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共働きの日英バイリンガル子育て②〜親の心構え〜

 前の記事では、私がこの記事を書くに至った背景をご説明しました。子供のために割ける時間も費用も限られている、でもそのなかでもできる限りのことをして我が子には英語を話せるようになってほしい。持てる資源を最大限効果的に活かす方法とは?とお考えの方向けにこれから何回かに分けてステップ毎にできることを書いていこうと思います。

 この約丸6年間、各種方法を我が子に試してきましたが、いつ・何をどのように実施するのかを決める前に保護者がおさえておくべきはこの2つのポイントだと私は考えるに至りました。これさえおさえておけば、日本のどこで暮らしていても巷に溢れる早期英語教育ツールの中から環境に応じた策をあまり迷うことなく取捨選択できるようになると思っています。

親自身が子供への早期英語教育は本人のためになると信じること

まず1つ目。それは、親自身が子供への早期英語教育は本人のためになると信じることです。具体的に言うと、日本語能力向上の妨げにはならないと信じることです。迷いがあると徹底力に欠け、結果的に継続できなくなり、効果が上がりにくくなってしまいます。なぜこんなことを言うかというと、この取り組みは0才から開始するわけですが(理由は後述)、一度周囲に「子供には早目に英語を学ばせたいんだ〜」と言ってみてください。私は約⅓ぐらいの確率で「子供が混乱するのではないか」「まずは日本語の教育で、他言語はその次のほうがいいんじゃないか」と言われ、決意が揺らぐことがありました。

 私は言語学者でも脳科学者でもないためそう言われると自信がなくなり、書籍や雑誌やwebサイトで諸説を調べた結果、また自身の経験と照合した結果の結論は「第二外国語教育は母国語教育と同時に開始する(つまり誕生と同時に開始する)のが良い」です。そう結論付けたのには3つ理由があります。

 第一に日本人は日本人同士の親のもとで育つ子供が圧倒的多数のためモノリンガル率が高く、ほとんどの大人は物心がついた後に外国語(英語がほとんどですね)を学ぼうとした時の苦労を実感したと思います。なのでその苦労の経験をもとに「子供は混乱するのでは」と心配していることがほとんどで、科学的論拠があってそのように言っているわけではない。もしそのように言われたら「どうしてそう思うの?」と尋ねてみてください。エビデンスらしきものはないことでしょう。

 第二に私自身が幼少期に2言語を学ぶ子供達が多い環境の中で育ったのですが、私と私の兄弟含めて周囲で2言語を学んだがゆえに混乱し母国語の吸収に支障をきたした例は私が知る限りありません。少し特殊な環境だったので補足しますと、私は9歳の頃、当時7歳・5歳の兄弟とともに父の仕事の都合で某国の公立小学校に転校したのですが、クラスの23人中5人が家庭内で使う言語と小学校で使う言語が違うか、両親がそれぞれ別の言語を使っていましたが5人に共通して言えたことは「両言語ともにペラペラ」です。

 もちろん、どちらかの言語のほうがより得意にはなります。また、使いたい表現が一方の言語にはあるのに他方の言語にはないのでピッタリの言葉選びに迷うことはあります。しかしこれは逆に語彙を広げる方にも作用するためメリットになります。卑近な例となりますが、子供達がよく使う「Surprise!!」という急な(喜びを伴う)登場時の言葉は日本語に直訳すると「驚き〜!」ですが、そんな言葉の使い方はしない。さてどう意訳するのが良いのだろう?という思考の結果「サプラーイズ!」とそのまま使おう〜。という子供なりの結論に至るのは、言葉というものは常に1対1で紐づくものではないのだなということを実感として学ぶためにもなかなか好ましい思考ですよね。

 おまけのメリットを書きますと、なぜかわからないのですが、幼少期から2言語を使っているとさらに他の言語を学んだり使いやすくなるというものもありますね。

国際高等研究所 ニューロインテリジェンス国際研究機構 機構長 ヘンシュ貴雄さんのインタビュー記事
『日本人の母と話すときは日本語、ドイツ人の父と話すときにはドイツ語、家の外ではアメリカ英語。幼少期のヘンシュの頭の中には3つの言語があり、相手によってスイッチを切り替えるのが普通だった。でも、どうやら自分以外の人はそうではないようだ。

小学6年生になり、授業でフランス語を学び始めると、ぼんやり感じていた違いがはっきりとした形をとって現れた。友達はみんな新しい言語を学ぶのに四苦八苦しているが、自分はほとんど苦にならない。何がこんな違いを生んでいるのだろう?』

東京大学:https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/voices085.html

 第三の理由は、脳が何かを学ぶのに適している時期というものはあって、言語の場合は0歳から10歳だと言われているからです。「言語の臨界期は10歳(論文によっては9歳)」と言われるのはこのためです。これはつまりこの取り組みは10年間続くことも意味します。言い換えると、親の責任ははじめの10年間だけです。そのあとはもう子供の責任です。大学受験期の子供に「俺も子供の時もうちょっと英語の環境に置いてくれたらよかったのに」とは絶対言わせないぞ。私はやれるだけのことをやりました。あとはあなたの責任ですね〜と、そんな気分で今もいます。

 文章的には3つの理由で締めくくるのが美しいのだと思いますが、最後に自身の実感として4つめの理由を付け加えさせてください。「0歳から開始したほうが良い理由」、それは、子供が1ー2歳の意思表示するフェーズを迎えてから英語教育を開始すると、日本語を理解しかけている子供からすると「よくわからないことを急に言われ始めた」と認識し、拒否するようになるからです。ちょうどその時期はイヤイヤ期にあたるため保護者は疲弊しがちです。泣き止むならなんでもやりたいという心境の中、せっかくかけた英語のdvdを拒否されるやいなや普通は日本語に切り替えると思います。お互いのために、そうなる前に開始しましょう!

 以上、開始前の心構えを書いてみましたがいかがでしょうか。改めて書いてみるとこの6年間の軌跡が思い出され感慨深いです。決意が揺らぎかねない事も時々発生しましたが、やってきてよかったなあとしみじみ‥。この記事がお子さんが産まれる前もしくはイヤイヤ期がくる前の保護者に届くことを願っています。

 次の記事では、共働きで子供をインターナショナルスクールに行かせずに日英バイリンガルに育てる方法の1つ目のポイント「親自身が子供への早期英語教育は本人のためになると信じること」に続き、2つ目のポイントについて書こうと思います。


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