世界が灰色に染まる時
何も知らなかった僕は
自分の好きなように世界を彩ることができたのに。
今、目の前には灰色しかない。
鮮やかに夢や希望を乗せた未来を描くなんて
無知の特権だ。
社会を知れば知るほどに
嘘や欲やエゴといった渦に飲み込まれ
希望を絶望に変えていった。
人間を知れば知るほどに
自分も嘘と欲とエゴに塗れた人間だと気づく。
今まで清くて素直で純粋に生きてきたと勘違いしていただけで、全てはそこに尽きるのだと知った。
人を使い
人を蔑み
人をコントロールして
自分中心の世界を生きる人々と共に
僕も僕の思うままの世界を見ていたんだ。
これが、大人の世界なのか?
僕は抗いたかった。
こんな荒んだ世界で生きたくなんかないんだ。
それでももう1人の僕は問う。
そんな世界を知ってもなお、僕が僕でいられてこそ、僕の生きる世界は深さを生むのではないか。
頭に霧がかかってうまく働かない。
外では雨がしとしとと降っていて
窓に雨粒の当たる音が乱雑に聞こえている。
雨が上がれば
空に虹が架かるのを願って
類稀なる晴天を乞い
今日も灰色の世界に身を潜めていた。
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