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超短編小説

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ショートショートを随時まとめています。※作品は全てフィクションです。
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2022年5月の記事一覧

【超短編小説】 お父さんテスト

【超短編小説】 お父さんテスト

「本日、皆様にお越し頂きましたのは、これからある試験を受けてもらうためです。それがこれからお配りいたします、お父さんテストです」

壇上に立つ試験監督の女性は、はっきりと聞こえる声で説明をする。

会場には私と同世代ぐらいであろう40代から50代ぐらいの中堅男性ばかりが集められていた。

女性は続ける。

「このお父さんテストは、皆様のご家族の方に事前にご協力を頂き、個別に作成をしております。解答

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【超短編小説】 アンサーブック

【超短編小説】 アンサーブック

「この本はあなたが知りたいことが何でも理解できる万能な本でございます。我々はアンサーブックと呼んでおります」

怪しげな格好をした商売人は私に本を売りつけてきた。

「その方法はとても簡単でございます。あなたが本を開く前に知りたいキーワードを呟くだけで良いのです。次にページをめくった時にはあなたの知りたいことが何でも分かります」

「値段はお高いのでしょう?」

「いえいえ、今ならサービスをさせて

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【超短編小説】 母さん、元気ですか?

【超短編小説】 母さん、元気ですか?

僕は、家出をした。

家を出て、長い距離をひたすら走った。

走って、

走って、

走って、

走って、

走って、走ったら、

僕は、いつの間にか砂漠に辿り着いていた。

砂漠はとても暑かった。

暑すぎて喉が乾いた。

辺りを見渡すと、看板が落ちていた。

看板には「こっちだよ⇒」と書いてある。

看板の指す矢印の方向に歩いて行くと、スプリンクラーが埋められていることに気が付いた。

近くに

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【超短編小説】 今がすべてだ

【超短編小説】 今がすべてだ

自分が作った作品を壊した。

床に落としただけで粉々になった。

「自分が作ったものだ、また作り直せば良い」

僕はそう思った。

しかし、同じ作品は二度と作れなかった。

同じように線を引き、同じように形を整えたが、やはりどこか違うものになる。

「違う。これじゃない」

僕は何度も作り直した。

「まだだ。まだ駄目だ。こんなものじゃなかったはずだ」

その姿を見た師匠が言った。

「納得にこだ

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【超短編小説】 拒絶バリア

【超短編小説】 拒絶バリア

「どうしたら良いんだよ」

彼女の拒絶バリアの値は90になった。

僕は彼女の前にある拒絶バリアを溶かすことに必死になっていた。

拒絶バリアの値が大きくなるにつれて、バリアの厚さもどんどん厚くなっていく。

すると、突然、神様が現れた。

「若者よ、そのようにバリアを溶かすことに焦ってはならぬ。

人は誰もが拒絶バリアを持っているのじゃ。

拒絶バリアは相手のことを受け付けられないと感じた時に現

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【超短編小説】 3つの洋服屋

【超短編小説】 3つの洋服屋

ある日、僕は隣接する3つの洋服屋に行った。

最初に入ったお店は、定規人間のお店だった。

定規人間は、僕がお店に入るとすぐにメジャーを持って現れたかと思うと「私があなたのサイズを測りましょう」と言った。

定規人間は僕の体のサイズを隈なく測り終えると

「あなたにはこの服がピッタリですよ」と頼んでもいないのにお勧めをしてくる。

「私が保証します。この服は絶対にあなたにお似合いです」と勝手なこと

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【超短編小説】 りんごになった息子    

【超短編小説】 りんごになった息子    

「ママ、僕ね、大きくなったら、ヨーグルトになる」

4歳の息子は突然、将来の夢を語った。

「どうして、ヨーグルトになりたいの?」

「だって、腸に優しいから」

「確かにね、腸には超良いけどね。ママはどちらかと言うと、ヨーグルトよりゼリーの方が良いかな」と言った。

それから10年後

「母さん、俺、明日さ、家に牛連れて帰ってくるから」

「えっ、ちょっと待って。落ち着いて。牛、家で飼うつもりな

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【超短編小説】 おじさん、空を飛ぶ

【超短編小説】 おじさん、空を飛ぶ

「なんで、そんなところにいるの」

暗がりの中から女の子の声がした。

辺りが暗かったので女の子の姿は見えなかったが、私は「何でだろうな」と言った。

女の子は「変なの。おじさんだけだよ、そんなところにいるの。そこは居心地はいいの?」と聞いてきた。

私は「そこまで悪くはない」と答えた。

女の子はうふふと笑うと、

「世間には変わった人もいるものね。でも、おじさんみたいな人、嫌いじゃないわ。アタ

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【超短編小説】お姉ちゃんの言葉

【超短編小説】お姉ちゃんの言葉

私が小学2年生の時の話だ。

私には5歳離れた姉がいる。

ある日のこと、私は帰り道で同級生の男子達にからかわれていた。

私はすごく嫌だったけれど上手く言い返すことが出来ず、下を向いていた。

その時だった。後ろから大きな声が聞こえた。

「何してんの!」

顔を上げて後ろを振り向くと、

部活のカバンを背負って勢いよく自転車を漕いでいるお姉ちゃんだった。

お姉ちゃんは自転車から降りて、私の近

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【超短編小説】ある「私」の話

【超短編小説】ある「私」の話

書棚から一冊の本が落ちてきた。

ページがめくれ、その本に手を伸ばした瞬間、ふとした言葉が何気なく目に留まる。

大した言葉ではなかったが、なぜか今の自分の状況を表したような新鮮さが感じられたのだ。

幾度となく読み返してきた文章にもかかわらずである。

時の流れか、私を取り巻く環境の変化によるものか、はたまた違う要素が混在しているのか、定かではない。

上手く言えないが、私は突如として現れた、こ

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