歌屋

元音楽屋兼歌師 現引きこもり 悲喜交交、徒然、オカルト・アングラな体験談(ほぼ実話)を…

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元音楽屋兼歌師 現引きこもり 悲喜交交、徒然、オカルト・アングラな体験談(ほぼ実話)を三文小説じみた感じで書いていく予定です。 宣伝・広告目的のフォローはご遠慮頂くと共に、 文章力の無さはご容赦ください。

最近の記事

尾を引く

かなり前の話。 中学時代の同級生(女)と地元の隠れた心霊スポットへ出向いたことがある。 季節はちょうど今くらいの春先、日中は汗ばむ程に暑かったり、時折冷え込んだりと安定しなかったのを覚えている。 場所は臥すが相当にまずいスポットだったらしく、後で知ったが地元の人は日中でも近寄らない場所だったそうだ。 場所もかなり郊外の方にあり、心霊的なもの以前に物理的にも危険(暗闇や野犬など)だったため、私は乗り気でなかったのだが、その同級生の強い申し出に押し切られて同行した。 結

    • 檻の中 送致

      ↑前回の続きです。 ※実体験につき、身バレ防止のため一部フェイクを入れております。 まず、同じ房に留置されていた他の3名について紹介したい。 1人目は『ケイ(仮名)』。 当時まだ未成年で、留置〜裁判の間に成人したという。 彼は北関東の某組織に所属しており、そこでのシノギで仲間内がミスをしてしまい、あえなく御用になったのだという。 少年時代はスポーツのジュニアユースに在籍していたそうだが、それよりヤンキーへの道を選んだとのこと。 いろいろとシノギの現場をこなすうちに、完全

      • 檻の中 留置

        ↑前回の続きです。 ※実体験につき、身バレ防止のため一部フェイクを入れております。 逮捕状が出て、しばらく取調が続いた。 取調室で待っていると、ノートパソコンを持った刑事と、若そうな男女の刑事、計3人が入ってきた。 「あなたの取調を担当しますTといいます。 後ろの二人は私の補佐を務めますK(男性)とS(女性)です」 Tと名乗った刑事は、後ろの若そうな刑事の紹介をしつつ、書類を何枚か出しながらノートパソコンを打ち始めた。 どうやら後ろの二人は新人刑事らしく、Tの打つパソ

        • 檻の中 前フリ

          ※実体験につき、身バレ防止のため一部フェイクを入れております。ご了承ください。 数年前、逮捕された事がある。 罪状は住所不法侵入と器物損壊。 取調や裁判では「酒に酔った上での短絡的で極めて悪質な犯行」ということで、それなりの懲役刑と執行猶予の判決が下された。 これは、その時にあった出来事と、その中で出会った人々との記録。 当時、私は都内のとある街の警備会社に勤めていた。 直近に住んでいた23区内のアパートを夜逃げ同然で出ていき、しばらくは知人宅を転々とする暮らしだった

        尾を引く

          勘違い (中)

          前回の続きです。 その週の土曜の夜、私はミユキと待ち合わせて夜の繁華街へ向かっていた。 相変わらずミユキはあーだこーだと理由を付けて、 私の自転車の荷台にその無駄に育った尻を乗せて気楽にジュースなんて飲んでいやがる。 憎まれ口の一つでも叩いてやろうと思っていたら、好物だったメロンソーダをすかさず出して来る辺り、なんとも要領のいい女である。 それ以前に私がチョロすぎるだけだったのだが。 道すがら、私はあれから数日間で探れるだけ探った情報をミユキに話した。 路上仲間の人伝に聞

          勘違い (中)

          豪雨

          私の住む九州の街でも先週末辺りからひっきりなしに雨が続いております。 水害でどうとかの被害はないのですが、 晴れ間が少しも見えないのが地味に効きますね… 梅雨時でもこんなに水気にまみれる事もないので。 まるで毎日が台風みたいです。 この街も予報では来週まで雨が続くと言います。 コロナの蔓延具合も日を追って加速していくばかりです。 明るくない話題ばかりが飛び交いますが、なんとか前を向いて歩こうではないですか。 また近々書いて出します。 不安定な日々が続きますが、皆様どうか

          勘違い (前)

          高校生の頃の話。 バイトが休みだったとある日の夜、私は自宅からほど近いファミレスに来ていた。 向かいの席には一組の男女が座っている。 女性は中学の同級生で、今は私とは違う高校に通っている上田ミユキ(仮名)という子だ。 今日はミユキに呼び出されてファミレスに来たのだが、単に食事のお誘い、という訳でもなかった。 事前の話によると「相談がある」との事で出向いたのだったが、来てみると男連れだったので、元々あまり乗り気ではなかった私のテンションは更に下降気味になった。 異性から誘わ

          勘違い (前)

          食堂

          東京の飲み仲間Dさん(仮名)から聞いた話。 Dさんは若い頃に反社会的勢力の組織に在籍していたという人で、現在はしっかり堅気になって土木関係で働いているという、少し特殊な経歴を持った方だ。 話だけ聞くとかなり厳つくて怖そうなイメージを持ちがちだが、痩せ型の端正な顔立ちをしたおじさんで、話し方も穏やか且つ理知的な方だ。 そんなDさん、本人は否定しているが霊感じみた能力を持っているようで、組織にいた頃から現在に至るまで、色々と不思議な体験をしているのだが、Dさんから聞いた話を

          高校二年生の頃の話。 「やっぱソロが綺麗に決まると曲が締まっていいっすねぇ!」 そう話すのは中学時代の同級生のヒロユキ(仮名)。 我々はスタジオ練習帰りに地元のコンビニの前に座り込んで駄弁っていた。 私「あのなぁ…他の人達、スコアをさらってすらなかったろ。 ちゃんと曲やら決めた上で練習してたのかよ?」 ヒロユキと私は別々の高校に進学したが、 訳あってヒロユキの通う高校の学園祭にギターのピンチヒッターとして出る事になり、 そのバンドメンバーとの初顔合わせ兼スタジオリハを

          逝川流水不絕

          梅雨時期は心のバロメーターも下がりがち。 それでも日々はいつも通り流れていくものだから余計に滅入るものだと思う今日この頃です。 私の住む九州地方も昨晩から断続的に雨が落ちています。 自転車通勤の私にとっては最も滅入る季節の一つ、 更にコロナ禍で動きに制限を課されている今の時期は更に滅入らされている訳で。 受電の仕事をしているのですが、 お電話頂くお客様も、一緒に働いている同僚・上司も自粛や蔓延防止で疲れているのか、どこかピリピリしたような日々が流れていっている様な気がし

          逝川流水不絕

          宗教

          小学生の頃の話。 当時仲の良かった友人で、K君(仮名)という子がいた。 私もK君も母一人子一人の母子家庭で、お互いなかなか周囲に馴染めなかった子供だったのだが、 ひょんなことから意気投合し、ちょくちょく遊ぶようになった。 K君は隣のクラスで、体育の合同授業でたまたまペアになり、何でもない話からゲームの話題になって、 共通のゲームにハマっていたことで意気投合した。 住んでいた町内も割と近く、登下校も一緒にするようになり、 休みの日の予定が合えば、お互いの家を行き来してゲーム

          白痴

          ※この文章には「発達障害」という言葉が出てきますが、決してそういった方々の非難目的で作成しているものではありません。  幼少の頃の話。  小学校6年生の冬、親の再婚に伴い九州の地方都市から郡部の田舎へ引っ越した。 中途半端な時期に転校したので馴染めるか不安しかなかったが、思いの外、周囲の人々も優しくしてくれて、すぐに遊び友達も出来た。  転校してある程度経ってから、クラスの中で全く馴染めていない子の存在に気づいた。 永島(仮名)というその男子生徒は、今で言うコミュ障気

          列 (後)

          列 (前)|歌屋 #note https://note.com/fallin7458/n/n3b0ba022fae7 の続きです。  サオリと話した翌日、祖母の実家の法事が執り行われた。 法事と言っても、午前中に檀家のお坊さんに家で読経を上げてもらい、それから先祖の墓を清めて参り、食事に行くくらいのものなのだが、 信心深い祖母にとって最大のライフワークでもあり、 本来だったらエミコの祖母、つまりは私の祖母の姉の仕事でもあるのだが、大病を患い、長距離での移動と法事の取り仕切り

          列 (後)

          列 (前)

           小学生頃の話。  当時、母方の祖父母と母と私の4人で、九州の地方都市で暮らしていた。 毎年夏の盆時期には祖母の実家がある海沿いの「ほぼ村」と言っても差し支えないようなド田舎に、祖母の先祖の墓参りついでに、祖母の親類も併せて数日滞在するのが通例になっていた。  私にとって、この祖母の帰省はちょっとした苦しいイベントだった。  流れとしては、曾祖母の命日でもあるお盆の時期に、私と祖母で前乗りして祖母の実家がある村に向かうのだが、 当時から激しい車酔い体質の私にとって、片道

          列 (前)

          4人組『化け物』序

          神奈川にいた頃の話。 20歳の頃、音楽の修行のため上京した先の横浜で、 バイト先の深夜シフトの大学生3人と仲良くしていた。 メンバーは当時の私より1歳年上のSさんとOさん、1歳年下のMという男性三人で、 バイト外でも遊びや飲みに行ったり、共に笑い、共に泣いたりするような仲だった。 そんな我々がよくしていた遊びが、俗に「心霊スポット」と呼ばれる場所へ凸しに行くことだった。 Mという男は今は亡き某有名霊能力者から命名されたという少々変わった経歴を持っており、 そんな経歴のお

          4人組『化け物』序

          4人組『化け物』前

          ーだから怖いとこなんて行くもんじゃないんだよ。 あんた達が行ったとこは、ちょっとした地獄みたいなもんだったんだからー 以前、とあるスポットで恐怖体験をした時に、 メンバーのお姉さんから言われた忘れられない言葉だ。 踏み込んではならない領域というものがある。 きっと我々はあの時、その境目を知らずに飛び込んだのだろう。 これは、今でも時折思い出す、 生きてきた中で最も恐ろしかった話。

          4人組『化け物』前