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100年の恋が冷めたと言われた話。

このお借りしたトップ画像の女性、ものすごくおしゃれな感じの方ですね。こういうファッションはとても好き。さらっとしてて爽やかです。スプリングコートを軽くかけている感じが美しい。

女性は特に、人前に出るときはオンオフを切り替えるといいますか、当然おしゃれしてきれいにして出かけるものです。スタイリッシュに仕上げるかふんわり柔らかく女性らしくするのか、カジュアルな服でナチュラルに仕上げるのか、いずれにせよ外用の見た目をよりよく作りあげるんです。

社会人1年目の話ですが、なんていうか、付き合っていた人がいたんですが別れたいなぁって思い始めたことがありまして、つまり心変わりした経験があります。浮気とまで断言するかのご判断はお任せしますが、次第にその彼より新しい彼のほうに興味が湧いてしまったんです。申し訳ないけど。

私は就職したとき、付き合っていた彼はまだ学生でした。浪人して入学していた彼は私とは1年遅れだったんです。だから社会人と学生の恋愛という状態になりました。

あるあるパターンでしょうか、うまくいかなくなりますね。

もっと会いたいと強く言われました。私は初めて会社で働くわけですから分からないことも多いし、先輩も厳しかったので必死でした。精神的にも体力的にもクタクタの日々を送っていたんです。

でも彼は「会いたい」と言う。

せめて会社に迎えに行って家まで送るだけでもいいから会いたいと言われました。

疲れ切っていた私は、それならと迎えにきてもらってたんですが、回数を重ねるごとに彼は不満を募らせていきます。

「俺、送り迎えだけやん?」

とある日、とうとう不満を爆発させました。

「いや、ほんまにしんどいねん。体力が」と説明しましたが、どうも納得してもらえません。

こんなふうに学生時代と同じペースで会いたがる彼と、思うように時間を取れない私の恋愛はじりじりと続いていました。当然、口喧嘩のようなことが増えます。社会人1年目の「しんどい」を理解できない彼に疲れてきます。

「じゃぁ迎えに来ないでよ」

「じゃぁいつ会えるんだよ」

そんなやりとりが何度も起こりました。

自然と私は彼の存在が重くなってきたんです。

一方で同期が100人ほどいる会社だったので、周りには話の合う男性もたくさんいました。一緒に上司に対する愚痴を言ったり、仕事の相談をしあったり、飲みに行ったり、そんな付き合いが同時進行で広がっていきました。

飲みに行くと帰りの電車が一緒になる男性ととても話が合ってその彼の存在が少しずつ大きくなってきました。

彼は女性と付き合ったことがないと言っていましたが、落ち着いていて明るくてとても魅力的な人でした。

冬が来ました。

寒い冬の日に、コートを着た私たちは二人で道を歩いていたんです。寒いなぁって思った私はちょっと彼にくっついたんです。どちらともなく手も繋いでしまって繋いだ手を彼のコートのポケットに入れてしまいました。とっても温かくて二人でポケットの中で手をつないで歩きました。

完全にこれはアウトですね。どこからが浮気なのかは人によって違うと思いますが、私は自分の彼氏が他の女性とコートのポケットで手を繋ぎ合ったらアウトです。

許さないとかそういう話ではないけど、そこで終わるはずはないんです。明らかにお互いが好意を持っている行動だと判断します。

つまり、そういうことです。私は同期の彼に好意を持っていました。

手を繋いだ段階で、私は彼と別れることを決めました。

彼には「別れたい」と告げます。絶対に嫌だと何度も考え直してほしいと言われました。

だけどもう無理でした。彼との付き合いはしんどくて、同期の彼との時間は楽しかった。それが答えです。

こうして一つの恋を終え、私は次の恋に向かいました。

終わったあとも、別れた彼から何度か連絡があり、私に会いに来ることがありました。夜遅くに会いに来る彼の車に乗ってたわいもないおしゃべりをしたことがあります。

こうした時間はどうだろう、4、5回あったのかもしれません。数ヶ月くらい続いたように思います。

そして、ようやくタイトルです。

私はもうこの彼の前では自分を作らなくなっていました。どの服で会おうかなって服を選んで、髪型をかわいくして、彼とのデートを楽しみにして、そんなふうに外で待ち合わせたころのように気を使わなくなりました。オンオフでいうと完全にオフ状態です。

仕事から帰って夕食を済ませてお風呂まで終わって、そのころにやってくる彼に対しては、もうすっかり一日を終えた私でしたから。

とても寒い日でした。

私は髪を頭の上のほうでチョンとくくって、母親のほこほこのコートを着た姿で彼の車に乗り込みました。もちろんノーメイクです。

そんな私を彼は一目見て言いました。

「お前、気ぃ抜きすぎやろ。その服装なんやねん」

呆れ顔でした。いや、私もうあなたの彼女じゃないし、こんな時間にやってきてそんなこと求められても、とは思ったんですが言いたくなる気持ちも分かるごもっともな外見でした。

「100年の恋が冷めた気分やわ」

そうして彼は私への恋心をきれいさっぱり消し去ったようで、その後、二度と会いにはこなかったです。

なんだかちょっとキレイなままの自分を彼の中に残しておけなかったのは残念な気もしましたが、彼の恋心を消滅させることができたのならそれで良かったんだと思います。


2177文字

#エッセイ #100年の恋 #恋 #思い出 #社会人1年目 #就職 #外見 #ファッション #別れ

彼が就職してしばらく経ったころ、理由は忘れましたが一度連絡を取り合ったことがあります。彼は言っていました。「お前が就職してすぐにしんどいって言ってた気持ちが分かったわ。あの頃、俺がそれを分かってたら別れることにはならんかったんやろけどな」と。

相性だけでなくて付き合うタイミングというのも人生の中にはあるんだろうと思います。ご縁というものでしょうか。


お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨