手を差し伸べられる社会へ
昨今「セルフネグレクト」や「風呂キャンセル界隈」と言った、
なんとも分かりにくい言葉がもてはやされている。
そもそもそれが本人にとって問題のない、幸せである状態なのであれば特に問題にはならないはずである。重要なのはそれが生命活動に影響する様な重篤な精神的疾患に繋がっている可能性がある事である。
(うつや躁うつや適応障害等を含めた)精神的な不調に伴い、自分の身体にとって健康的な状態を維持する事が出来ず、負のスパイラルを生み出してしまう事にある。例えばうつ等の症状により活動量や意欲が低下し、外出が出来ず、風呂にも入れず、さらに外出する事のハードルが上がってしまう。
さて、さらに問題なのはこういった人たちが「自分自身で助けを求める事が難しい」点である。意欲が減退する為、何かに助けを求める事自体が通常時よりもハードルが高い。よって、誰かが手を差し伸べてあげる事が大事なのである。
しかし、少子高齢化・晩婚化・一人世帯の増加が進む日本とリモートワークの促進により今まで以上に手を差し伸べる事が難しくなっている。
何とか手を差し伸べる為に検知する方法は無いのだろうか。
自身や家族、知り合いの経験を聞いてみても症状は人それぞれである。運動量や食事、睡眠量は当然「健康的な値」は存在するだろうが、その人にとって「健康的に問題がある」と判定する為には、定常的な測定が必要であり、平常時に対してどの程度乖離があれば問題であるかを複合的に判定する必要がある。
さらに外部環境の変化も変数に含めなければならない、家族構成の変化、転勤、自転車から車通勤等、状況によって変化する無限の要素を含めることは不可能に等しい。
スマートリングのようなIoTデバイスで健康管理を行うモノは存在する(以下SOXAI RING)が、精神疾患に特化している訳ではない。(知見が無い為分からないが、おそらく「疾患」であると判定を出すことは法的に出来なさそうである)
では、学術的な研究も含めた所はどうだろうか。
「SWIFT」ではリストバンド型のデバイスによりうつ病の診断が行えるプロジェクトを行っているようである。
確かにこれが事業化できれば、「個人ごとの機械学習と判定」「医師の診断」どちらもクリアする事は出来ると思われる。しかし、この「このデバイスをつけられない人」はどうだろうか。
先にも述べた通り、うつ状態である際は意欲が低下するのだから「デバイスを付ける」と言った行為にもかなり難易度が高いモノになってしまう。
そこで私が注目するのは「住環境の悪化」である。セルフネグレクトに起因して衛生環境が悪化する、セルフケアが出来なくなる等通常出来ていた事が出来なくなる。
住環境内の「衛生度」を測定する事が出来れば、通常から逸脱した精神状態の変化を測定する事が出来るのではないか。つまり、住宅に「衛生度チェッカー」を家電として付属しておく方法である。何をもって「不衛生」と判定するのかは専門的な知見が必要なので何とも言えないが、(映像)・(音声)・温度・湿度・化学物質を総合的にマルチモーダルAIで学習させるのはどうだろうか。
※映像・音声はデータ取得される心理的ハードルが高い事が想定される為、温度・湿度・化学物質等で判定できる事が理想
※診断は「SWIFT」同様に医療機関へのデータ連携から行う
もちろん、人・住宅・周辺環境・季節によっての変数は存在するだろうが、IoTデバイスよりも固定された同一環境に配置できる為、より精度が高く判定することが出来そうである。
これを実現させるにはどんな人たちの協力が必要だろうか。パッと思いつく範囲で以下に並べてみた。
⓪居住者本人:データ取得の許諾が必要
①医療機関:データ連携及び診断を行ってもらう必要がある
②ハウスメーカー:「衛生度チェッカー」の導入協力が必要となる
③管理会社・オーナー:「衛生度チェッカー」導入協力が必要となる
④機器メーカー:「衛生度チェッカー」の開発・検証が必要となる(※機械学習を含む)
⑤自治体:有事の際のサポートや検証時の協力が必要となる
⑥清掃業者・ごみ処理業者:検証時やアラート発生時の後続サービスの協力が必要となる
(⑦保険会社:チェッカー導入による保険サービス優遇等)
安全な社会、手を差し伸べる社会を作り上げる為にはこういった仕組みづくりが必要ではないだろうか。
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