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【詩】狂愛【なもなも】


■本日の詩『狂愛』

手を取り合ったその瞬間に幕が上がったわ
恋の始まり 破滅の始まり

非難と批判の喝采が
当然あなたの耳にも聞こえるわよね

ちょっと ちょっと 冗談でしょう
好きだなんて言わなくていいから
あたしを床に殴り倒して その後で口づけて
抱きしめてろっ骨を折って

将来だとか まともなことは言わないで
壊すように愛して欲しいの
あたしをぺしゃんこに押し潰して欲しいの
優しい恋人なんて興覚めよ

あなたの足の下から生まれて あなたの腕の中で死にたいわ
あなたがいないとダメなんじゃないの
あなたがいないとダメにして欲しいの
一人でだって生きていけるわ
そんなあたしの人生を壊して

たった一時間の命みたいに
全部捨てて 全部踏みにじって
尊厳 尊重 いらないわ
殺し合うように愛し合いましょう

憎んでいいのよ 恨んでいいのよ あたしだけならね
愛していいのよ 抱いていいのよ あたしだけならね

クルクル回る赤色灯に囲まれて 二人でワルツを踊りましょう
異常者判断しにくる白衣の紳士に お互い騙されたって泣きつきましょう
どうせ分かってくれるのはあなただけよ 分かってあげられるのはあたしだけよ
全部笑い飛ばして 蹴とばしましょう

平凡 平穏 平和に平常
欲しいなら全部くれてやるわ あなた以外

仲人には青い制服を着てもらいましょう 
あたしたちはきっと深紅の晴れ着をまとってるから

あら、あなた
ちょっと待って あたしの手を離しちゃダメよ
あなたの足を切り落としたくなっちゃうから


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