風の谷のナウシカ 漫画版と映画版 

小学生の頃、何回も見返していた映画ナウシカを何十年ぶりかに観ました。
人類の文明が滅んでしまい、地球の主導権を虫と植物に奪われてから1000年後っていう舞台設定。

人類の生存圏は減少の一途を辿っていて、腐海と呼ばれる毒の植物の森と大型の虫達の生存圏が拡大し続けている。人類が使える資源は殆ど無く、中世と近代の入り混じったチグハグな文明レベルで暮らしている。

この映画の魅力は何と言ってもその世界観と設定の緻密さです。冒頭でナウシカが腐海の探索からオウムの抜け殻の一部を取り外すまでの丁寧な描写。惹き込まれますよねぇ。
そこかーらーのー!
「怒りで我を忘れてる!」
この時の音楽も大好きで。
もう心臓鷲掴みですよね。

序盤のもう一つの名シーン。
「ほら、怖くない」
これ以上にカリスマを持つキャラクターを私は知りません。憧れたなぁ。

で、映画は腐海を焼き払おうという大国トルメキアと腐海との共存を望む風の谷の争いになり、更にトルメキアを憎む他国の陰謀で、どちらも一緒に全滅必至のところで奇跡が起こるっていうストーリーですが、いやぁ見どころ満載ですね。

全体的にナウシカの超人ぶりが凄すぎるのですが、子供ながらに腐海の森で遭難してパニックになっているジーサンズ達に積荷を捨てさせるシーンと、中盤&終盤でミトに「○○弾発射!…、、用意!打てー!」ていう号令がカッコよかった。
改めて観てもかっこ良いシーンでした。
どちらも設定の緻密さに支えられた、登場人物達の常識とか備え持っている知識や経験が見え隠れするからこそのカッコ良さだったたりして。
ちょっと他にない演出ですよね。

世界観に加えてもう一つ、宮崎駿ならではの生き生きしたキャラクター達!
風の谷ならジル、大婆樣、ユパ様、ミト、ジーサンズ。
トルメキアのクシャナとクロトワ
ペジテの存在が少し薄くて、陰謀と相まってストーリーが分かりにくくなるけど、アスベル兄妹、アスベルの父母、身代りになってくれる女性。
人外枠でテト、王蟲、巨神兵。
どれもキャラが立ってて。

あれから40年。色んな名作アニメが生まれましたが、巨神兵が並んで歩いてるシーン以上に戦慄するシーンってあります?

話が変わりますが、私、高校生の頃かな?漫画のナウシカを読んだんです。
衝撃でした。
全7巻の内、映画の話は2巻くらいで終わってしまって。クシャナ殿下の故郷トルメキアに行き、その戦争相手である土鬼諸侯国連合に行き、民衆を影から動かす神聖皇帝が出てきて、更にその黒幕である墓所、、、。
何を言ってるかわからないと思いますが、ものすごいんです。
漫画の形をした設定集だと言っても納得してしまうくらい緻密な設定、世界観で。映画のキャラ達に負けない、強烈な登場人物が目白押し。
私のお気に入りは神聖皇帝・兄。
明晰な頭脳派で何とか世界の運命を変えようとした男。好きだなぁ。

漫画を読んでからは、映画なんて小さくまとめただけの作品じゃないか、、。と冷めてしまった気持ちがあったのですが、久々に観た映画はやっぱり完成度が高かった!キャラが生き生きしてるのはアニメならでは!

あと、巨神兵ですが、漫画だとあんなもんじゃないんです。もっと大活躍します。そこが唯一の映画の残念な部分なのですよねぇ。

今回映画を久々に観て気づきました。
最後、溶けたあとの巨神兵の骨格。完全にロボットでしたね。誰もそれに触れないし気づかない人も多いんじゃないですか?

あの巨神兵。映画だと不完全な生き物っぽく描かれてましたし、骨格も骨っぽい色になってましたが、漫画だとすごいですよ。生き物であることには変わりないのですが、完全にメカ!あるコマでは「○○工業」と読めるような模様が書いてある部品まで出てくるんです!(うろ覚えです勘違いだったらすみません。)
しかも放射能を撒き散らすんです。

でも生きていて。当然、生物兵器として作られたと思うじゃないですか?
違うんです。
まぁここからは漫画を読んでからのお楽しみです。

コレも小ネタに過ぎません。腐海の闇の深さ、凄いですよ。
腐海が世界を浄化しているということに気づいたのはナウシカか最初ではありません。腐海と共に生きる部族というか集団もいたり、旧世界の技術を独占している集団もいて。
様々な思惑が絡み合い、人間の醜い欲望が浮き彫りになり、クライマックスではとてつもない真実が明かされます。
映画にするには衝撃がありすぎてR15設定は確実だと思います。その真実を前にして人類が進むべき道とは?

まぁあの世界観を好きになった人は漫画をぜひ読んでみて欲しい。読んでから映画を見返してみて欲しい。
どちらも凄い作品です。



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