見出し画像

“好き”を分かち合えるペットフードを。馬肉専門レストランの新たな挑戦|深掘りニスト

このnoteは、中小企業の社長さんに仕事への想いや仕事を始めたルーツを深掘りインタビューするnoteです。

|概要

麻布十番で創業13年になる熊本馬刺・馬焼肉専門レストラン『Ramu Tokyo』。地域で愛され続けるお店づくりには、熊本県出身であるオーナー宍戸由美子さんの“馬肉が好き”というシンプルな理由がありました。今回は、馬肉への想いと共に新しい挑戦についても深掘りしました。

|幼少の頃から通う大好きなお店のオーナーに!?

Ramu Tokyoは麻布十番パティオ沿いにある隠れ家的な馬刺・馬焼肉専門店

ーーーお店を開業したきっかけをお聞かせ願えますか?

宍戸氏:Ramu Tokyoは熊本にある老舗馬肉専門店『らむ』とのライセンスにより麻布十番で開業しました。今年で創業13年目です。実はこの『らむ』は私が幼少の頃から家族と共に通っていた、大好きな馬肉のお店。その『らむ』がある日、売りに出されることになり私の弟が買ったのです。熊本県の『らむ』は弟が経営し、東京で当初開業したのは『らむ』に惚れ込んだアパレル関連の方達でした。ご縁あって東京のお店は私が引き継ぐ形でオーナーになりました。私は馬肉が大好きなんですよ。だから、このお店では熊本の人が食べているのと同じ品質の馬肉を味わっていただきたいという気持ちでお料理を提供しています。

ーーー熊本で食べる馬肉とそれ以外で食べる馬肉はやはり違いますか?

宍戸氏:全く違います。私が東京に来て初めて馬肉を食べたときは違和感がありました。というのも、同じ馬肉を使っているにも関わらず、味や噛みごたえが熊本で食べるものと全く違っていたからです。そもそも、馬肉というのは熊本では牛豚鶏と同じようにメジャーな食材です。家庭でも肉うどんの具にしたりと、普通に食卓に並びます。それだけ、どうすれば美味しく馬肉を食べられるかを県民は経験から知っているのです。私もずっと馬肉を食べて育ちましたから、美味しく食べる調理の基礎はずっと自分の中に持っています。東京でも、熊本で食べるのと同じ美味しさで馬肉を味わってもらいたいと思うのです。

|馬肉の美味しさのカギは調理方法

ーーー私もRamu Tokyoさんで馬肉を頂きましたが馬肉のイメージが変わりました。もっと獣臭かったり繊維が多いのかしら?と思っていたのですが、とんでもない!赤身の質は柔らかく、脂身は風味があって甘くとろけていて、それでいて全くくどくない。こんなにも美味しく身体に馴染むのか!と驚愕でした。

宍戸氏:そうですよね。馬肉の特徴は脂身です。甘味があってとても美味しいのですがくどくなく、翌日の胃もたれもないのです。馬油には植物性の油脂や青魚に含まれる不飽和脂肪酸が含まれています。牛豚鶏の脂とは違うのですよ。そして、馬刺ができるくらい他のお肉より清潔です。というのも、馬の体温は高いために雑菌が繁殖しにくく、元から菌を保有していないことが大きいです。
とは言っても、やはり先ほど申し上げた通り、調理方法によって元々美味しい馬肉でも食べる時には美味しさ半減なんてこともあります。Ramu Tokyoでは切り方一つにしても、馬肉好きな熊本県民が培ってきた方法を採用することで、熊本と変わらない美味しさを皆様にご提供しています。とにかく、私は馬肉が大好きなのです。妊娠中も馬刺をバクバク食べていたくらい(笑)だから、私が美味しいと感じた馬肉をそのまま味わっていただきたいのです。その想いがお店づくりの基礎になっています。

ーーーお肉本来の美味しさはもちろんですが、その調理方法が実は美味しさのカギを握っていたのですね。お肉の仕入れ先にはこだわりがあるのでしょうか?

宍戸氏:もちろんです。当店で取り扱うお肉は全て契約牧場から仕入れたお肉です。この牧場が面白くって。食用馬の肥育に関してとても研究熱心なのです。元は学校だった敷地を活用して馬を放牧してみたりとか、ずっと放牧するのではなくタイミングを変えてみるとか。とにかく、美味しい馬肉にするために馬にとって最適な生活環境は何か?を常に考えています。
仕入れ先に関して言えばもう一つ。季節や部位によって仕入れ先を微調整しています。例えば、日本の夏は暑くお馬さんもバテてしまいますので、そんなときには少し涼しい地域で育ったお馬さんの方が美味しいのです。そうやって、いつでも高品質の馬肉をご提供できるようにしています。

|常連さんの一言から始まったプロジェクト

ノワールくん。「すごい食いつきでした」と飼い主さんから。

ーーー宍戸さんの馬肉へのこだわりや馬肉愛がとても伝わってきました。ところで、最近新しい取り組みを始めたとか。内容をお聞かせ願えますか?

宍戸氏:当店でご提供している馬肉を100%使用したペットフードを開発しました。まさかペットフードを開発するとは思わなかったのですが、実はこれ、常連さんの一言から始まったのです。当店の常連さんの中にはワンちゃんを飼われている方も多くいらっしゃいます。あるとき『私が食べているのと同じお肉を愛犬に食べさせてあげたい』というお声をいただいたんです。そこにプラスして、お店でのある出来事もこのプトジェクトを進める後押しになりました。ある日、元気のないワンちゃんを連れてお店にいらした常連さんがいらっしゃったので、馬肉はいかがかなと思ってご提供したのです。そしたら、そのワンちゃんがペロリと平らげたのです。全然元気が無かったのに。それだけ、ワンちゃんにも馬肉は美味しい食材なのかなとそのとき感じました。
確かに、馬肉は高タンパク低カロリーで知られているお肉で、鉄分などの栄養も豊富です。お店で提供している、人が食べる品質のお肉を使ってペットフードを作ったら、ワンちゃんも喜んでくれるかも。そこから馬肉100%使用のペットフード開発プロジェクトをスタートしたのです。

|馬肉の美味しさと栄養を生かし『とことん、シンプルに。』

Umaumaに使用している“クラシタ”という部位。脂身と赤身のバランスがちょうどいい。

ーーー馬肉を使ったペットフードですか!しかもお店で出すのと同じ馬肉で。人間も食べられそう。コンセプトをお伺いできますか?

宍戸氏:『とことん、シンプルに。』です。お店で馬肉本来の美味しさをお客様にご堪能いただくことと同じように、ワンちゃんにも馬肉本来の美味しさ、そして栄養をそのまま味わっていただきたいという想いからこのコンセプトにしました。このドックフードを作るにあたっての決め事は“馬肉は当店で提供しているものを100%使用すること・余分なものは配合しないこと”です。そのため、原料はたった2つ。馬肉とコンニャクイモ抽出物の増粘剤のみでできています。ブランド名は『Umauma』です。” 馬 ” の “ 旨 ” みをそのまま味わっていただけるようにという想いを込めました。

ーーー実際にワンちゃんたちの反応はいかがでしょうか?

宍戸氏:おかげさまで上々です。試作段階でワンちゃんに召し上がっていただいたのですが、飼い主さんからも「すごい食いつきでした」とご報告をいただいています。単体で食べることはもちろん、ドライのペットフードの上にトッピングしてお食事にされている方もいらっしゃいました。動画を見せていただきましたが、ドライペットフードよりもUmaumaを先に召し上がっているような。ワンちゃんは正直ですから、この結果が出てワンチャンにも喜んでもらえるなと自信が持てました。

ーーーお店のこれからとペットフードの事業のこれからをお伺いできますでしょうか?

宍戸氏:Ramu Tokyoは変わらず、いつでも熊本と同じ品質で馬肉をお召し上がりいただけるレストランとして続けて行きます。その中で、ワンちゃんにも喜んでいただけるならペットフードの事業も拡大していきたいと考えています。ペットフードに関してはまさに今からスタートで、クラウドファンディングをしています。クラウドファンディングだって初めての経験で勢いでスタートしました。多くのワンちゃんに馬肉の美味しさが届くことを願って。そして、飼い主の皆様が愛犬と好きな食事を分かち合えることを願って。

○プロフィール
宍戸由美子(ししど ゆみこ)
Ramu Tokyoオーナー
Ramu Tokyo http://ramutokyo.com/
馬肉100%使用のペットフード『Umauma』クラウドファンディング2023.12.31まで→ 88万円達成!

○インタビュアー
深掘りニスト 飯野真里子(いいの まりこ)
自分では気がついていない自分の魅力、あるいは商品やサービス、企業の魅力を引き出す深掘りサービスを展開中。

深掘りインタビューにちょっと興味あるなという方

深掘りインタビューについて質問したいことがある、話だけ聞いてみたいという方はこちらからお問い合わせください。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?