【超短編小説】 母さん、元気ですか?
僕は、家出をした。
家を出て、長い距離をひたすら走った。
走って、
走って、
走って、
走って、
走って、走ったら、
僕は、いつの間にか砂漠に辿り着いていた。
砂漠はとても暑かった。
暑すぎて喉が乾いた。
辺りを見渡すと、看板が落ちていた。
看板には「こっちだよ⇒」と書いてある。
看板の指す矢印の方向に歩いて行くと、スプリンクラーが埋められていることに気が付いた。
近くにあった蛇口をひねると、スプリンクラーから水が溢れ出した。
僕は水を飲み終えると、蛇口をいっぱいにひねった。
すると、砂漠にどんどん水が染み渡り、突然、草木が生え始めた。
見る見るうちに草は広がり、木はどんどん高く伸びていった。
僕は驚きつつも、持って来たノコギリで木を切り、家を建てた。
そして、僕は母さんに手紙を書いた。
「母さん、元気ですか?
僕は、今、砂漠に住んでいます。
食べ物には少し困りますが、何とか生きています」と書いた。
足元に降り立った鳥に手紙を託すと、
砂漠に向かって大声で叫んだ。
「デザート、喰いてー」(完)