Default Mode Network(DMN)は世界に革新をもたらす。
default 不履行、怠慢、初期設定
mode 方法、様式
network ネットワーク
この言葉から連想される日本語は、私なりに考えてみると
「怠けモードの神経ネットワーク」です。
これは神経科学の分野では、脳機能の一部を説明する用語になっています。一見、意味がよくわからない用語ですよね。
有名な話では、研究発表からわずか数年という短期間で例外的にノーベル医学生理学賞を受賞されたiPS細胞発見者である山中伸弥先生も、脳機能のこの仕組みがあったことでiPS細胞という宝物を発見したようです。
山中先生は、「家に帰ってシャワーを浴びている時に突如アイデアが来た」とテレビで言っていたような気がします。このエピソードに基づくと、それはDMNを基盤とした新たな知見の発見である可能性が濃厚です。
言葉だけだとよくわからないですが、
実際の状況でDMNが活発になっている時はどんな時かというと、
周囲の安全が確保され、意識的思考をしていない時。
端的に言うと「ぼーっとしている時」です。
厳密ではないかもしれませんが、ここではざっくりと、
「無意識的思考」と言いたいと思います。
ぼーっとすることが世界を変えるような革新的な発見をもたらす?
信じられないですが、実際そういうことも多々あるようです。
もちろん、ただぼーっとしているだけではダメそうです。
このDMNによって創造的な発見をするためには、準備段階として意識的な活動を行う際に、その対象となる難問に最大限集中し解決方法を繰り返し模索するというプロセスが必要そうです。
解決したい問題を心に強く思い浮かべると、それを忘れた無意識状態でも、脳の小人たちは話し合いを続けます。ぼーっとしている時も寝ている時もどこかしらでは解決の糸口を探すために話し合っているのです。
それが意識に上ってくることはないかもしれませんが、小人たちの会話の中で、画期的な解決策が出ると、一気に意識がフォーカスします。
この状態はいわゆる閃いたという状態です。
アイデアは考える人に降りてくる。
通常運転の脳内では、何かの明確な目的・行動を達成するために、合理的思考を働かせています。このときの脳内では、電気が流れる方向がある程度決まっていて、無駄がない一つの大きなベクトルになっています。
例えば運転をする時など視覚や聴覚などの外界の情報を瞬時に認識して、適切な運動(アクセルやブレーキの強さ、ハンドル操作など)として表出する。インプットとアウトプットの繰り返しで合理的かつ安全な運転が実現されます。
一方で、DMNは思考のベクトルがバラバラです。
バラバラだから無意識なのか、無意識だからバラバラになるのかはわかりません。
問題解決モードにおいて
意識的思考では、すぐに実現可能な最適解を能動的に
無意識的思考では、意識下における最適解を超える超最適解を自動的に
探しているということになります。
考える人が考え続ける理由は、一見考えてない時に良い答えが出てくるからなのかもしれません。考える人はたまには休まないといけないのです。
DMNは例えて言うと、学校での休み時間に似た風情があると思います。
そこらじゅうで、おしゃべりをぺちゃくちゃする人もいれば、教室から出ていってしまうひともいる。静かに本を読むひともいれば、校庭でサッカーをする人や、受験勉強をしている人もいるかもしれません。それらの人が、たまにコミュニケーションを取りながら互いを探っているような状態が、まさに脳におけるDMNの状態だと思います。
一方で、目的を持った意識的思考は、授業中に教壇に立つ教師の話に皆が一気に注目する様に似ています。このときには、情報をキャッチすることに集中するため、余計なことを考える余裕はありません。
休憩時間のような行間の時間って、無駄なようでとっても大事なんだと思います。
この例では、授業という緊張(意識的思考)と休み時間という緩和(無意識的思考)で比喩的に表現しました。授業は今まであった事実を(基本的に)一方的に伝える場であり、休み時間はそれをもとに皆で話し合う時間です。
スケールは違いますが、脳の中も教室の中も同じような現象が起きているのかもしれません。
学習環境に身をおいて情報をインプットしつつ、休憩時間に遊び心をもって思考を巡らすのがいいことを思いつくヒントになるのかもしれません。