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【読書日記】 「西洋美術は 彫刻 抜きには語れない」を読む
最近、美術館の講座で塑像を造るという体験をしてから、「彫刻」が気になっていました。この本のタイトルと表紙は非常に印象的でした。
第1刷:2022年4月22日
発行元:株式会社 翔泳社
著者:堀越 啓
内容:彫刻とは何かに始まり、その魅力や歴史、見るべき作品、そして彫刻を見るためのポイントについて、わかりやすく紹介し、美術鑑賞をより楽しくする本です。
かたいことはわからないが、「彫刻ってなんかおもしろいかな」
本の副題に「教養としての彫刻の見方」とありますが、そういったことは今の私にはやや難しかったです。
絵画と彫刻との違いを、次元、素材、場所、移動性の面で示されています。「なるほど、当たり前といえば当たり前だけど、こうやって捉えると、「同じアートなのに、全く違うんだなあ」と思いました。
彫刻には奥行きがあるから裏側まで見られる・・・確かにそんな体験はしました。
塑像を作る体験のことです。
その美術館にある佐藤忠良さんのあるブロンズ像を真似て作りたいと思い、学芸員さんに相談しました。
すると、実物を間近で見る、しかも、いろいろな方向から見る、触ってみるということを勧められたのです。それまで彫刻を真正面からしか見たことがなかったのですが、いろいろな方向から見ると、体の肉感やなめらかさなどが感覚としてこちらに迫ってきました。しかも、肌の盛り上がりなどを指先で感じ取ることができ、不思議な体験でした。
彫刻は屋外に設置できる・・・・確かに外にある彫刻をいつも見ています。
私がよく行く美術館には、屋外の水面上にブロンズ像が設置されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1655706521594-Os0Igegs2h.jpg?width=800)
見る時間帯、天気によって、光の当たり方が異なり、水面のキラキラした様子とのコラボも変化を見せています。
いつも違う表情を見せてくれるので、いつ行っても「いいなあ〜」と見入ってしまいます。
ブロンズ像そのものだけではなく、周囲の風景に溶け込むことができる、というのが屋外の彫刻の素晴らしいところですね。
彫刻は、私たちに一面的な見方ではなく、多面的な見方を教えてくれるのではないでしょうか。
それは、単にアート作品を見るときだけではなく、人と接する時、物事を考える時にも通じることです。私は、副題にある「教養としての彫刻の見方」を、このように過大解釈をしました。
「彫刻ってなんかおもしろいぞ」という気持ちが湧いてきました。
「美に対する感性が目覚める」ことにつながる
彫刻が屋外に設置できることからもう少し見てみますと・・・
屋外には彫刻だけではないアートはたくさんあります。
今まで歩いていた道端のオブジェが急に気になりだすという体験は私にもあります。
なにげない光景、日常の中に「美」を見出すことができるようになると「美に対する感性が目覚める」と著者は語っています。
なんだか嬉しい。
今まで気づかなかったことに気づく、
今まで素通りしていたものを「美しい」と思えるようになる
それって素晴らしいことではないでしょうか。
この本を読んで「彫刻がわかるようになった」とは言えません。
けれども、彫刻をもっと見たい、触りたいという気持ちが高まったことは確かです。
私を「美」の道へ導いてくれた、この本に感謝します。
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