キタダ授業記録集 1
中3の国語の授業から~
俳句の授業記録です。
「こんどはクイズ形式です。 ( )内にどんなことばが入ると思う?」
〇( )のボート親子のボート漕ぎかはし
公園のボートです。 季語はなんと「ボート」です。 春の季語なんです。
さてさて、( )内には2音の言葉、 生徒からは「僕のボート」「オレのボート」「わしのボート」って答えがありました。 「さびしー!」(笑) 公園のボートと言えば、2人乗り?? ではこのボートの2人は、どんな2人連れなんでしょう? 生徒からは 恋人、カップルという答えが多数。 そうこなくっちゃ!?
ただ、
〇恋人のボート親子のボート漕ぎかはし
または
〇カップルのボート親子のボート漕ぎかはし
では字余りすぎる。 ここは俳句独特の省略語法で、
〇恋のボート親子のボート漕ぎかはし 富安風生
が正解なんです。 1音の字余りが効いてます。 (字余りというと誤解しがちなんですが、じっさいは「音余り」ですよね)
この句を読んでいると、 ボートがなぜ春の季語なのか、わかる気がします。 「恋人」と「親子」はそれぞれ別のボートで、 それぞれの、のどかな春の日の時間を過ごしている。 そのべつべつの時間がふいに接近し、 かすかにかかわりあいながらあっさり離れ、 またべつべつの時間へと戻っていく。
作者は少し離れたところから、この一部始終を目にしています。 あたりまえといえばあたりまえの光景なのですが、 それをふしぎだと思う目で見れば、 どこか琴線に触れるものがあります。
「恋人」と「親子」は異質の時間どうし… といいながら、じつは関連ある言葉だともいえます。 「恋人」どうしからはじまって、 一定の時間を経て「親子」へとイメージはつながる。 …のですが、どこかで転調するわけで(笑) 人間の一生の妙ですねぇ(^^) 作者富安風生もそれに近いことを思ったのかもしれません。
ほかにはこんな授業をしましたっ。
1 〇ねむりても旅の( )の胸にひらく
⇒この( )内には夏の季語である3音の語♪ 旅先(一人旅とイメージした生徒多し)で見た、 夏「ひらく」ものといえば? ヒント、夜にひらくもの。 伊勢っ子にはきっとなじみ深いもの。 正解は…
〇ねむりても旅の花火の胸にひらく 大野林火
2 〇子にみやげなき秋の夜の( )
⇒ここには季語ではない5音の言葉が入る。 ひんやりとした秋の夜に、 父さんとのせつないぬくもりを感じた〇〇〇〇〇…。 正解は
〇子にみやげなき秋の夜の肩ぐるま 能村登四郎
3 〇( )や手首ほそしと掴まれし
⇒これも夏の季語で4音♪ 手首を(そっと)掴まれて歩くような場所で、 「あの」夏の夜にそのひとと見ていたもの(夏の季語)とは…? 正解…
〇蛍火や手首ほそしと掴まれし 正木ゆう子
4 〇働いて耳を( )く戻りけり
⇒この( )には4音で、冬の季語。 私、これは仕事から帰宅した場面を切りとった句と思っていましたが、 ある男子生徒が「ガソリンスタンドで働いている人が、 外から事務所に入ったときの句」と言ったのにすごーく感心!! おもわず褒めたおしました!笑笑笑 正解は
〇働いて耳を冷たく戻りけり 西嶋あさ子
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