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【ニュースコラム】安倍総理辞任と拉致問題

―安倍さん、あなたは結局このまま去るのですか?
多くの国民があなたに期待したのは、他でもない拉致問題ですよ

エラソーに政治の話はあまりしたくないが、号外まで配布されたこの話には触れざるを得ない。

昨日のテレビは朝からずっと、安倍さんが辞任を発表する前から、総理大臣が辞任した場合にどうなるのかという話ばかりされていた。すでに、マスコミ側へリークされていたのだろうか。情報化社会の時代に、こういう建前みたいなやり方は本当にくだらない。

そんなことに時間が割かれ、本当に報道されなくてはならないニュースが外されていく。安倍総理自身が正式に辞任を発表してから、報道すればよい話。

物心がついてから記憶に残っている総理大臣の中では、もっとも国会答弁の言葉遣いが丁寧で真摯に受け答えする人だった。決して人柄は悪くないのだろうと思う。

ただ、その人柄の良さがご夫婦ともども利用された感は否めない。モリカケ問題などは、その最たるものであろう。甚だ申し上げにくいことながら、ご夫婦にお子様がいらっしゃたら、また状況は変わっていたかも知れない。

様々な問題があったことは確かである。モリカケ問題しかり、桜の会しかり…。言い出したらキリがない。政争の道具にされていた感も否めない。ただ、強行採決や資料廃棄、人事などは本当に問題であった。

安倍政権の成果を問われると、安倍さんはほぼ毎回アベノミクスの話をする。経済問題は、どの総理大臣であっても要求されることであって、安倍さんへ特段に要請されたことではない。コロナ感染拡大も、誰が総理大臣をやっていても批判されていただろう。

また、日本会議や神道政治連盟の存在も見え隠れ。集団的自衛権に憲法改正にも賛否が巻き起こり、今日の新聞にも国民を二分したと評されていた。

では、安倍さんにしか出来ない、国民から求められていたこととは何だろう。もちろん、拉致問題の解決である。拉致問題は何ら国民を二分するものではない。憲法改正に賛成する人も、反対する人も、立場に関係なくその解決を強く望んでいるはずである。

安倍さんに再登板させる機運が高まった最大の理由は、拉致問題であったと言っても言い過ぎではないだろう。

現在、拉致被害者家族連絡会も二分されている。蓮池透さんの書かれた『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』という、本を巡ってである。書かれた表現の強さや、内容の真偽に関しては色々とあるのだろう。

ただ、テレビのインタビューで蓮池薫さんも、このままだと安倍さんは拉致を利用していると言われても仕方ない旨の発言をしていた。このままだといけないと思うから、こうしてインタビューに答えているとも、おっしゃっていた。

一方で横田滋さんが亡くなられたことを受けた記者会見で、めぐみさんの弟さんたちの発言が大きな反響を呼んだ。弟さんの安倍さんへの信頼やメディア批判も、また間違ってはいないと思う。

メディアの姿勢については、元・産経新聞記者の阿部雅美さんが、産経新聞「私の拉致取材-40年目の検証」の連載で詳しく書かれていた。連載は『メディアは死んでいた 検証 北朝鮮拉致報道』として書籍化されている。

安倍さんは辞任会見で、「拉致問題をこの手で解決できなかったことは痛恨の極みであります」と発言した。

―“できなかった”って、もう終わりですか?

「私の記憶が確かならば~」と、急に美食アカデミー主宰みたいになる。

記憶が確かならば、民主党政権時代に拉致問題の解決を図るべく、安倍さんに外務大臣のポストを用意するという話があったように思う。これこそ、まさに本当の超党派である。ただ、さすがにトリッキー過ぎたためか、安倍さんは申し出を断った。

まずは、しっかりご病気を治していただきたい。病気に対する批判は、本当に論外であると思う。横田さんのお父さん、有本さんのお母さんが亡くなられた今、時間的猶予は残されていない。しっかりとだが、速やかに治してもらいたいというのが本音である。

拉致問題を利用していないと言うのならば、安倍さんには是非そのことを証明してもらいたい。総理大臣というポストに固執する必要はないと思う。

病気を治された後、外務大臣か拉致担当大臣となって、拉致問題ワンイシューで解決に尽力することが、何よりの証明となるのではないだろうか。

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