連載小説「光と影」第3章 韓国生活:ひとり暮らし
富雄はソウルから少し離れた水原(スウォン)という街を選んだ。そこはソウルから1時間ほどのところだった。ソウルは家賃がかなり高かった。
アメリカから持ってきた資金では到底継続して払うことのできないほどであった。大学の周辺にある、安い宿を見つけた。
老夫婦が住んでいるその一軒家に、学生が寝泊まりしていた。食事はどこかで買ってくるか、外食であった。お互いほとんど話すことはなかった。富雄も生活のことが精一杯で学生と言葉を交わす余裕はなかった。
街の中はどこかさびしかった。それは