日本人のための宗教原論 / 小室直樹(覚書)

宗教とは何か。この問いの答えを知るための道標を提供してくれる、とても分かり易い解説書だった。ここまで分かり易いものもなかなかないのではないだろうか。キリスト教とは神への絶対信仰による宗教、仏教は「空」の思想、全てを仮定として捉え永遠にサイクリックに働き続ける法のサイクルからの脱却を図る宗教、イスラム教は慈悲と平等による、そしてソリダリテを生む宗教。私の理解はまだまだ浅いが、理解の取っ掛かりは掴めたように思う。また日本の宗教無知に寄る弊害も最後に記されていて、一日本人としてとても刺さった。アノミー。無連帯。私がこの本から読み取った「宗教とは?」の答えは、宗教やカリスマは人や集団を強くするということだ。そしてその強さが何に対してどう働くかは、それぞれの宗教・カリスマによってつくられた集団の教義・性質により、現在の倫理観に沿ったものとして働くか否かはそれらとは無関係だ。しかし、これがなければ大きな集団はまとまることが出来ない。その欠落はその集団にアノミーをもたらし、無規範・無秩序を生む。現在この渦中にいる日本人は、何をする必要があるのか。どうすればよいのか。小室直樹氏が示した答えは、宗教を徹底的に理解することだ。その性質を知り対処できるようになることだ。「壊れた」日本人を「救う」にはこの宗教理解が必須だという。読んだ限りでは、私もこれに同感だ。引き続き勉強したい。

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