青藍タツキ🧲🌙@作家系Vtuber

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最近の記事

■喧嘩するAIと後輩に挟まれて大変なことになってる件

ノエルとダグラスが火花を散らしてから3日、今の時点では特段何事もなかったように過ごしている。 が、2人がなにかの拍子に顔を合わせるとどうしてもギスギスするので、個人的にはとても肩身が狭い。 「私を挟んでにらみ合いすんなおまえら、頼むから」 「ダグラスが別の場所で食事を摂るなら考えます」 「アンドロイドが食事取る必要ないだろ。ノエルこそ早く持ち場に戻れよ」 「もーーーーー!」 当然といえばそうなのだけど、ノエルは私のサポーターという扱いでザナフに滞留しているので、基本的にオペ

    • ■隙あらば恋人になろうとしてくるAIにライバルが現れた件

      私こと、シャルロット・クレールは恋愛経験が皆無であった。 それもそのはず。 スラムのような場所で生まれ捨てられ、傭兵団に拾われて物心ついた頃から傭兵団の一員として昼も夜もなく働き、気づけばクソみたいな野郎どもを一蹴するどこに出しても恥ずかしくない傭兵となっていた。 いつ死ぬかもわからない傭兵稼業で近づく男はだいたい身体目当ての猿ばかり。 傭兵という職業柄まともな恋愛ましてや結婚などできるはずもないと、選択肢は頭から意図的に除去していた。 はずなんだけどなあ…… ーーー

      • ■無口?な聖女の夜のお仕事

        『はい』 『いいえ』 『拝領しました』 『滅相もございません』 『司祭様にお伺いいたします』 『皆様に神の祝福を』 これが、聖女マグノリアが神殿で発する言葉のすべてだった。 聖女は神殿で人々を癒やし、また平和の祈りを神に捧げる。 透き通った銀色の髪の内側に見える美しいかんばせには笑みの一つも浮かばない。 常にどこか遠くを見るような憂いを帯びた空色の瞳も相まり、聖女マグノリアは『悲壮の聖女』と呼ばれていた。 正午も回ろうかという頃、神殿にやってきた民たちとともにその日最後

        • ■水底の怪 +後日談

          ■8月X日 19:30 その日は、雨が降っていた。 夏真っ盛りの8月、お盆シーズンには珍しく、1日中雨が降っていた。 「おつかれさん」 「お疲れ様でした」 「じゃあ、なんかあったら連絡ください」 「大丈夫だとは思いますが……わかりました。ありがとうございます」 四平坂総合本舗清掃課のフロアで、私は雨月さんに一礼する。 またしても私が担当するお宅でお祓い騒ぎとなってしまい、雨月さんに同行してもらったのが昼の清掃業務のこと。 今回は変な写真も撮影せずに済んで良かった……と

        ■喧嘩するAIと後輩に挟まれて大変なことになってる件

          ■油断して捕まった元悪役令嬢ですが、お国の危機を救わないといけなさそうです。

          壮麗な白亜の城が炎で真っ赤に染まっている。 美しかった城下は炎により焼け落ち、魔物が溢れかえり、いくつもの遺体と魔物の死体が転がっている。 途切れない怒声、悲鳴、罵声や泣き声、断末魔。 王都はまさに阿鼻叫喚の様相で滅亡の時を迎えていた。 これは一体……? ぐるっと周囲を見回してみると、わたしはどうやら宙に浮いており王都の惨状を見下ろしているようだ。 「ニコラウス王子殿下と聖女様はいずこに!」 「わ、わかりません! すでに脱出したかと!」 「なぜだ! 聖女様のお力が今こ

          ■油断して捕まった元悪役令嬢ですが、お国の危機を救わないといけなさそうです。

          ■冒険者ライフを満喫する元悪役令嬢ですが、謎の宗教を調査しています。

          「来ちゃった☆」 王都を取り囲むお堀から続く関所を冒険者ギルドの身分証で難なくクリアして進むと、大通りの先に王族の住まう場所にして政の中心地でもある荘厳なお白が眼の前に見える。 アンドラス王国の王都シュタイア。1年ちょっと前までわたしが住んでいた土地である。 城下の様子は殆ど変わりがなく、大通りを行き交う人々も活気に溢れている。 追放前は出歩けたとしても侍女つき護衛つきで学園とかお貴族様専用エリアくらいしか行き来したことないんだけどね。 実家の様子も気になるが、今の身分は

          ■冒険者ライフを満喫する元悪役令嬢ですが、謎の宗教を調査しています。

          ■念願の冒険者になった元悪役令嬢ですが、攫われ体質の仲間と冒険しています。

          ドンドコドコドコドンドコドコドコ。 頭上で大きな太鼓の音が鳴り響く。 あまりのうるささに目を覚ますと、宿の簡素な石造りの天井ではなく、満点の星空が見えた。 ……は?????? 「えっ、えぇ~~~~~~!!」 思わず叫び声を上げるも、鳴り止まない太鼓の音にかき消された。 アッしかもなんか手足拘束されてて動けない! なんこれ! 誰か事情説明ぷりーずみー! いやいやいやいや。まず状況を把握しよう、はりーあっぷ。0.05秒、蒸着急いで。 追放されるときに両親がこっそり持たせて

          ■念願の冒険者になった元悪役令嬢ですが、攫われ体質の仲間と冒険しています。

          ■2周目の悪役令嬢ですが、冒険者を目指すためにまずは処刑エンドを免れたいと思います。

          それはひどく退屈な貴族の社交場でのことだった。 「ヒルデガルド・フェルゼンシュタイン、お前を処刑する!」 婚約者である第一王子が怒気を含んだ目で私を見ている。 それに寄り添うのは予言にあった救国の聖女と言われる儚い容姿の女性。 その時、わたくしは唐突に思い出してしまったのです。 いやさすがにこれはひどくね????? 処刑台の階段を粛々と上りながら、わたしはあんまりといえばあんまりの状況に、内心ぼやく。 婚約者であるこの国の第一王子とも、政略結婚と割り切りつつそれなりの

          ■2周目の悪役令嬢ですが、冒険者を目指すためにまずは処刑エンドを免れたいと思います。

          ■ビビリな退魔師と無表情な清掃員

          朝。手入れのされていない鬱蒼と生い茂る柳と観葉樹に覆われた大きな洋館の前で自分は人と待ち合わせていた。 洋館からはほんのりとした冷気と腐臭のような匂いが漂ってきており、いかにも何かいますと言いたげな雰囲気をバチバチに漂わせている。 憂鬱だ。 程なくして四平坂総合本舗というロゴの入った作業着を着込んだ無表情な清掃員が近くの駐車場の方からやってきた。 「四平坂総合本舗清掃課の新倉です。よろしくお願いします」 新倉と名乗る人間は清掃業者らしく作業着と作業帽に身を包んでいる。

          ■ビビリな退魔師と無表情な清掃員

          ■『魔女姫と黒き翼の王子』 後編

          けたたましいアラーム音で俺は目を覚ます。 「ん、んん……」 起き上がって周囲を見回すと、見慣れた狭いネットカフェの個室だった。 「あふ……」 どうやら、本を読みながらそのまま寝てしまっていたようだ。 本のページは魔女姫をかばって大怪我を負った王子が目を覚まし、魔女姫と熱い抱擁をかわしているシーンを書いている。 感動的なシーンだけど、相変わらず挿絵には王子の姿はない。 俺が絵心でもあればちょっとはマシだったかもしれないけど、へのへのもへじがかける程度のお粗末なものだ。 「っ

          ■『魔女姫と黒き翼の王子』 後編

          ■『魔女姫と黒き翼の王子』前編

          昔から平凡だった。 そのクセ、昔から人との縁には恵まれなかった。 昔からお人好しと言われ、なんとなく人からはコキ使われて、それでもなんとなく生きていた。 そんなふうにダラダラと生きてきた人生の中でも割と最悪なことがあった日、やけ酒して酔っ払って、挙げ句に迷い込んだ住宅街の片隅で古ぼけた小さな店を見つけた。 普段なら気にもとめないような古い店構えだが、俺はほんのりと漏れる明かりに惹かれ吸い込まれるようにして中に入っていく。 「いらっしゃいませ」 妙に若い女性の声が店の奥に

          ■『魔女姫と黒き翼の王子』前編

          ■もらった人工知能が○○だった件

          携帯用デバイスのアラームが枕元から聞こえる。 『おはようございます。午前2時です。現在の気温は20度となっています』 アラームを止めれば、女性とも男性ともつかない音声がデバイスから流れてきた。 「おー、おはよ……寝る前に渡した歴史書はどうだった?」 『近代汎用機械史の項目で新しい知見を得られました。また、現在搭載されているEST-14型のルーツを知ることが出来たのは収穫です』 「そいつは良かった。そしたら今度は汎用機械兵器の歴史書でもインストールするか?」 『お願い致します。

          ■もらった人工知能が○○だった件

          ■おやすみなさい。良い夢を■

           ひどく寒く、ひどく曇った日のことだった。  狭い谷の、かろうじて馬車1台か2台が走れるような道で、2人の兵士が己の武具を最大限動員して敵兵を押し留めていた。 「あーくそ、こいつらしつこいったら……!」  曇天の下、赤黒い血飛沫とともに、敵兵の首が飛んでいく。 「何が何でも王子殿下の書状を奪いたいってことだろ」  爆裂音が響き、後方の敵兵が吹っ飛んでいく。2人には予め設置していた地雷が機能したということはわかった。 「気取られた時点で負けってやつじゃんそれ!」 「そうさせない

          ■おやすみなさい。良い夢を■

          ■あーちゃんとわたし■

           真っ赤な夕日が公園を照らしている。  公園のブランコには一人の女の子が座っている。  真っ黒な長い髪に赤いリボンがよく似合うそ子はあーちゃんだ。 「あーちゃん、あそぼ!」 「いいよ」  誰もいない公園で、わたしとあーちゃんは暗くなるまで遊ぶ。  それが、お母さんがパートで遅くなる日のお決まりだった。  気弱で泣き虫なわたしは、あーちゃん以外にとても仲のいい友達というのがいなくて、いつもあーちゃんに遊んでもらっていた。  どのくらい前かは忘れたけど、きっかけは公園で一

          ■あーちゃんとわたし■

          ■悪の組織の親玉に転生したけど、そんなことより温泉入りたい■

           拝啓  父さんお母さん、突然旅立つ不幸をお許しください。  一人温泉旅行やら一人スイーツバイキングやら、結婚もせず遊び呆けて最後まで心配をかけてしまい申し訳ありません。  まさか、温泉旅行にでかけた矢先にトラックに轢かれてしまうとは思ってもいませんでした。  いつしか悲しみは癒えると思います。兄夫婦とこれから生まれてくる孫を生きがいに末永く暮らしていただければ幸いでございます。  そんな私の近況でございますが……。  カッコン。  ししおどしの音が響く深夜の温泉。  

          ■悪の組織の親玉に転生したけど、そんなことより温泉入りたい■