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歌舞伎@演目解説

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歌舞伎の演目解説をまとめました
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文楽をささえた「夏祭浪花鑑」

文楽をささえた「夏祭浪花鑑」

中華料理屋さんで「冷やし中華はじめました」の貼り紙を見ると夏が来たことを感じるように、文楽ファンのかたは、公演チラシに「夏祭浪花鑑」とでると、夏を感じるのではないでしょうか。

今回は、「夏祭浪花鑑」が夏の定番となるほどの人気作になった裏側をご案内いたしましょう。

歌舞伎なきがごとし 「夏祭浪花鑑」は初演当時から大評判でした。文楽隆盛の時代について、入門書には「“歌舞伎なきがごとし”といわれた時

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〈勝手に見どころ解説〉沼津@大阪松竹座七月大歌舞伎

〈勝手に見どころ解説〉沼津@大阪松竹座七月大歌舞伎

執筆が遅れに遅れ、千秋楽まじか。。。。申し訳ありません。

さて、今月の松竹座は成駒家兄弟の上方の風ただよう、沼津。セリフ回しも心地よく、舞台も後半暗く、なんかウトウト。。。私は昔、よく寝ました、はい。お芝居の肝の「平作家の場」で爆睡していました。この場面が来ると、突然、話が分からなくなって眠気が。。。
なぜ突然話がわからなくなったのか、、、このお芝居、実はお家騒動が背景にあるのです。その「お家騒

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〈勝手に見どころ解説〉俊寛@大阪松竹座七月大歌舞伎

〈勝手に見どころ解説〉俊寛@大阪松竹座七月大歌舞伎

「平家女護島」俊寛 
能「俊寛」をもとに、近松門左衛門が人形浄瑠璃のために作った「平家女護島」。人形浄瑠璃として1719年8月大阪竹本座で初演された本作は、翌年正月に歌舞伎として全段が上演されたことから、この作品の人気ぶりがうかがえます。
現在は、全五段のうち二段目にあたる「鬼界ケ島の段」がよく上演され、この段の中心人物の名前をとって、「俊寛(しゅんかん)」と呼ばれています。
ときは、平安末期。世

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[勝手に見どころ解説]吉例寿曽我@松竹座七月大歌舞伎

[勝手に見どころ解説]吉例寿曽我@松竹座七月大歌舞伎

今年も船乗り込みで、にぎにぎしく開幕をつげた大阪松竹座・七月大歌舞伎。松竹座の七月は関西歌舞伎にとっては特別なもの。
関西での歌舞伎公演が少なかった折、関西で歌舞伎公演を盛り立てようと、昭和53年にボランティア団体を結成し、翌年昭和54年5月に朝日座にて「関西歌舞伎を育てる会」第一回公演が行われました。
そのときの出演者は、十七代目中村勘三郎、五代目中村富十郎、二代目澤村藤十郎、五代目中村勘九郎(

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