散りぬは、花
春の嵐が巻き起こり
花も葉も風に吹かれて
遠くへと。
雲から落ちる雨が
耳の鼓膜を震わせて
冷めていく空気の塊。
あっ、雨音が聞こえない。
止んだのか?
下駄を履き
玄関を出ると
元気に走り回る子どもたちの声。
アスファルトには雨の滲んだ痕が残る。
息を吸えば
雨に濡れたアスファルトの匂いが
鼻に突き刺さる。
記憶が刺激され、
脳裏に浮かぶは過去の思い出。
胸の奥がキュッと痛む。
失われた鮮やかな花なる思い出。
散ってもなお花のまま、私の前に現れる。
ポツリ、はらり。
4月が終わるこの日もまた
花を想った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?