-2-3-1の陣形でプレスに出た。

オランダの3バックに対して3人の選手をぶつけたセネガル。試合開始早々、右でボールを受けたデリフトから見事にボールを奪取し、ショートカウンターを発動させたセネガルが最初のチャンスを演出した。

前半10分を過ぎるとセネガルはプレスラインを下げて4-4-2のミドルブロックへシフトしていった。

リスクを考えてか前線よりも中盤より後ろのスペースを消しにいったセネガル。これによりオランダの3バックにボールを持つ猶予が生まれた。しかしそこから前の選択を中々見つけられない状況に。

オランダの前線の選手が流動的にポジションチェンジをするも、セネガルの中盤にはボールハントに長ける選手が並ぶので中々決定的な縦パスも入らない。

前半の半ばからオランダのトップ下のガクポがサイドに流れてボールを引き出すそぶりを見せて揺さぶりをかける。

しかしすぐさまセネガルの中盤メンディがついていきフリーにさせない対応を見せる。これに合わせて他のセネガルの中盤もマンマーク気味でオランダの中盤を捕まえる連動性を見せた。

オランダの長いボールやクロスもセネガルの2CBクリバリとシセのハイタワーに跳ね返され、オランダの攻撃は思い通りにいかない時間が続いた。

オランダが手札を変えればすぐさまセネガルも対応する。非常にハイレベルな駆け引きが試合序盤から見られた。

◾️セネガルの中盤空洞化のワケ

セネガルはボール保持の局面でもオランダを苦しめていった。セネガルは後方でボールを持つと、ぽっかりと中盤に空洞が生まれる。

セネガルは後方でボールを持つと4バックが横並びになり、横幅目一杯使ってボールを動かしていく。そしてセネガルが後方でボールを動かす狙いはオランダのプレスを前に出させることだった。

オランダのボール非保持の振る舞いは後方に5バックを形成し、中盤3人は人を捕まえにいく。そしてファーストプレスは2トップが担うそんな振る舞いだった。

前述した通りセネガルは4バックが横幅使ってボールを動かす。対するオランダのファーストプレスは2枚だけ。4バックに対して2トップでは中々ボールへでれない。特に幅をとるセネガルのSBにはプレスが届かない。

そこでオランダは5バックのWBを縦に押し出してプレスをかけに出る。

しかし次の瞬間セネガルは出てきたオランダのWBの背後へ長いボールを送り込む。この状況をセネガルは待っていた。

この長いボールに対してセネガルは前線の3人に加えて中盤3人も反応し、スクランブルを作りセカンドボールを回収して前向きを作り攻め込んで行った。

セネガルの中盤3人はボールハントに優れた選手たち。セカンドボールの回収率や反応スピードも極めて高い選手たち。

そんな彼らの特色も生かし、セネガルの中盤3人は長いボールが送り込まれる前線の3人の近くに配置し、セカンドボールを回収させる立ち位置を取らせた←これがセネガルの中盤空洞化のワケだ。

オランダの中盤は人を捕まえにいくので、セネガルの中盤が高い位置に上がれば当然ついてくる。これはセネガルの4バックへのプレスを緩和させる効果にもなった。

◾️旅に出るフレンキー・デヨング

守備はなんとか強靭な3バックと、切り替えの速さでごまかしていったオランダ。それでは攻撃では糸口をどう見つけたのか?

そのキーマンとなったはやはりこの男だった。何でも屋デヨングの登場だ。

まずはビルドアップ。セネガルの4-4-2ミドルブロックを前に、3バックが前への選択を見つけられずに攻撃が停滞していったことを見かねてが、フレンキーが列を降りてボールを引き受ける。

するとボールを受けると中央をぶっちぎってドリブルで前進し、あっという間にセネガル陣内へ。

一人でビルドアップを幾度となく完結させた。正にデヨングの真骨頂を発揮した。

試合を決定づけたのもこの男だった。

後半40分カウンターから右サイドをえぐったオランダ。右からのクロスが左サイドに流れると左WBブリントから左のハーフスペースで待つデヨングがボールを受ける。

すると高精度のクロスを中に送り込むと、これにガクポがピンポイントで頭で合わせて先制に成功したオランダ。

フレンキー・デヨングが自分の持ち場を離れて、ピッチを縦横無尽に旅に出た時オランダの攻撃は一気に活性化する。オランダが行き詰まった時は、デヨングを旅立たせればいいのかもしれない。

◾️マネがいれば…と呟きたくなるよね

後半に入ると前半何度も切り込まれたデヨングの中央ドリブルにしっかりと対応を見せた。

4-4-2のミドルブロックから前線の枚数を一枚減らして4-1-4-1のブロックに変更。

下がるデヨングがボールを受けられる猶予を与えることになったが、狙いはデヨングのドリブルの中央コースを封鎖することだった。

この狙いがハマりデヨングのドリブルを中盤で引っ掛けてショートカウンターから決定機に持ち込むシーンも。

前半オランダが見つけた攻撃の糸口も後半取り上げたセネガルがより、後半攻め立てるシーンが増えていく。

しかしセネガルは押し込むまでの局面は作り出すも、5バックを形成したオランダに決定打を与えることはできなかった。

相手をゴール前に押し下げた時に頼りになるはやはり個人の力。こんなときマネがいれば!というシチュエーションまで幾度となく持ち込んだセネガル。

たらればですが、個人的にあーマネがいれば…と何度も呟いてしまいました。

試合はオランダがロスタイムに追加点を奪い2-0とこのハイレベルの一戦をものにした。

【カタールW杯 グループA 第1節】
セネガル 0-2 オランダ


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