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「星の本」3選 FIKAのブックトーク#13

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「星」。
星や天体観測を扱った本を3冊紹介します。




「この夏の星を見る」 辻村深月

直球、王道、ストレートな青春群像小説です!

コロナ禍の2020年春、全国の中高生はそれぞれ鬱屈を抱えていました。
茨城の女子高校生、亜紗。
東京渋谷の男子中学生、真宙。
長崎五島列島の旅館の娘、円華。
星を見るのが好きなのに、コロナ禍の行動制限で思うような活動ができません。
それでも、それぞれの葛藤の中で今の自分たちにできることを模索し「スターキャッチコンテスト」というネットでの天体観測の大会を通して全国の同世代の仲間と出会い繫がって成長していきます。

正直、この数年のコロナ騒動を、私はとっくに青春を通り過ぎた大人でラッキーだったと思いました。もし自分が中高生だったなら、一年一年の重みが全然違っていたはず。ゴールが見えないままいろんなことが中止や延期になる日々が続いたら、キツくてしんどくてやりきれなかっただろうなあ…

でもここに描かれている中高生たちはコロナ禍の理不尽の中でも「失ったとか奪われたとか決めつけてほしくない」と言います。
今の自分にできる精一杯のことをやって一度しかない「この夏」を生きる、その姿がひたすらまぶしく胸を打つ青春小説でした。



「今夜、星を見に行こう」 由女ゆめ

四季折々の星座、天の川、流星群、日食&月食、ブラックホールやオーロラ…
星や宇宙や天体観測についてわかりやすく教えてくれるコミックエッセイです。

小さい頃からプラネタリウムが好きで、星や宇宙の神秘に惹かれていた著者は、大学で初心者歓迎の天文サークルに入ります。
星座について教わったり、天文写真を撮ったり、天文台に行ったり、流星観測をしたり…様々な活動を通して著者が星について学び、驚いたり感動したりする様子がいきいきと描かれています。

おすすめのプラネタリウムが見られる科学館や博物館の紹介もあります。
星や宇宙について楽しみながら学べる、初心者に優しい天体観測入門コミックです。



「ナニュークたちの星座」 雪舟えま

地球による植民星。
クローンの「ナニューク」たちは子どもにしか見つけられない鉱石を探すのが役目です。
成長して役目が果たせなくなると「卒業」します。
「卒業」したナニュークの37922号は、失踪したかつての相棒を探す旅に出るのですが…

SF?ファンタジー?寓話?
何だか不思議な物語です。

「ナニューク」と呼ばれるクローンは悲惨な存在にも思えるのですが、当の彼らはそんなことにこだわらずに生きています。そんな姿を見ていると、案外人間も同じようなものかもしれないと思いました。

自分たちがどこから来てどこへ行くのか、何のために生まれてきたのか、本当のところ分かっちゃいない。日々働き、学び、友と語らい、旅をし、美しい景色を見る。そしてなぜ生まれてきたか分からないまま、ある日死んでいく。人間もナニュークも同じで何も変わらない。

そんなことを考えさせる静謐で哲学的な小説でした。イラストレーターのカシワイの挿絵がその静かな美しさをより一層際立たせています。


以上、3冊の本を紹介しました。
「星の王子さま」や「銀河鉄道の夜」も好きなのですが、あえて新しい本から選んでみました。
今度は「月の本」も紹介したいなあ…

読んで下さってありがとうございました。






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