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V6と多様性

なぜV6がダイヤモンド社のダイバーシティ&インクルージョンマガジン、Oriijinに2017~2020年の4年間インタビュイーとして選ばれているのだろうか。

1.メンバーの多様性

2.メンバーカラーと楽曲

の点から考察してみたい。

まず基本情報としてOriijinとは何か及びV6との関係を簡単に書いておく

ダイヤモンド社によって2017年から年に一回発行されているインクルージョン&ダイバーシティメディアでその目的は以下の通り。

いつの時代も、人にはそれぞれのココロ(心・こころ)があり、
ココロとココロが対人関係を織り成し、社会をかたちづくっています。
…では、そもそも、ココロって何だろう?
このところ、よく耳にする
「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容)」って何だろう?
障がい者、LGBT、外国籍の人たちを取り巻く状況はどうなっていくのだろう?(https://diamond.jp/go/pb/oriijin/より)

2017年に井ノ原快彦さんのインタビューを掲載して以来2018年に坂本昌行さん、2019年に長野博さんときて今年は岡田准一さんであることが発表された。(以下敬称略)

毎年のインタビューでは「多様性!」と前面に押し出してくるのではなく個人やグループの活動内容を聞きながら社会についても少し聞く、というような構成なのだがテレビ誌やほかの雑誌で受けているインタビューより質問がバラエティに富んでいたり視点が違ったりと毎年とても楽しみにしている。

1.メンバーの多様性

(年齢) v6は39歳~48歳の6人で構成されるジャニーズ事務所所属のグループである。入所2か月ほどでデビューした最年少岡田准一の記録は今も破られていない。一方、上から二番目の長野博はデビューまで約10年、坂本昌行も9年かかっている。上三人をトニセン(20th century)、下三人をカミセン(coming century)と名付け、一つのグループに二つのユニットを作るという今までにないグループだったようだ。(※トニセン曰くデビュー時はカミセン、特に森田剛と三宅健、のファンばかりでコンサートで団扇を探すのが大変だったそう)

(活動の仕方) 6人全員がそろう番組、連載などはなく、コンサートや特別番組、CDのリリース時に雑誌露出がいきなり増える以外は個人活動が中心になっている。2008年に学校へ行こう!という長寿番組が終わってから2012年あたりまでは6人がそろう番組があったがその後は1人もしくは2人が週交代で出る番組が続いている。これは同じ事務所の他のグループとの大きな違いだと思う。

(個人活動) また、6人いても各個人の活躍するフィールドが違う。

💙まずリーダー坂本昌行は多くのミュージカル、舞台に出演しソロコンサートも2回開催している。ジャニーズでのソロコンサートは珍しくないが(森田も行っている)坂本の場合はBunkamuraオーチャードホールという異色なコンサートになった。

💜長野博は調理師免許、野菜ソムリエの資格を持ち年間1000件を食べ歩いて鍛えた味覚でバラエティから素材にこだわって食事を作る番組まで幅広くの分野に出演している。

💚井ノ原快彦はNHKのあさイチの司会を約9年務めたことをはじめに紅白歌合戦、ジャニーズカウントダウン、アド街ック天国の司会などMC業の傍ら警視庁捜査一課9係に12年間出演したりとマルチな活動をしている。

💓森田剛は舞台中心に活動しているが彼の演技は蜷川幸雄やいのうえひでのりなど多くの演出家から絶賛され「影を背負った感じを自然に出せる唯一無二の俳優」と評されている。

🧡三宅健は舞台、ドラマのみならず自ら始めた手話ではNHKで番組を持つなどジャニーズの枠にはまらない活動をしている。

💛そして岡田准一。日本映画界に欠かせない存在の彼は多くの映画で軍人や武士を演じているため時々切り替えができなくなり20周年のコンサートでは石油王のキャラのままコンサートをしていた。

(声質) メンバー曰く「V6の声は特徴的」(SHB コンサートMCより)でレコーディングをするとそれが顕著にわかるようだ。坂本井ノ原はよく「歌うまコンビ」と評されるように安定した歌声を持っている。坂本は軽く(リラックスしながら)歌っても驚くほどの声量があり声質も伸びがあり耳にやさしい。井ノ原は声に感情が表出しているような歌声で坂本とは一見対照的だが二人の声が重なると(willがおすすめ)二人ともいなくてはならないと強く思えるような音になる。長野はハニーボイスとも評される甘い歌声でトニセンで歌うときは主張が強めな2人の声に綺麗にハモったりソロの時はほかのメンバーには出せないとろけるようにやさしい声をしている。(桜色桜風がおすすめ)森田剛、三宅健は自他共に認めるくらい声が似ている。彼らの声はラップにとてもあうので二人がラップを務める曲は多い(keep. oN、guilty、fAKE,okなど)三宅曰く「キャラメルボイス」の二人はv6の歌声の中でも聞き分けやすいのであ、これはv6が歌っているなと判断することができる。また二人とも「口からCD音源」くらい安定した歌い方をする。森田は見た目に反してとてもやさしい声をしていて「キャンディボイス」と評されることもある(ソロ曲candyより)willの冒頭やsupernovaの冒頭がおすすめ。岡田は一番ジャニーズっぽい歌声でどの曲でもだれが相手でもうまく合わせられるが聞き分けるのが難しい。

6人の声が堪能できるのはsexy!honey!bunny!の途中にある「Go!」と6人が順番に叫ぶところや「君が思い出す僕は君を愛しているだろうか」「Air」などがある。

このようにv6は個性豊かなグループである。コンサートの打ち上げも6人がそろうことは少なく、プライベートで会うこともほとんどないという。(最近はお互いの作品を見に行くようになってきたらしい)森田がある番組で「アイドル:俳優は0:10」と答えた一方三宅は(ステージ上では特に)アイドルであることを一番全うしているなど各メンバーのスタンスも様々だ。それでも彼らはV6を続けている。デビューから今年で25年、彼らにとってv6とは空気であり、仕事仲間であり、母体であるとともに「外で活動して帰ってくると安心する、落ち着ける」「ずっと一緒にいるメンバーだから甘えが出る」ような場所になっている。

多くの点で多様性を体現しているv6だからこそオファーを出そうと思ったのかなと結論。

20周年記念でメンバーが作詞、井ノ原が作曲した「此処から」がおすすめ。

2.メンバーカラーと楽曲

個人活動について説明した際に使った6色のハートがメンバーカラーとなっている。ただ2013年に固定されたようで本人たちはほとんど自分のメンバーカラーを把握していない。年齢順に💙💜💚💓🧡💛となっているがこれはレインボーフラッグと同じである。それに気づいた時ぜひ何らかの形でV6に活動にかかわってほしいと考えていたのでOriijinが発売されたときはとてもうれしかった。

また、2016年に発売されたCOLORSという楽曲があるのだがこれもセクシャルマイノリティをはじめとしたあらゆる種類のマイノリティや生きにくさを抱えている人々への応援歌のように感じられる。

どうして 僕はこんなに
自分を隠して生きてる
仮面を外した姿 人に
笑われるのが怖いの?

と始まり、

どうして 君はそんなに
うつむいて歩いているの
誰かと比べて泣いてないで
君だけの光を見て
もう自分に嘘つかなくていい
ありのまま 生きてみるんだ
そのままの君 輝くから

がんばれ!と応援されるよりも丁寧に励ましているこの歌詞は多くの人の心に届くと思う。

ジャニーズ事務所といういまだに同性愛をからかったり避けたりするような男性によって作られ男性だけで構成される異例の集団においてLGBTの問題を取り上げたり活動に参加することはとてもハードルが高いのは容易に想像できる、ただ同時に影響力も大きい事務所だと思うので差別、偏見が残るエンタメ界の状況を改善するには大きな力を発揮すると思う。


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