【超・超・短編小説】くらやみかふぇ
古い雑居ビルの2階の奥に、暗闇っていう名前のカフェがあって、看板には、しょうわのにをいっていう可愛いフォントで、くらやみかふぇって、ひらがなで書いてる。
カランコロンって、扉にベルがついてて、藤井聡太くん似なのに、ちょっとエロっちい女の子が、ふっつーに、チェックのシャツとか着てて「いらっしゃいませ」って、ウインナー珈琲とかミルクセーキとか書いたメニュー持ってくる。
飲み物持ってきて急に向かいに座って「暗さどれくらいがいーい?」って聞くから「あ、ちょっと暗めで」って言ったら、テーブルに置いたスタンドをパチンって消した。
あのね、義理のお兄ちゃんっていうか、お姉ちゃんのだんなさんのことを好きになっちゃったなーっておもいながらソファに座ってたらいつのまにか夕方になって夜になって、何も考えられへんって考えてたら何も考えてない状態に戻ってきて。子供がいる人って、どこかちょっとうわのそらやんなー。はあ、わたし、もともとお姉ちゃんに嫌われてるし、とかって、言う。つまり、闇な話をしてくれて。それだけw
話し終わったら、パチンって電気つけて「ゆっくりしていって〜」ってカウンターの奥に消えていった。
お話は、店員さん一人3つづつくらい持ってて、何となくお客さんの雰囲気にあわせたり、自分の気分の順番に話したりで。それで、来月はまた新しい闇のお話3つ考えるらしい。本当の話なのかどうかわからない。
背中合わせの席からは「どんぞこ〜」ってやたら聞こえてきた。ぐるって見回してみたら、え、なんか、お話してる店員さんにお婆さんっぽいひともいた。
ミックスジュース900円もしたけど、なんか・・・また来るんだろうなとおもった。
(おわり)
*こんなカフェがあったら働きたいです*
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