中島想俊

音楽を動力に、書物を枕に、映画を夢に見て生きる青二才。19歳。徒然なるままに、そこはか…

中島想俊

音楽を動力に、書物を枕に、映画を夢に見て生きる青二才。19歳。徒然なるままに、そこはかとなく書きつくれば、方片なき荒野の早春の日ものたりのたりかな。年経ればいま過ぐる日々をいかが思ゑむ  こちらもどうぞ:https://yncsnolark3163.wordpress.com/

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  • ミヒャエル・ハネケ特集

    ミヒャエル・ハネケの作品についての記事をまとめてあります。彼の映画の意図とそれについての私の批評、また社会に対してどのような意味を持つのかなどについての考察を綴りました。

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マニュフェスト

このブログの見方、記事を書く際土台としている私の見解・世界観についての情報がまとめてあります。 1.このブログの書式等本ブログの記事は以下マニュフェストの見解・世界観を土台に私見と主張を記したものです。 私個人では知識も能力も無論不十分です。ゆえに、読んでくださった方の刺激になり、またコメント欄その他で議論などが起こることでそのテーマについて考えるきっかけになる記事になるよう目指しております。どうぞ遠慮なくコメントお願いします。 誤りのないよう努力はしていますが、至らな

    • 時間の闇の中で / ジャン=リュック・ゴダール

      我々はどこから来て今どこにいるのか 先進各国の人は、近代化以降の歴史の中で、その記憶に大きな傷をつけた。それ以来の世代は、残らずその醜悪な歴史と「隠された記憶」を時効なく肩に背負い、この世に生れる。 _の最後の瞬間 映画は寿命を迎え、ジャズもまた然り。残るのものの多くはそれらしき残滓ばかり。60年代を終え、その後のカオスも終わり、90年代の鬱屈も通り過ぎ、終わりなき日常が続く。 自分の価値 ない。そんなものはもとからない。ただ関係がある。関係においてのみ、ひとは価値を見出

      • Never Is A Promise

        「善きひとびと、つまり卓越性において類似したひとびとのあいだにおける愛」では「相手かたの善を相手かたのために願う」。 関係は贈与。約束なぞない。"Friend make sense of me"という「確信」。 “You have many childish qualities, I have many distractive qualities”, “I have so much hurt inside me”, But “Friends make sense of me

        • 隠された記憶 / ミヒャエル・ハネケ ー ミヒャエル・ハネケについて

          ジュリエット・ビノシュは「これが夫婦の信頼なの⁉」と夫(ダニエル・オートゥール)に叫ぶ。彼女は、自身があるはずだと確信するものの欠落に打ちのめされる。夫はその彼女に「頭を冷やしたらどうだ」と言い放つ。私はこの彼女の演技に感動した。ハネケの映画の中に、あの無残な、涙が全く湧いてこない人間を撮るハネケの映画の中に、人間に対する確信をみたように感じた。 *** 私はこれでハネケの作品は4本観たことになる。最も出来栄えがよかったのは「城」であろう。しかしながら、ハネケの映画に関し

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        • ミヒャエル・ハネケ特集
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          71フラグメンツ / ミヒャエル・ハネケ

          血はゆっくりと流れる。時はゆっくりと流れる。ほとんど止まっているかのように。死にかかった生き物の呼吸のように。 *** 主人公が卓球の練習をするシーンがある。背景の壁は、灰色だ。彼はただひたすらにラケットを振る。機械によって一定の間隔で飛んで来る球をひたすら打ち返す。「モダン・タイムズ」でチャップリンは軽やかに面白可笑しくこれを皮肉ったが、彼の表情は変わらない。そもそも卓球は仕事ではなく、学業でもないはずだ。自ら進んでモダン・タイムズに彼は身を置く。気持ちいいのだろうか。

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          城 / ミヒャエル・ハネケ

          「カフカの小説を原作にしていて、監督がハネケだ、悪かろうはずがない。」という強い確信を持て見た映画であったが、果たして結果はその通り、否、シーンによってはそれ以上と言わねばなるまい。まず1つ目はウルリッヒ・ミューエとスザンヌ・ロタールが初めて出会い寝るシーンである。2人はどこで寝るのか。薄汚い酒場のカウンターの裏の床で寝るのだ。それはカウンターの裏に隠れているミューエの胸の上に、ロタールがハイヒールを履いた足をそっと置くところから始まる。スラックスを履いた脚が軽く曲げて持ち上

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          枯れ葉 / アキ・カウリスマキ

          枯れ葉、それは一本の木から落ちてわたしたちの足元に身を横たえる。カサカサと互いに身をこすらせながらたむろする。彼らが風に吹かれてフッと舞い上がったとき、女は立ち上がる。 最初の枯れ葉は女から男に手渡される。不器用な男はポケットから取り落し、枯れ葉は雨に濡れたアスファルトの上をどこかに吹かれてゆく。名残惜し気にあらがって立ち止まるも、画面の外へ立ち去る。 しかしスクリーンに枯れ葉は戻ってくる。病院の前、ベンチ、2人の女。枯れ葉が風に吹かれてフッと舞い上がったとき、女は立ち上

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          終電車 / フランソワ・トリュフォー

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          Aurora 総論

          Giving in to the love, I feel ali-li-live! Auroraというアーティストがいる。一見ただのハイテンションの高校生にみえる。が、彼女の眼差しはそんじょそこらの高校生のものでは決してない。彼女は10年以上のキャリアで何を歌ったのだろうか。この記事では、最新のアルバム「The Gods We Can Touch」を軸に据えて彼女のメッセージを読み解いていく。 註:環境問題・宗教・LGBTQについて歌っていることは無論承知だが、それぞれ

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          Le Mannequins Visage / Live At Helluva Lounge

          前回載せたライブの映像です。興味湧いたらメッセージ下さい。

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          Live At Helluva Lounge PV

          2024年1月8日、マヌカンの顔のベースで出演します!興味ある方はTwitterなどでDM下さい!

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          ソイレント・グリーン / リチャード・フライシャー(Editted Ver. for Note)

          映画についての感想オースターの最後の者たちの国のような、人ばかりが多く、物は足りず、自殺施設と人肉工場がある世界。食料は配給制になり、政府と警察ばかりが権力を握る。 ヘストンが「ソイレント・レッド」を食べる。ただの四角い板同然である。味はしない。向かい合って座るロビンソンは顔をしかめて、顔の前で手を振る。 ヘストンがリンゴとレタス、バーボン、牛肉を持ち帰る。ロビンソンは顔をほころばせる。2人は向かい合って座り、レタスをほおばり、ビーフシチューを食べる。このシーンはトントン

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          ミッド・サマー / アリ・アスター

          冒頭のシーンで彼女は両親に留守電を、次いで彼氏に、そしてまた誰かに...と連絡を取り続ける。彼氏は適当に答える。 彼女の友達は4人の男たちである。彼女の彼氏は、彼女の親族が亡くなり、彼女を慰め共に明かした夜の次の日、友達のパーティーに行く。彼女はついていく。 スウェーデンへの旅行が男たちの間で暗に決められており、彼女も誘われる。彼女は彼氏を詰問する。「なんで私にだけ教えてくれなかったの?」彼女はヒステリーを起こす。彼女はついていく。旅行は親族が亡くなり泣き明かした夜から一

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          日本人のための宗教原論 / 小室直樹(覚書)

          宗教とは何か。この問いの答えを知るための道標を提供してくれる、とても分かり易い解説書だった。ここまで分かり易いものもなかなかないのではないだろうか。キリスト教とは神への絶対信仰による宗教、仏教は「空」の思想、全てを仮定として捉え永遠にサイクリックに働き続ける法のサイクルからの脱却を図る宗教、イスラム教は慈悲と平等による、そしてソリダリテを生む宗教。私の理解はまだまだ浅いが、理解の取っ掛かりは掴めたように思う。また日本の宗教無知に寄る弊害も最後に記されていて、一日本人としてとて

          日本人のための宗教原論 / 小室直樹(覚書)

          かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた / Vladimir Alexandrov

          世の中には多くの境界線がある。今日も、無論。コロナの感染者とそうでない人の間、社会的立場、宗教、心の内と外、建築物の間、壁の外と内、国境の内と外。残念ながら私は未だ井の中の蛙を脱せずにいるが、この書にはそれをフッと越えて行った一人の人物の人生がどんなものであったのかが記されている。南部から北部へ、アメリカから西欧へ、ロシアへ、トルコへ。被差別者から少数者へ、給仕から富豪へ、富豪から難民へ、そして富豪から囚人へ。 この境界線は普段の生活の中でも多分に感じる。社会学の一般性。よ

          かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた / Vladimir Alexandrov