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室町期から大切に守られて来た希少梅・山形県寒河江市の谷沢梅来る(谷沢梅その1)

※本記事は旧ブログ(Ameba Ownd)からの引っ越し記事です。(もともとの更新日付:2023年7月7日)

谷沢梅の生梅、訳あり2.8kgを買った。
アンテナショップ「おいしい山形」で梅干しを買っただけではやはり満足できず…。

だって安かったから。でもとってもかわいい梅ちゃんです。買ってよかった。

中粒のサイズもまた良し

谷沢梅は山形県寒河江市高松地区の集落で代々大切に守り育てられて来た、一説には室町時代以来400年の歴史を持つと言われる在来種の梅。集落の名前から「谷沢梅」と名付けられたそうだ。
特徴は、比較的小粒ではあるが芳醇な香りと深い味わいを持ち、梅干しにするとたいへん美味しいこと。皮が薄く種も小さいため果肉が厚く柔らかく、梅干しにすると種がすっと離れるほど種離れが良いとされる。
酸味は強いが渋みやえぐみは少ないのも梅干し向き。谷沢の集落では梅干しをつくる際「夜露にあてながら三日三晩外で干し続け、一度梅酢に戻し、更に天日干しを繰り返す」という伝統製法が守られ続けているという。

梅の収穫が西日本〜関東からひと月以上遅れる東北では、天日干しを行う時期も遅くいわゆる「土用干し」にはならない。日照の少なさを補うため天日干しを繰り返したり、塩漬けして間もない段階から干し作業を繰り返す等の工夫が各所で見られ、また干さずに熟成させて梅漬けとして食される場合も多い。
私の地元秋田は日本で最も日照が少なく、青森・山形がそれに次ぐ。秋田で梅干しが「梅漬け」と呼ばれるのはそういう事情もあると思う。

私の父は寒河江市のお隣西川町の出身で、私も幼少期から山形の食べ物に触れる機会が多かった。寒河江と聞くと途端に親近感がわく。
「谷沢梅」という名称は最近まで知らなかったが、もしかしたら食べたことがあったかも。それ故この品種を知った時には是非手に取り漬けてみたいと思った。
谷沢梅は確かに希少性が高いようで、全国から多数のローカル梅が出品されるメルカリにおいても出品数は少なく、比較的高額傾向にある。そのため今年入手するか、或いは梅仕事に慣れた来年以降にしようか随分迷っていたのだが、かなりお買い得だった「訳あり品」を見つけたのでつい…。

訳ありの理由はご覧の通り、日焼けによる染みが多いことと、大きさや熟の進みにばらつきがあること。
故に売り手の方はジャムや醤油漬け等、見た目が目立たない加工を推奨されていたが、私はこういうのがむしろ良いと思った。家庭で収穫した梅ならこうなるよね、と。
私が谷沢梅に抱く「お隣の梅」的親近感からすると、いかにも庭で採れたようなこの梅たちが届いてうれしかった。

さて、まずは選別。大きさや傷、熟し方等で

①そのまま漬けられるもの(梅干し用)
②追熟が必要なもの( 〃 )
③染みが大き過ぎて梅干しに向かないジャム用


の3つに大まかに分類。梅干し用の中でも粒の大きいものはより分け、試しに低塩で漬けてみることにした。

先般買った谷沢梅干しはしそ入り塩分14%。これを手本とし、白干し段階では塩分12%、その後紫蘇漬けして全体が14%になるよう計算し、以下のように仕込んだ。

◆谷沢梅大粒の低塩梅干し(塩分7%相当):生梅約520g
梅521g、粗塩6%(31g)、梅酢30cc(塩6g相当)、はちみつ30g

塩分6~7%はこれまで試したことのない領域。それよりも低い塩分4%は少し前にフルーツ梅で試したが、味的には少々いまいちという印象だった。6~7%はどうだろうか。

塩が少ないと梅酢の上がりは鈍くなるため、塩と同様水分の排出を促す糖分(はちみつ)を加え、また市販の梅酢も少々加えて消毒と梅酢の出を促すことに。はちみつ入りは梅酢の上がりが速い。

お試しなので少量です

◆谷沢梅中~小粒の梅干し(白干し時塩分12%、紫蘇漬け後14%見込み):生梅約2kg弱
1)7月6日(到着日)仕込み分:梅1,370g、塩164g
2)7月7日(追熟1日後に追加)仕込み分:梅602g、塩70g

これまで梅干しは全て手軽なファスナー袋で仕込んできたが、今回はLサイズ(だいたい1kgまでなら入る)にも入りきらない未知の領域。うまく漬けられるだろうか。緊張を覚える。
今回のこの量に備え、予め漬物樽を買っておいた。昔の家庭によくあった、黄色くて丸いポリバケツ的なあれである。
買ったのは2番目に小さい10型(4kg用)サイズ。漬物樽は内蓋つきの方が絶対に良いといろいろな記事や動画で見たので内蓋つき、さらに重石と漬物袋もセットになった商品を見つけて注文した。
近くのホームセンターでももちろん揃うだろうが、これら全部を小柄な私が抱えて持ち帰るのは難しい。やはり通販は便利。

とは言え、商品レビューを読むとたまに樽からの液漏れ事例もあるようなので、念のため樽の中の全体をごみ袋で包むことにした。
ごみ袋を広げて樽内に添わせ、梅入りの漬物袋⇒内蓋⇒重石と重ねて行き、ごみ袋の口は縛らず蓋をして毎日様子を見る。

また、梅同士が重なり合わず、空気も遮断できるファスナー袋と比べ、今回の環境は梅同士が触れやすいため皮破れが起こりやすく、気温も上がって来ているのでカビの心配もある。皮破れ箇所からカビが広がる恐れもあるため、塩漬け作業時は霧吹きに入れたホワイトリカーを吹きかけ、袋の口を閉じる前にも改めて表面全体に吹きかけて消毒。効果があるといいな。

なお、梅は届いたその日に仕込んだ分と1日追熟させて仕込んだ分があるが、初日の袋に2日目の分も追加した。

周りの白いのがごみ袋、口を縛ってあるのが丈夫で便利な漬物袋

しっかり塩を入れたので、半日でけっこうな量の梅酢が上がった。
翌朝追加した分からも順調に梅酢が上がっているようだ。なんとかカビさせずに土用干しを迎えたい。

<2024年5月の追記>
漬物樽はあるとやっぱり便利。梅の季節が終わった後も、きゅうりの古漬けをまとめて仕込んだり、白菜や大根を漬けたりして大活躍。
夫婦世帯ならこのサイズで十分だと思うが、今年の梅仕事に備えて同サイズをもう1個買おうか迷っているところ。

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