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【1分フィクション】

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1分以内で読み切り可能なフィクション作品集。 2022年1月より週1本追加しています。(2024.4時点) 追記:2024年度は不定期更新
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2022年4月の記事一覧

僕は日陰の人間だから

僕は日陰の人間だから

僕は日陰の人間だから
荒くて脆くて暗くて寒い

僕は日陰の人間だから
日向のようになってはいけない

僕は日陰の人間だから
目立ってはいけない

でも。

僕は日陰の人間だから
日向を見守って支えることができる

僕は日陰の人間だから
誰かの休む場所になることができる

僕は日陰の人間だから

荒いし寒いし暗いし脆いから

…ずっと日向の隣で離れられないから

人に寄り添えるんだ。

こんな世界なんて

こんな世界なんて

苦しくて苦しくて仕方ないのに

空に浮かぶ星たちはこんなにも輝いてみえる

この世の全てがどうでもいいと思った日に限って

ふっくらした月は優しい光で闇に沈む空を照らす

全部全部消えてしまえばいい

なのに、どうして

澄んだ空気が肺に溶けて脳へと届く。

また明日

明日だけなら

生きてみようかな

春のバスであなたを待つ

春のバスであなたを待つ

毎年この時期には、ある決まったバスに乗る。
バスには乗客が2・3人。
1ルートの最初のバス停から最終のバスターミナルまで。

耳にイヤホンをつけ、固定の席へ腰掛けた。窓の外は揚々として明るく、道は荒くてバスが大きく揺れる。

こんなに揺れているのに眠気にいつも襲われるのは何故だろう。いや、この揺れだから心地がよいのかもしれない。それか窓からの日差しのせいかもしれないし、そうじゃないかもしれないけど

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乱反射

乱反射

考え方、価値観がそれとなく統一されていた方が平和になるっていう考え。そんな未来のためには現在の犠牲はやむを得ないという考え。

そんなの、幻想だ。

(インターネットで人が広くつながった中で、世界の価値観や倫理観、考え方全てが似通ってきた。少しは生きやすくなったのかな?)

いいえ。
一気に炎が燃えては何事もなかったように消える。そしてその炎は無かったことになる。

過去の罪は無視して、今の私を見

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