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徒手療法家のためのファシア考察

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ファシアについて徒手療法家が知っておくべき情報を随時更新していきます。またファシアに限らず徒手療法に関する事柄も随時追加していきます。
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#痛み

痛みについて勉強しなおす(24)---「Orthopedic Physical Examination Tests」の簡単なレビュー---

今回は痛みの治療に関係のある話題というところで「理学テスト」(整形外科的テスト」の本について簡単にレビューします。というのも、おそらくですが、私の調べた限りこの本は日本語に翻訳されていないので、日本人治療家達が情弱にならないよう紹介するのもいとおかし、かと思いまして(笑) ところで私のブログ読者の徒手療法家の方々は普段の臨床で「理学テスト」を行なっているでしょうか。例えば有名どころだとSLRテストとかアドソン、ライトテストなどなど。 私はもちろん専門学校で勉強しましたし、

痛みについて勉強しなおす(23)---新刊「Bodily relearning」の詳細レビュー---

2023年6月に痛みの科学の研究とそのセミナーで有名なNoi Groupから新刊がでました。さっそく1度ざっと目を通したのでレビューしていきます。ほとんどが「痛みについて勉強しなおす」シリーズで紹介した内容でしたが、復習的な意味合いと変わった目線からの説明という意味では買ってもいいのかもしれません。興味のある人は以下にNOIグループのリンクを貼りますが、まだ電子版は発売されておらずFBのグループで聞いた所、あと1年は電子版の発売はない模様ですので、英語が苦手だけど買おうと思っ

2022年にやってきたこと、考えてきたこと総まとめ(追記:リンク追加)

ブログ読者の方々、2022年もありがとうございました。本当なら、今年はあまり「勉強」してこなかったので、毎年恒例の総まとめはしないつもりでしたが、昨晩ある動画を見ていて思ったことがあったのでブログにすることにしました。 2022年は昨年に引き続き、エビデンスベースの考え方、治療法を常にチェックしてきましたが、8月下旬に思い立って英検1級の勉強を始め、今は世界で一番難しい英語の試験とされるケンブリッジ英検Proficiency (C2)の勉強をしているので、理学療法や生理学の

痛みについて勉強しなおす(22)---「New scientst」で”痛み”の特集がされていました---

今週号の「New Scientist」誌では痛みについての特集が組まれていました。 このブログの有料読者の皆様には特に目新しい情報はないですが、もしブログ読者の方々で徒手療法界の悪しき伝統「構造主義的治療」を止め、痛みの科学に基づくアドバイスとクライアントのQOLを向上させるような手技でクライアントに寄り添うような治療方針に変えた人達にとって、このNew Scientist誌を買って治療室とかに置いておくと、自身の治療方針の説得力をクライアントにもっとアピールできると思いま

痛みについて勉強しなおす(21)---Prognosis(予後)を再認識する---

最近はこのブログの更新が滞りがちですが、あいも変わらず暇な時間を見つけてはBen CormacとAdam Meakinsの「Better clinician project」(リンク)を見て勉強したり、painscience.comの記事を読んだり、physio networkのブログやダイジェスト(リンク)を読んだりしています。 それらはすべてエビデンスベースの治療やアセスメントの情報なのですが、それらで勉強していくうちに、私はずっとPrognosis(予後)について見過

ファシアとは(24)---経絡とファシアについての補足というか訂正---

過去のブログ「ファシアと鍼」(1)(2)(3)ではファシア界のスーパースターの一人Helene Langevin教授らの論文を紹介し、鍼灸師にとって”とても都合のいい”ファシアの情報を紹介しました。また過去のブログ「ファシアとは(8)」でも別の研究者の同様の内容の論文を紹介しました。詳しくは過去のブログを見てもらうとして、それらを簡単に説明すると ・「ファシアの重なり合う”面”が経絡の走行と似ている」 ・「鍼を刺して運鍼するとその鍼がファシアを巻きつけファシアの   スト

痛みについて勉強しなおす(19)---小ネタ集(6)---

今回で小ネタ集は最後で、腸脛靭帯炎(ITBS)ついてです。腸脛靭帯炎については比較的新しい解剖学的発見の情報があり、それを考慮するとかなり重要な内容のブログではないかと思います。(もしかしたら日本語でも他の方々がすでに紹介しているようであれば、私の自己満足のブログにすぎませんが・・・(笑))しかも腸脛靭帯炎にかなり有効だとする手術法が報告されていて、その手術法はまだ医師の間でもあまり知られていないようです。(一般的に骨格筋痛の治療には手術はあまり効果がないとされているが、腸脛

痛みについて勉強しなおす(18)---小ネタ集(5)---

あまり評判のよろしくない(アクセス数が伸びない)小ネタ集ですが(笑)、あともう少しで終わるので自分のためのノート的にででも最後までやりきります。今回はPFPSの続きで、もう一つ最後に腸脛靭帯炎も一緒にしようと思いましたが1万字を超えてしまったので、アイシングについて紹介します。 アイシングについては私も誤解をしてた部分があったのでちょっと反省しました。例えば 「炎症は体の必要な機能だ!アイシングで炎症を止めてしまうことは治癒過程を遅らせるからアイシングはやめておいたほうが

痛みについて勉強しなおす(0.5)---Rest(安静)の重要性を再認識すべき---

前回「痛みについて勉強しなおす(0)」では慢性痛と深い関係のある事柄を紹介しました。それらは全てクリアした上で「◯◯も試したけど治らない」と嘆くべき事柄で、実際には治療家にとっても患者さん側にとっても意外と見過ごされている事ではないかと思い紹介しました。 そして骨格筋痛の治療については過去のブログで紹介してきたようにBiopsychosocial model (BPSモデル)を元にしていくのが世界の常識になりつつあるのですが、そのBio(身体)的要素の中の一つで、実は私もあ

痛みについて勉強しなおす(17)---小ネタ集(4)---

今回の小ネタ集ではシンスプリントと膝蓋大腿関節痛(patellofemoral pain、要は膝痛)についてのE-bookからの私が興味深いと思った事柄の紹介です。 私は数年前まではシンスプリントの治療は前脛骨筋、もしくは後脛骨筋への鍼やマッサージで「簡単に」治ると信じていたし、仮にコンパートメント症候群と医師の診断があった人でも下腿の筋肉に鍼をさせば簡単に治ると信じていました。(マジモンのコンパートメント症候群ならまともな知識なく下手に治療に携わるのは超危険です!ほとんど

痛みについて勉強しなおす(16)---小ネタ集(3)---

小ネタ集も3回目になりましたが、あともう2回ぐらい小ネタ集がつづくかもです。 今回は頭痛、足底筋膜炎などについての紹介です。各項目にリンク先も記してあるので、ぜひdeepleなどで訳しながらご自身でも読んでみると面白いと思います。 頭痛に関しては私はいつも治療の時ちょっと構えます、というか緊張します。多分ほかの骨格筋以上に注意して問診します。過去に脳腫瘍や重症の蓄膿の患者さんにも接したりした経験があるので、単純に側頭筋のトリガーが原因だ!とか、首や肩の筋肉の緊張が原因だ!

痛みについて勉強しなおす(0) ---患者さんも治療家も知っていなきゃいけない事!---

「痛みについて勉強しなおす」シリーズでは痛みがどのようにして起こるかということをいろいろな本や論文を元に書いてきました。 たしかにそれらは非常に重要な事柄であることは確かなのですが、それと共に、そしてそれ以前に、我々治療家が普段患者さんの前で指摘すべき事であるのに今まで私もあまり意識していなく、積極的にアドバイスしてこなかった事柄があります。それは本来ならば”当たり前すぎる事柄”であるはずなので、今回は「痛みについて勉強しなおす」シリーズのゼロ(0)として書いていきます。

痛みについて勉強しなおす(15)---小ネタ集(2)---

今回も引き続き、私が去年からずっと勉強させていただいているpainscience.comからのブログやe-bookからの小ネタ集です。私自身はこうやって一度読んだものをまとめて、後日もう一度目を通すと改めて「あ~、なるほど!」と思うのですが、一度も元の文章を読んだことのない人にはあまり響かないのでしょうか?前回も今回もすごい情報満載だと思うのですが・・・。 ところでこの記事を書いている最中に「徒手療法批判への検証」(最近言われ始めた世界の理学療法界での徒手療法批判への批判)

痛みについて勉強しなおす(14)---小ネタ集(1)---

もしかしたらこのブログの値段設定が高すぎて、まだ購入してはいないけど気にはなっている人がいるとしたら、ぶっちゃけますと(笑)、このブログを購入してくださった方々は全部で30人ちょっとです。しかもそのほとんどはこのnote.comに移行して有料化した直後の方々なので、おそらくそれまで無料で公開していた内容へのご祝儀的な投げ銭だったと思います。多分アクセス数、記事へのスキボタンの押され方から想像すると、現在の「アクティブな読者」(このブログを今でも熟読しているであろう読者)は3〜